医療ライターとして記事執筆するうえで、念頭に入れるべきは、読者の「潜在ニーズ・顕在ニーズ」をくみ取ることです。
調べものをしている時に「そうそう、この内容も知りたかった!」とどんどん読み進めたくなる記事こそ、私たち読者の「潜在ニーズ」をくみ取ってくれる良い記事だと言えるでしょう。
読者に「本当に欲しかった情報がわかった!」と思ってもらえる記事が書けると、「閲覧数や滞在時間が多い、有益な記事が書ける医療ライター」としてクライアントからの信頼も得やすくなりますよ。
ライター
岩﨑まりさん
今回は、医療ライターとして意識すべき「潜在ニーズ・顕在ニーズ」について、具体例と一緒に解説していきます。
潜在ニーズと顕在ニーズとは
潜在ニーズとは、言葉にはしてなかったり、検索ワードとしては入れてなかったりする「自分で自覚していないけど、本当は知りたかった欲求」のこと。
また、顕在ニーズは自分が知りたいと思って検索した「すでに自分でも自覚している欲求」のことをいいます。
ライター
岩﨑まりさん
実際に、自分が知りたいと思って検索するワードの大半は、顕在ニーズがほとんど。それに対し、潜在ニーズは9割ほど脳内に潜んでいることが多く「隠れたニーズ」ともいわれます。
読者がなぜその情報を知りたいのか?と深掘りしていくと、「本当はそれが知りたかったの!」と感じられる、潜在ニーズを解決できる記事を作成できるでしょう。潜在ニーズに寄り添った記事を書くことで「記事を読んだけど、結局解決策が見つからない……」と読者が悩むことも減るはずです。
ニーズとウォンツの関係を理解しよう
ニーズを考えるうえで切っても切り離せないのが、ニーズとウォンツの関係です。
同じ「欲求」を意味する言葉ではあるのですが、概念が少し違ってきます。
ニーズ | ウォンツ |
抽象的な欲求 | 具体的な欲求 |
範囲が広く代替可能 | 代替が不可能 |
解決したい目的 | 解決する手段 |
たとえば、「健康的に痩せたい」であれば「健康的に」がニーズで「痩せたい」がウォンツになります。ニーズを引き出すためには、ウォンツをしっかり把握し掘り下げていくことが大事です。
潜在ニーズと顕在ニーズの具体例
潜在ニーズと顕在ニーズの違い、ウォンツとの関係がわかったところで、実際に具体例を見ていきましょう。今回は、「偏頭痛」について読者が記事検索をしたと想定します。
顕在ニーズの具体例
たとえば、①偏頭痛で悩んでいる読者が以下のワードで検索したとします。
- 偏頭痛 原因
- 偏頭痛 気圧
- 偏頭痛 場所
検索ワードから、顕在ニーズは「偏頭痛についての解決策を知りたい」と想定できるでしょう。ここで提案できるのは「頭痛薬を飲む」「安静にする」などの一般的な解決策のみです。
また、②読者が医療職の場合、以下のワードで検索したとします。
- 偏頭痛 文献
- 偏頭痛 処方
- 偏頭痛 英語論文
検索ワードから、顕在ニーズは「偏頭痛についてのエビデンスを知りたい」と想定できるでしょう。
ライター
岩﨑まりさん
上記のように顕在ニーズのみを想定した場合、ヒットする範囲が広い記事が多くなってしまいます。
そのため、読者は記事を読み終わっても「知りたい情報が出てこなかった」と、満足できないかもしれません。
潜在ニーズの具体例
では、潜在ニーズはどうでしょうか?読者は偏頭痛が解決されてどのようになりたいのか考えてみましょう。
もしかしたら、①偏頭痛で悩んでいる読者は「いつでも快適に過ごしたい」「気候に体調を左右されたくない」などと考えているかもしれません。その場合、「リラックスグッズの提案」「偏頭痛持ちにおすすめな気候別の過ごし方」などが内容となる記事が読者の潜在ニーズとしてヒットするでしょう。
また、②読者が医療職の場合「患者さんからの信頼を得たい」「根拠に基づいた情報提供をしたい」など潜在ニーズが考えられます。その場合、「参照文献の添付」「筆者の提案例」などの具体的な内容が書かれた記事だと読者に読まれやすくなるかもしれません。
ライター
岩﨑まりさん
読者が一般の方か医療職の方か、また年代や性別、悩みの種類などを細かく考えると、読者の悩みを解決しやすい記事となります。
初心者医療ライターの場合は、「万人に読まれる記事」を書く前に、まず「目の前にイメージできる読者の悩みを解決するには?」と深ぼってみてください。その積み重ねが、結果的に多くの人に愛される記事作成に繋がるでしょう。
読者の潜在ニーズを想定するうえで意識するポイント3選
実際に記事執筆する際には、まず検索ワードを決め、読者の具体的な人物像や潜在ニーズを想定していきます。
ここでは、読者の潜在ニーズを想定する際に意識すべき3つのポイントを紹介します。
1.読者の検索意図を理解する
なぜ読者はその検索ワードを検索しようと思ったのでしょうか。
とくに医療記事の読者は、病院に行こうか悩んでいたり、何かしらの症状があって不安をかかえていたりする場合が多いです。「痛み」「不安」「解消」「原因」などのネガティブなワードで検索する読者も多いでしょう。
また、読者が医療者である場合は、「患者さんから信頼されたい」といった潜在ニーズから「文献」「研究結果」などのエビデンスを検索するかもしれません。
「もし、自分が読者だったら何を検索するか」を考えながら潜在ニーズを想定してみましょう。
2.悩みが解決され読者満足度を高められる記事か
検索ワードから潜在ニーズを想定できたら、「読者の潜在ニーズを満たしているか」「読者が本当に欲しい情報が得られるのか」を意識して、読者の悩みが解決される記事を執筆しましょう。
執筆した記事が潜在ニーズを満たせていなかったら、読者は満足感が得られず他の記事を再検索してしまいます。記事を読むことを途中でやめてしまい、短時間で記事を離れてしまうかもしれません。
読者の自覚していない潜在ニーズを想定した記事内容だと、読者の満足度がいっそう上がります。
3.より価値ある情報を提供できているか
自分の悩みが解決できることはもちろんですが、さらにプラスアルファの情報が得られる記事だと最高ですよね。満足感が得られた読者は、どんどん記事を読み進めたくなるでしょう。
ライター
岩﨑まりさん
一般的な読者に向けた記事では、必要に合わせた専門知識を入れるとる価値のある情報だと喜んでもらえます。
読者が記事を読んだあと、どのような状態になっていると最高なのかを考えて記事を書くと、読者の満足感につながりますよ。
また、記事の閲覧数や滞在時間が増えれば、クライアントから信頼されて依頼を継続してもらえる可能性が高まるでしょう。
潜在ニーズを満たし、クライアントに信頼される医療ライターを目指そう
読者の顕在ニーズと潜在ニーズを把握し読者の「知りたかった!」を引き出すことで、満足度が高まり閲覧数や滞在時間が長くなります。そのような満足度の高い有益な記事を書ける医療ライターだと、クライアントからの信頼も得ることができますよね。
記事執筆を通して、読者の潜在ニーズを引き出せる医療ライターを目指しましょう!
歯科衛生士ライター:岩﨑まり(まりりん)さん
臨床11年・企業2年勤務・ニュージーランドへワーホリ経験もあり。現在は趣味の海外旅行が高じてヨーロッパに滞在しながら、企業で学んだ技術を活かすべく歯科衛生士の方へのパワポ作成や医療ライターとしても活動中。日本語教師の資格も活かし「シンプルにわかりやすく」をモットーにnoteにゆるーく執筆中。
Instagram:https://www.instagram.com/dh_marilyn
岩﨑さんも受講、Medi+の「医療ライターのはじめかた」講座とは?
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