初心者向け添削付き動画講座「第18回医療ライターのはじめかた」受講生募集中

診療報酬改定から考える!4年目薬局薬剤師のキャリア・転職戦略

薬剤師の業務が対物から対人にシフトしていることを、ご存じでしょうか?

2年に一度行われる診療報酬改定。2024年6月*の診療報酬改定では、対人業務が今まで以上に評価される内容となっています。[1][2]

評価される薬局は経営が安定し、長期的なキャリアと給与の面でも好待遇になると考えられます。今後転職を考える際には、国が求める薬剤師像になるための支援をしてくれる薬局を検討することが重要です。

薬剤師ライター

のぶさん

この記事では、薬剤師歴14年、薬局経営中の筆者が、新たな診療報酬制度の下で求められる薬剤師のキャリア戦略と、転職を考える際のポイントについて解説します。

*:2024年5月時点

2024年診療報酬改定のポイント3選!

今回の診療報酬改定では、薬剤師の役割と地域医療の在り方に大きな変化が見られます。とくに注目すべき3つのポイントを解説します。このポイントは平成27年に厚生労働省で作成された内容を実現するための改定となっています。[3]

1.地域支援体制加算の変更点  

とくに注目すべきポイントは、「地域支援体制加算の施設基準施設基準(11) 地域医療に関連する取組の実施」です。[1][2]

これまでの施設基準である健康相談に加えて、一般用医薬品の販売及び要指導医薬品等(OTC48薬効群)緊急避妊薬の取り扱いが明記されました。これまで、処方箋をメインで受け付けていた薬局も、地域住民が気軽に訪れられる薬局へのシフトを目指しています。

薬剤師ライター

のぶさん

私たち薬剤師は、地域の住民の健康をより包括的に支える役割を果たすことが期待されています。

2.医療DXの推進について

施設基準の中に電子処方箋を受け付ける体制電磁的記録による調剤録および薬剤服用歴の管理の体制を有していることが記載されています。[1][2]

薬剤師ライター

のぶさん

これまで薬歴・診療報酬請求等を紙で運用していた薬局は、順次電子化していく対応が必要になるでしょう。

今回の変更点から、今後もデジタル化の対象が広がっていくことが想定されます

3.連携強化加算の見直しについて

これまで、地域支援体制加算に該当する薬局のみが算定できた連携強化加算が、条件を満たせばすべての薬局が算定できるように変更となりました。[1][2]

内容を読み解くと、災害や新興感染症が発生した時の他の医療機関との連携・オンライン服薬指導や一般用医薬品、体外診断用医薬品の取り扱いが含まれています。

薬剤師ライター

のぶさん

地域に根差した薬局・医療DXに取り組んでいる薬局が優遇されるような内容となりました。

診療報酬改定後に求められる薬剤師の特徴

診療報酬改定の内容を確認することで、今後求められる薬剤師の特徴が見えてきます。今回の改定で、とくに必要となってくるスキルについて解説します。

1.かかりつけ薬剤師

地域支援体制の施設基準で新たに規定されたように、今後は処方箋に関係なく地域住人の健康管理の窓口として、薬剤師が機能することが求められるでしょう。

薬剤師ライター

のぶさん

また、調剤後のフォローアップについても対象疾患が拡大されています。これまで以上に一人の患者さんに寄り添うことが必要です。[1][2]

健康サポート薬局の研修や自己研鑽をしっかりして、幅広い健康相談に対応できるようになる必要があります

2.デジタル化に対応

デジタルツールを駆使し、効率的かつ正確な薬剤管理や患者情報の共有を行うスキルが必要です。苦手意識のある方も少しずつデジタル技術を学んでいく姿勢を持ちましょう。

3.多職種との連携強化、在宅業務の強化

今回の改定では、ケアマネージャーへの情報提供も評価対象となっています。[1][2]

医療チームの一員として、ケアマネージャーや他の医療従事者と情報を共有し、在宅医療への積極的な関与も求められます。

薬局の近くの居宅介護支援事業所の名称、ケアマネージャーの名前、顔を把握できていますか?

薬剤師ライター

のぶさん

今後は多職種と連携のために、顔の見える関係を積極的に築いていきましょう。

転職エージェントに確認すべき3つの質問

これまでは、国が求める薬剤師の特徴について説明しました。今後転職を考える際には、長く生き残れる薬局を選び、共に成長したいと思いませんか?

ここでは、転職する際に薬局が国の求める方針に沿って運営しているかを確認するための3つの質問を紹介します。

1.転職先薬局の加算の状況を確認する

診療報酬改定は2年に一度行われます。そのたびに、求められる薬剤師の質は高くなっています。転職先の加算状況を確認すると、薬局の診療報酬に対する姿勢の確認につながるでしょう。

2.スキルアップ支援制度について確認する

医療職は生涯勉強が必要です。自分から動けない場合でも、会社の支援があるとモチベーションの向上につながります。どのような資格の支援があるのか、資格取得や研修に対する報酬があるのかを確認しましょう

薬剤師ライター

のぶさん

たとえば、デジタルツールの使い方地域医療に関する研修の参加が推奨されているか研修に参加した際の補助があるかなどの事前確認がおすすめです。

3.処方箋集中率と今後の目標値を確認する

地域住民の処方箋をどれだけ積極的に獲得しているかによって、薬局間で大きな差が生まれます。処方箋集中率が高すぎると、特定のクリニックに依存している可能性があり、地域密着型の薬局とは言えません

薬剤師ライター

のぶさん

門前依存型の経営から脱却し、地域全体の医療を支える姿勢を確認することが、長く生き残る薬局を見つけるための重要なポイントです。

処方箋集中率と今後の目標値についての質問によっても、多くの医療機関からの処方箋をどのくらい積極的に獲得しようとしているかを確認できるでしょう。

診療報酬改定と薬剤師の転職戦略

今回の診療報酬改定は、薬剤師の役割と地域医療の在り方に大きな変化をもたらします。地域住民に寄り添うこと、デジタル技術の駆使他職種との連携強化は、これからの薬剤師に求められる重要なスキルです。

薬局を選ぶ際には、改定の内容を理解し、転職先が対応しているかを見極めることが大切になってきます。

薬剤師ライター

のぶさん

今回紹介したポイントが、あなたの薬剤師としての新たな一歩を支えることができたら光栄です。

この記事の執筆者

薬剤師ライター:のぶさん

薬局経営者&Webライター。薬剤師免許取得後、病院で4年間、調剤薬局で6年間働いた後、M&Aにて調剤薬局を買い独立。現在は薬局経営3年目。若手薬剤師を応援するため、これまで得た薬局管理や薬の知識を発信中。わかりやすく、正確な執筆を心がけています。Instagramでは漢方薬の知識を発信中。

Instagram:https://www.instagram.com/kusuri_nobu/

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

メディア運営・編集

京薬卒、(株)Medited代表取締役。 医療・取材ライターや医療系介護メディアの編集長業務、キャリアスクールでの講師メンター業などを経て2020年よりオンライン動画講座「医療ライターのはじめかた」メディア「MediJump」の運営を開始。2022年より医療×Webクリエイターの交流コミュニティ「MediWebラボ」をスタート。2023年に法人化し、経済産業省JStarX起業家プログラム等に採択。「医療資格は、ずっと味方」をテーマに活動しています。