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元薬剤師のラーメン屋”麺屋 熊胆(ゆうたん)”、熊さん

こんにちは!”自分らしく、楽しく、おもしろく” 働く、全国の医療従事者たちを紹介するメディア、「MediJump」です。

今回は、病院薬剤師・薬局薬剤師を経てラーメン屋”麺屋 熊胆(ゆうたん)”を経営している熊さんにインタビューさせてもらいました!

なぜ薬剤師からラーメン屋さんになったのか?どんな過程を経て今に至るのか?気になる点について聞かせてもらいました✨

まいまい

熊胆(ゆうたん)とは、クマ由来の生薬のこと。
熊さんの本名と、「麺屋 熊胆」の目の前にある東北医科薬科大学の学生が興味を持ちやすいようにという思いにちなんで、名付けられたそうです。

元薬剤師のラーメン屋”麺屋 熊胆(ゆうたん)”、熊さん

麺屋 熊胆さん。車や人でいっぱいです…!  photo by mai

ーー初めまして!今回はインタビューを受けてくださりありがとうございます。
 早速ですが、自己紹介をお願いします。

病院薬剤師で4年半、調剤薬局の薬剤師で2年半働いていました。
薬剤師歴は、トータルで6〜7年になります。

薬学部4年生最後の国家試験で合格した薬剤師です!

ーーあの噂になっていた時の!(現在薬学部は6年生です)

空白の2年間の、前の年の薬剤師です。笑

ラーメン屋はオープンして3年目。Twitter(X)Instagramで毎日発信していたので、そこからテレビの取材を受けたりお客さんが来たりして、今に至ります。

最初の1年目は中々鳴かず飛ばずだったけど、自分の好きな福島県にあるつけ麺の再現商品を出したところ、ヒット商品となりSNSからお客さんがどんどん来てくれるようになりました

   熊胆で人気のつけ麺.。甘くてとても美味しかったです😋  photo by mai

ーー根気よく継続したことが、繋がっていったんですね。

そうですね。
去年の11月にラーメンウォーカー宮城グランプリで新人賞1位をとることができて、そこから爆発的に人気が出ました。

【ラーメンウォーカーとは】
「日本一のラーメン情報誌」と呼ばれる、ラーメン好きが集まるラーメンサイト。
麺屋 熊胆さんが載っていた記事はこちら

ーーすごいなあ……ラーメンに興味が出たのはいつ頃からだったのですか?

きっかけは病院薬剤師の頃かな。

病院がブラックだったんです。病院機能評価を取ることになったんだけど、電子カルテのマスタ整備などを1人でやらないと行けなくなってしまって、朝から翌朝まで病院で働いていました。

そんな時に「俺、何やってるんだろう?」と思い、「生きてても楽しくない。お金を貯めて、いつか開業しよう。やりたいことをやろう。」と考えるようになりました。

その後病院薬剤師を辞めて薬局薬剤師になり、「好きなことができる時間が増えたけど何をしよう?」と考えていたら、家の近くに業務用の調理器具を売っているお店があって。「よし、ラーメンでも作ってみるか」と思いました。

最初は趣味だったけど、どんどん本気になっていって。

親に話したら驚かれたけど、「戻れるうちに挑戦したほうがいい。どうせ潰れるんだから!」って言われたんです。笑

親がそう言ってくれるなら、やってみよう。今しかない!と思いました

周りの後押しがあるうちにやったほうがいい。引き止められるものが多いと、それがストレスになって楽しくなくなっちゃうよね。

親も色々と思うこともあったと思うけど、グッとこらえて後押ししてくれたことに感謝しています。

人生を考えたきっかけ・ターニングポイント

熊胆の名物、山椒ラーメン。山椒の量はお好みで選べます。  photo by mai

ーーここが人生を変えたターニングポイントだな、という時はありましたか?

病院薬剤師の時に、「もっとゆるく生きていいかも」と思ったことかな

調剤薬局もやってみたかったし、人生を考え直すきっかけになった。それが今に繋がっています。

究極的にストレスを感じると、やっぱり人生について考え直すよね。

photo by mai

辛かったことや失敗したこと

 壁にはテレビ取材時のサインがいっぱい。 photo by mai 

ーー薬剤師からラーメン屋になるまで、辛かったことや失敗したことがあれば教えてもらいたいです。

全責任を負っていたのもあり、病院薬剤師が一番辛かったかな。

自分の上司がやるはずの仕事を全部自分がやって、上司と医師の緩衝材みたいになっていた。

残業も多くてストレスもあったし、疲弊してたし、つまらなかったなあ。

ーー体を壊さなくてよかったですね……!

あと、ラーメン屋をはじめた最初は、売り上げがどう頑張っても上がらなかった

19人しか来ない日もあったし、隣のお店が繁盛してるのを見て悔しかったことも。

「絶対潰れる……」と落ち込んでいた

ーー今じゃ考えられないですね……そこからどうやって今に至るんでしょうか?

「目立つしかない!」と思って、1年くらいかわるがわる手の込んだラーメンを作って出していた。えび、煮干し濃いやつ、色んなメニューを作ったなあ。

そんな時、福島県の友達のお店からインスパイアを受けて、試行錯誤してオリジナルのつけ麺を作ってみたら、ヒットして持ち直した。開業一年目の最後で、「これでダメならダメだ!」と思った渾身の作でした。そういうものは、大体当たるんだよね。

スープは甘くてお肉も大きくて最高! photo by mai
煮卵も麺もとても美味しかったです✨ photo by mai

1つ目玉ができると「ここに行ったらこれを食べよう」というメニューができるから、お客さんにも分かりやすい。

あとは、店を経営するということに対して勉強不足のまま始めたことが失敗だったかな。

「自分のことを自己主張する、発信する」ことが苦手で、「手前味噌ですが、よかったら美味しいから食べて」と思ってしまう。経営力不足が露呈したことがキツかったな。

今うまく行ってるのは運だと思う。

ーー上手くいくまで諦めなかったことも、すごく大きいと感じました。

色々こねくり回したからね。

あとは、開業した時に目に見えてお金が減っていくことが辛かったな。墜落していく飛行機に乗っているようだった……

ーー私もフリーランスになったばかりの頃、同じように感じていました……。

どんな仕事でも、始めた時は持ちこたえなきゃいけないことや心折れそうになることが増えてくるよね。

開業した後も従業員がなかなか集まらなくて、これも「開業して辛かったこと」のひとつかな。あらゆる人に助けを求めて、乗り越えました。

現在の働き方

熊さんそっくりのPOPが可愛い🌸 photo by mai

ラーメン屋を始めた時から、ラーメン屋一本で働いてるよ

寝て起きて、仕込みして、麺売って茹でて、スープ焚いて、家に帰って寝るの繰り返し。

13~20時間店にいるし、薬剤師は働く時間がないから、スポットで派遣薬剤師とかもやってないね。

「ここまでマイナスになったら、流石に戻ろう」という区切りは思ってたけど、結局そうならなかった。

ーー潔いですね!「お金がなくなったら、単発で薬剤師の仕事をしよう」と思いがちなのではと考えていました。

それはいいと思うけど、「薬剤師に戻れるからこそ、ハッチャケることができる」と思っていて。

よく「潰れたら薬剤師やればいいよね」と言われるけど、「ぶっちゃけ、絶対お前よりも仕事してる時間も考えてる時間も多いよ」と思ってる。

「どうせ薬剤師だから舐めてるでしょ、薬剤師だから売れてるんだろ」と思う人もいると思うけど、営業時間とかで本気でやってることが目に見えてるし、「じゃあ、同じ生活できる?」「俺はできるよ、今やってるからね」ってバサって言ってしまうね。

分かる人は分かってくれるよ。

可愛いPOPは、元郵便局員のスタッフさん作だそうです。 photo by mai

今後やりたいこと

photo by mai

ーー今後やりたいことなどあれば、教えてください!

今の状態が、人生死ぬまで続けばいいと思ってる

今はある程度悠々自適だなと思っていて、「やりたいことや楽しいこと」がラーメン屋以外に全然ない。

従業員にも恵まれている。ゲームのガチャで言うと、星5星6の精鋭揃いで嬉しいし、「仕事が辛い」と思ってるスタッフはほとんどいないんじゃないかな。

自分も含めて、関わった人の生活が豊かになるお店を作っていきたい。

後輩薬剤師へメッセージ

photo by mai

ーー後輩の薬剤師や医療従事者に向けて、メッセージをお願いします。

これね、すごく考えたんだけど。

まず、フリーランスになりたい人は絶対口に出すべき。内に秘めてる人は大体実現しないまま終わってしまう。

そして、すごい小さくていいから一歩を踏み出すべき。例えば俺なら鍋を買う、ガラが全然手に入らなくても「ガラを下さい」と片っ端から連絡をしてみる。

そうしたら、「面白いね、お前!」と協力してくれる人が出てくるんだよね。「これやったほうがいいじゃん!」と応援してくれる人が増えていく。

自分で無理やり環境を変えることが大事。「〇〇する!」と言い続けると、やり始める。やり始めると、趣味になるからね。

お店の中に、薬剤師免許証も飾ってありました💊  photo by mai

そして、薬剤師をずっと続けたいと思ってる人にも伝えたいことがあって。

原因がなくて薬剤師をやめたい人は見方を変えるべきだし、業務の中で何か面白いこと・得意なことを見つけるべきだと思う。

それが見つけられない人は、どの職業に行っても面白くないと思う

俺はそうやって、平均3ヶ月で辞めると言われていた病院を、3年半続けることができた。

ーー熊さんは、病院薬剤師の時はどんなことを楽しみにしていましたのですか?

例えば自分の場合は、NST(栄養サポートチーム)の研修が楽しかった。処方補助をすることができたから、医師の目線から薬を見て、自分のアドバイスから患者の症状がよくなることが嬉しかったな。

ーーそれは楽しいし、やりがいも感じそうですね!自分から楽しみを見つけていくことが大事ですね。今回はたくさん話を聞かせてくださって、ありがとうございました!

インタビューを終えて

「これだ!」と思ったら、努力を惜しまない熊さん。

薬剤師から他職種に転向した先輩として、今までの経験から得た根気・継続力を生かして、ラーメン屋さんを経営されていました。
そして、だからこそ成果が出て、周りの人からも信頼を受けているんだなあと感じました。

まいまい

ここまでやるなら、それは売れる!と思わされるインタビューでした。
そして、つけ麺が本当に美味しかったです……これはヒット商品でしかない!!また食べにいきたいです✨

麺屋 熊胆さんについて

X(Twitter):https://twitter.com/ZZOKO8Af4Ljcr5r
Instagram:https://www.instagram.com/men_ya_yutan/?hl=ja

名称麺屋 熊胆
住所宮城県仙台市青葉区小松島4-15-26
営業時間11:30〜14:30 17:30〜20:00
電話番号022-341-7994
定休日月曜日
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メディア運営・編集

京薬卒、(株)Medited代表取締役。 医療・取材ライターや医療系介護メディアの編集長業務、キャリアスクールでの講師メンター業などを経て2020年よりオンライン動画講座「医療ライターのはじめかた」メディア「MediJump」の運営を開始。2022年より医療×Webクリエイターの交流コミュニティ「MediWebラボ」をスタート。2023年に法人化し、経済産業省JStarX起業家プログラム等に採択。「医療資格は、ずっと味方」をテーマに活動しています。