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こどもが吐いちゃった!胃腸炎の対処方法を現役ママ薬剤師が解説

こどもが突然おう吐や下痢をしたり、ご飯や水分をとろうとしなかったりすると、ママは心配になりますよね。汚れてしまった床や衣類はどうするの?家族への感染予防は?次の日の仕事はどうしよう?という疑問も出てくるでしょう。

薬剤師ライター

潮見ゆうかさん

今回は、そんなママの悩みを解決できる内容をまとめました。こどもの胃腸炎の症状や対処法について未就学児2人を育てる現役ママ薬剤師が解説します

こどもの胃腸炎について

こどもの胃腸炎でおこる主な症状や、受診目安について解説していきます。受診するか迷ったときには参考にしてみてください。

こどもの胃腸炎でおこる症状

胃腸炎では、おう吐や下痢、お腹の痛み、発熱、食欲が落ちるなどの症状がみられます
こどもが胃腸炎になる原因のほとんどは、ウイルス感染です。

症状の続く期間は原因によって異なりますが、こどもの胃腸炎で主な原因となるノロウイルスの場合には1~3日程度で回復すると言われており、ロタウイルスでは2~7日続きます[1]。

受診の目安

おう吐や下痢が繰り返し起こる、38℃以上の発熱があるとき、お子さんが3か月未満である場合には、診療時間内であれば受診をした方がいいでしょう。

夜間などの診療時間外に病院に行くか迷ったときに役立つのが、ウェブサイト「こどもの救急」や小児救急電話相談(#8000)です

薬剤師ライター

潮見ゆうかさん

ウェブサイト「こどもの救急」では、現在の症状をチェックボックスで選ぶと以下が表示されます。症状にあわせて以下のような対処方法も教えてくれるので、ママに嬉しいサービスです。

  • 自宅で様子をみていいのか
  • 自家用車・タクシーで病院に行った方がいいのか
  • 救急車をよぶべきか

小児救急電話相談は、全国同一の短縮番号#8000をプッシュするとお住いの都道府県の窓口に転送され、小児科医師や看護師に相談ができ、症状に応じた適切な対応について助言がうけられます[2]。

胃腸炎時の食事や服薬

胃腸炎になると、おう吐や下痢によって脱水になってしまうおそれがあります。こどもに対して、どんな食事を食べさせればよいのか考えてしまいますよね。次は、水分や食事の摂り方について解説していきます。

水分補給はこまめに

こどもの胃腸炎時の水分補給に欠かせないのは「経口補水液*」です。経口補水液はドラッグストアでも購入できますし、病院やクリニックで購入できる場合もあります。

経口補水液*:「飲む点滴」とも呼ばれる、電解質と糖質をバランス良く配合した飲み物。普通の水より体への吸収速度が速く、熱中症や脱水症状など素早い水分補給が必要な際に使用されます。

赤ちゃん(1歳未満)お子さん(1〜15歳)の場合
母乳やミルクに追加して経口補水液を飲ませてあげる経口補水液をティースプーンやコップで少量ずつ、頻繁に飲ませます。一度にたくさん飲むことは、おう吐の原因になるため注意が必要です。

お子さん(1〜15歳)が経口補水液が苦手であれば、それ以外の飲み物でも構いませんが、炭酸飲料やジュース、カフェインを含む飲み物は避けましょう。糖分を多く含む飲み物は下痢を悪化させるおそれがあります[3]。

食事やミルクの摂り方

食欲があるようであれば、好きなものを食べさせても問題ありません。

赤ちゃん(1歳未満)お子さん(1~15歳)
母乳やミルク。
栄養補給だけでなく脱水も予防できる
おもゆ*やおかゆ。
消化の悪い脂っこいもの、下痢を長引かせる原因となる糖分の多い飲み物の飲食は避ける

お子さん(1~15歳)がいきなり普通のご飯を食べる時、心配であれば、消化が良くて下痢の回数を減少させる効果が知られている、重湯やおかゆからはじめると安心です[3]。

薬剤師ライター

潮見ゆうかさん

牛乳に関しては、下痢が続く原因になるかどうか意見が分かれていますが、あえて胃腸炎のときに飲ませなくてもよいでしょう。[3]

おもゆ*:多めの水でよく煮た、おかゆの上澄み液のこと。とろみがあり消化も良く、病人や乳幼児のご飯によく使用される。

薬の飲ませ方

病院にかかると、症状によっては薬が処方されることがあります。
飲み薬は、おう吐がある場合には無理に飲ませず、吐き気がおさまってからの服用がおすすめです。万が一、薬を飲ませたあとに吐いてしまっても、過剰投与のおそれがあるため追加で薬を飲ませるのはやめましょう

薬剤師ライター

潮見ゆうかさん

こども用の下痢止めは市販されています。しかし、原因となる菌やウイルスを体外に排出するのを遅らせてしまうことや、下痢がはやく治るとは証明されておらず、推奨はされていません[3]。

家族にうつさないための対策

ウイルスによる感染性胃腸炎では、吐いたもの(吐物)や便の中に大量のウイルスが存在するといわれており、その処理には十分な注意が必要です。正しい処理方法を知り、家族への感染を防ぎましょう。

吐物や便の片づけ方

胃腸炎時の吐物や便の片づけ方をご紹介します。[4]吐物や便は乾燥してしまうと、含まれるウイルスが空中に漂い、体内へ入って感染することも。ウイルスが残らないように、早めに片づけましょう。

  1. 片づける人はエプロン、マスク、手袋を着けましょう。可能であれば、着用するものは使い捨てできるものが望ましいです。
  2. 吐物、便はキッチンペーパー等でそっと拭き取ります。
  3. 拭き取った後は次亜塩素酸ナトリウムを薄めたもので浸すように床拭きします。そのあと水拭きで仕上げます。
  4. 片づけたあとは十分な換気も重要です。
  5. 使い終わったエプロン、マスク、手袋や拭き取りをしたキッチンペーパーはビニール袋に入れ、固く閉めて廃棄しましょう。

オムツの替え方

前述した通り、便には多くのウイルスが含まれています。少なくともこどもに胃腸炎の症状が出ている間は、マスク、手袋をしてオムツ替えをするようにしましょう。[3]

胃腸炎の原因としてノロウイルスやロタウイルスがありますが、ロタウイルスによる感染では下痢が始まってから25〜57日後もウイルスを排出していたとの報告もあるため、注意が必要です

汚れてしまった衣服の洗濯方法

そのまま洗濯機で洗濯すると、他の衣類にもウイルスがついてしまうおそれがあります。ここでは、衣服を洗濯する手順をご紹介します。[4]

  • マスクと手袋をして、先に水しぶきが飛ばないように下洗いをする
  • 洗濯機で洗う前に、塩素系漂白剤で消毒をする
  • 洗濯機で洗う
薬剤師ライター

潮見ゆうかさん

塩素系漂白剤を使う理由は、酵素系漂白剤では消毒効果がないとされているからです。
ただし、塩素系漂白剤を使用すると衣服は色落ちするので、気になる方は煮沸消毒(85℃、1分以上)で代替できます

手洗い・うがいの徹底

必ず“石鹸”で手洗いし、うがいも行いましょう。[3]

胃腸炎の原因となるノロウイルスやロタウイルスはアルコールに耐性を持っているため、アルコール消毒では効果がありません。また、先ほど吐物や便の片づけに次亜塩素酸ナトリウムを使うことをご説明しましたが、人の肌に使うと炎症や肌荒れを起こすため、手指消毒には向きません

ママの明日の仕事はどうしよう?

薬剤師ライター

潮見ゆうかさん

胃腸炎にかかると、症状が長引く場合には1週間程度休まなくてはいけないときもあります。

仕事を1週間も休めないという方は、お住いの自治体が運営する病児保育室やベビーシッターを利用してみてはいかがでしょうか

ベビーシッターの中には、看護師や保育士の資格を取得している人もいるため、こどもが病気の時も安心ですね。ベビーシッターを探すサイトは、利用登録等の手続きがあることが多いです。前もって登録しておくと、いざというときに慌てずに済みそうです。

病児保育室は、運営する自治体によって利用できる条件や用意する書類があります。万が一のために、一度調べておきましょう。

薬剤師ライター

潮見ゆうかさん

例として、東京都北区の病児・病後児保育についてのサイトをご紹介しておきます。

写真引用:東京都北区 病児・病後児保育

もしものために、日頃から備えておこう!

こどもの体調不良は突然やってきます。そのとき慌てないために、ママはあらかじめどんなことができるでしょうか。筆者の体験談も含めてご紹介します。

予防接種はかならず受けよう

ロタウイルスによる胃腸炎は、こどもにワクチン接種させることで予防できます
令和2年10月より定期接種ワクチンとなったため、費用負担はありません。
ただし、生後15週以降はワクチンによる副作用のリスクが増すことから接種時期が限られています。接種期間が来たら遅れずに受けることをおすすめします[5]。

突然の嘔吐に対する、筆者の備えを紹介

最後に、筆者が行っている備えについてご紹介します。

筆者は以前、こどもがおう吐して泣いている姿をみてパニックになってしまいました。吐物の片づけ方法を調べるのに時間がかかり、すぐに行動することができませんでした。その経験から、いつか同じことが起きても慌てずに動けるように「ゲーゲーセット」を作っています。

写真提供:潮見
薬剤師ライター

潮見ゆうかさん

病院などの医療機関では患者さんがおう吐したとき、感染が広がらないよう迅速に処理する必要があるため、マニュアルと共に「ノロセット」と呼ばれる吐物処理セットが設置されていることが多いです。

ゲーゲーセット」とは佐久医師会が名付けている「家庭用吐物処理セット」のことです

筆者は、以下をまとめて準備をしています。

  • バケツ
  • スプレーボトル
  • 市販の漂白剤
  • 使い古しのタオル
  • ビニール袋
  • ビニール手袋
  • マスク
  • おう吐物凝固剤
  • 佐久医師会が提供しているホームケアのPDFを印刷したマニュアル

おう吐物凝固剤以外は、すべて100円ショップで用意ができます。また使い方で慌てないように、佐久医師会が提供している、下引用画像のホームケアのPDFを印刷し、マニュアルとして一緒にまとめてあります。ご家庭に合わせて「ゲーゲーセット」を作ってみてはいかがでしょう。

画像引用:佐久医師会>「教えて!ドクター」>胃腸炎のホームケア
薬剤師ライター

潮見ゆうかさん

こどもの突然に起こる体調不良は、心配で、不安でママは気が休まりませんよね。
早くお子さんの体調がよくなり、ママが笑顔で過ごせますように。

この記事の執筆者

薬剤師ライター:潮見 ゆうかさん

薬剤師。大学卒業後、総合病院に勤務し、内科・泌尿器科・透析科・循環器科での服薬指導を経験。日本糖尿病指導療法士、栄養サポートチーム専門療法士、心不全指導療法士の資格を有する。現在は未就学児2人を子育てしながら病院薬剤師として従事、現場経験をもとに医療ライターを行う。

X(Twitter):https://twitter.com/nacl_pharm
note:https://note.com/nacl_pharm

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メディア運営・編集

京薬卒、(株)Medited代表取締役。 医療・取材ライターや医療系介護メディアの編集長業務、キャリアスクールでの講師メンター業などを経て2020年よりオンライン動画講座「医療ライターのはじめかた」メディア「MediJump」の運営を開始。2022年より医療×Webクリエイターの交流コミュニティ「MediWebラボ」をスタート。2023年に法人化し、経済産業省JStarX起業家プログラム等に採択。「医療資格は、ずっと味方」をテーマに活動しています。