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【卒業生インタビューvol.12】“今の自分”にできることをチャレンジ!作業療法士から転身、ディレクターの西みねこさん

出産をきっかけにして、臨床で働くことに難しさを感じた医療従事者は少なくないでしょう。

西みねこさんもその中の一人です。みねこさんは、第1回医療系メディアディレクション講座(2023年9月開催)の卒業生。第3子出産をきっかけに作業療法士から医療ライターに転身しました。

当時、「育児を最優先にしたい」と考え、作業療法士から在宅ワーカーへ転向したみねこさん。それでも医療に少しでも関わりたいという想いから医療ライターを選びました。

みねこさんが出産を機にキャリアチェンジし、どのように医療ライター、ディレクターのキャリアを築いたのか――。「医療系メディアディレクション講座」を受講してからの現在の働き方、ディレクター業に対する想いを伺いました。

作業療法士からディレクターへキャリアチェンジ・西みねこさん

ーー今日はよろしくお願いします。さっそくですが自己紹介をお願いします。

私は作業療法士として、リハビリテーション病院や通所リハビリテーション施設、訪問看護ステーションなどで約10年間働いていました。その間に2度の出産を経験し、育児で一定期間の休みはあったものの、ずっと臨床で働いてきました。

第3子の出産を機に、在宅で医療ライターをはじめたのが2015年ごろ。とはいえ、本腰を入れて医療ライターとして活動開始したのは2022年になってからです。

今は興味があることに挑戦できているので、楽しく働けています。

子どもの安心を最優先に…医療者としてのキャリアを“休む決意”

ーーなぜ第3子出産のタイミングで医療ライターに転身したのですか?

第3子は小さく生まれたので、直感的に「臨床現場にはすぐ戻れないかも」と思ったんです。その時に、在宅で働くことに決めました。

在宅の仕事に医療ライターを選んだのは、医療という仕事に関わっていたい気持ちもありつつ、文章を書くことが昔から好きだったからです。以前に作文添削の仕事もしていたので、そのスキルを活かせそうだと思ったのもありました。

当時は「医療ライター」という言葉も一般的ではなかったと思います。クラウドソーシングサイトで仕事を見つけて、独学で細々とやっていました。「できそうな仕事があったらやる」程度の働き方です。

数年経ち、第3子が小学校に慣れたころに「そろそろ働けそうかな」と思い、パートとして少し臨床現場に復帰したんです。

しばらくして、子どもが小学校に行けなくなってしまって……。いろいろ悩みましたが、今は子どもとしっかり向き合う時間を優先しようと思い、臨床の仕事を一旦辞める決意をしました。

「“今の自分”にできることをチャレンジする」前向きな気持ちに

ーー臨床の仕事を辞めて再度医療ライターとして活動しようと思えるようになったきっかけは何だったのですか

臨床の仕事を辞めて、ほそぼそとライター活動をしているときにクラウドソーシングサイトが運営している、新しい働き方を応援するコミュニティに出会い参加したのがきっかけです。

そのなかで、心理学の一種である「幸福学」をテーマにした企画に参加しました。幸福学とは「幸せを追求した活動で、幸福度は高められるのか」という考え方です。

半年間で「ウェルビーイング(Well-being)*」について学び、グループワークを通じて、自分自身を見つめ直す時間を持つことができました。

企画では、今の自分の幸福度を把握し、自分がより幸せになるために試行錯誤をしていきます。

そこで実は「外で働くことができない」「在宅でしか働けない」と、どこかで自分の置かれている環境に不満を感じていたことに気づいたんです。企画を通じて、周りの人たちが目標を持って積極的に行動していたり、常に感謝の気持ちを持って生活していたりする姿に「ハッ」とさせられました。

「今の状況だからこそ、できることがあるんじゃないか」「今の自分にできることにチャレンジしてみよう」という気持ちに変わった出来事でした。

ウェルビーイング*:精神的・肉体的・社会的に満たされている状態を表す概念。

「医療系メディアを立ち上げたい!」講座受講を決意

ーー2022年に医療ライターを本格的にはじめてから、どのようなきっかけでディレクターを目指されたのですか?

医療ライターをはじめてから「医療系メディアディレクション講座」を受けるまでの8年間、クライアントからのフィードバックや書籍やインターネットで調べた知識と経験だけで書いてきました。

良いクライアントに恵まれてきたので、仕事もいただけていましたが、「自分の執筆スキルは本当に正解だろうか?」という不安があって……。また、本格的に医療ライターを始めると、仕事をしていくうえで、同じ悩みを話したり、学んだりする仲間が欲しいと思うようにもなったんです。

そこから、「医療系メディアディレクション講座」の受講を決意しました。

ディレクション講座を選んだのは、ディレクターになりたいというよりは、「自分でメディアを作ってみたい」という動機が強かったです。

実は、フォローが必要な子どもの生活の工夫などを共有できるメディアを運営したいと思っていて。実際自分がメディアを運営していくことになったら、Webライターさんに外注したり、管理したりする必要が出てくる。そんなときに必要な心得を学びたいと思い受講しました。

また、卒業後に医療系クリエイターのコミュニティにも参加できることにも魅力を感じました。

ーー実際に受講されてみていかがでしたか?

オンライン交流会で多くの経験ある方々から、さまざまな話を聞けて、とても勉強になりました。講座で学んだ「褒めるポイントを意識して添削する」というのは、現在ディレクターとして働くうえでも心がけています。

ただ、講座を受けてすぐに実際の仕事としてできるようになるかは、行動次第だと思います。Webライターとは働き方が違うので、自分でどう意識して行動を変えていくかが大切ですね。

現在は医療系メディアディレクター・編集者として活躍中

ーー以前は一人でこなし切れない大きな仕事は断っていたというみねこさん。講座卒業後は大きな案件も獲得し、医療ライターを複数抱えるディレクターとしての活動を開始しているそうですね。

はい。講座受講前は一人で抱えきれなそうな大きい案件はお断りしていました。せっかくお声がけいただいたのに、申し訳ない気持ちでしたね。

講座卒業後は他の人にもお願いする前提で、案件を受けようとは思っていました。ただ、講座卒業直後は自分の医療ライターの仕事がいっぱいだったため、すぐにはディレクターとしては働かず、しばらく今までどおり自分ができる本数を受ける形でで働いていました。

医療ライターとディレクターでは、スケジュールも大きく異なってくるため働き方を切り替えるタイミングを調整する必要もあります。私は半年くらいで徐々に切り替えていき、現在は「医療ライター+ディレクター」というような立場で仕事をしています。

医療ライターとディレクターの働き方の違い

ーーディレクターに挑戦してみて、Webライターとの違いなどはありますか?

Webライターだと、一般的に「このキーワードで書いてください」という指示に沿って執筆します。メディア自体がどのように作られているか知らないWebライターさんも多いでしょう。

ディレクターをやると、メディアがどのように作られるのか、メディアが作られていく過程や全体像を知れると思います。

もともとスケジュール管理が得意ではないので、ディレクターの仕事の一つであるスケジュール管理は特に難しく感じます。クライアントのペースに沿って、Webライターさんのスケジュール管理もしつつ、変更があればその都度調整が必要になってくるところですね。

複数人のWebライターさんと仕事をするので、統一感はあっても記事の内容は被らないようなルール作りや指示出しも必要になります。

実際に私がディレクターをやってみて、気をつけているポイントです。

・Webライターに比べて、複数人のスケジュール管理が難しい
・メディア全体を考えて、バランスのよい記事になるようにそれぞれのWebライターさんに指示を出す
・同じような記事にならないようにマニュアル作りや指示出しをする
・既存の記事と被らないようなテーマや、季節に合わせた記事を考える

自分の経験上、とくに多くのWebライターさんと仕事をするディレクターさんだと、ペースを崩さずに仕事を進められるタイプの人がディレクターに向いているかなと思います。クライアントの求める質を担保しつつ、納期に間に合わせるために、個々のWebライターさんに対応していくことが大事なので。

医療系メディアディレクター・みねこさんのスケジュール

ーー育児に仕事にと多忙なみねこさんですが、1日はどのようなスケジュールで動いていますか?

朝は9時ごろから仕事をはじめます。スケジュールは日によりますが、ディレクターとしてメールの返信や打ち合わせ、原稿のチェック、医療ライターとして自分の原稿執筆をしています。

子どもが16時半ごろに帰宅するので、そこから1時間くらいは宿題を見たり学校であったことを話したりして。どんなに忙しくても、子どもと向き合うこの時間を大切にしています。

子どもが寝た21時ごろからまた仕事を再開する……1日はそんなスケジュールです。

固定の休みは決めていません。どうしても子どもの習い事や病院などで休まざるを得ない日が月に何回もあるので、そのタイミングを休みにしています。

臨床で働いていたときは、子どもが熱を出したら病院を探して、病児保育の空きを確認して、依頼書を書いてもらって、子どもを病児保育に連れていって……と子どもの体調不良時は「明日の仕事どうしよう」とスケジュール調整に悩まされるのが大変でした。

在宅ワークになってからは、子どもの体調不良時にもそばについていられるところがお互いに安心だなと感じます。ただ突発的に何かあっても対応できるよう、納期を1日以上前倒しして進めておくなど、つねに仕事に余裕を持っておくことを心がけています。

メディアを作る面白さが“やりがい”に

ーーディレクターをやってみて感じる面白さや、やりがいは何だと思いますか?

クライアントと一緒に考えてメディアを作っていけるところだと思います。与えられた仕事をただこなすだけでなく、クライアントの要望を聞いて、その要望に応えるための提案をする。

与えられたテーマに対して自分がどのように届けたいのかを考えて提案できるところでしょうか。

クライアントが「これがやりたい」「ここに力を入れて行きたい」「だけどどうしたらいい?」というところに提案して関われるのがディレクターのやりがい、面白さですね。

ーーとても充実してお仕事をされているのですね!在宅ワークになってよかったことはありますか?

なにより子どもが「お母さんが家にいるのが安心だから学校に行ける」と言ってくれることですね。

仕事面で良かったのは、医療ライターという収入の柱があるため、やってみたいことをボランティアやプロボノ活動*として挑戦できることです。

仕事では、勤務日数や時間の制約のために、諦めざるを得ないことでも、ボランティアやプロボノ活動であれば、自分の参加できる範囲内で活動できます。

今の時代は、オンラインで活動できることも増えているので、場所に縛りがありません。自宅で子どもと一緒にいられる環境で、自分のやりたいことに挑戦できる今の働き方が自分に合っているなとしみじみ感じています。

プロボノ*:その人が仕事で使う専門的なスキルや知識を使って社会貢献活動をすること

自分が変わったら、やってみたいことがたくさん見つかった

ーーみねこさん自身が変わったら、私生活も仕事も好転していますね。今後みねこさんがやってみたいことを教えてください。

もともとはメディアを立ち上げて、フォローが必要な子どもの生活や学習で困ったことや実際の経験などを発信したかったんです。現在、言語聴覚士さんと一緒に「LD本音トーク」としてXのスペース*配信や、noteで記事を公開しています。今後は、プロボノ活動に参加しつつ、医療ライターの仕事をどのように広げていくのかを考えていきたいと思っています。

スペース*:X内で音声を使用して会話やリアル配信ができるシステム

ーー最後にディレクターを目指す方にメッセージをお願いします。

「自分でメディアを運営してみたい」「編集をやってみたい」「メディアの制作から関わりたい」などメディア全体に関わってみたいという方はぜひディレクターの仕事にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

どのようにメディアが作られているかを知ると、そのメディアの中での記事がどのような意味を持っているかを知れるので、医療ライターとしてのスキルもプラスになると思います。

興味があることにいろいろチャレンジしてみてもらいたいですね。

ーー今日はありがとうございました!

医療系メディアディレクション講座
「メディア運営ができるようになりたい」「ライターから幅を広げて活躍したい」そんな方におすすめ!医療ライターチーム運営や記事の品質管理、テキストコミュニケーションなど、手を動かして実績と経験値を獲得します。

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執筆

薬学部卒業後、大学病院の薬剤部で研修を経て、病院薬剤師、ドラッグストア、調剤薬局と様々な職種を経験。現在は地域医療や在宅ケアに注力。
適切な情報をより多くの方へ届けるため、執筆活動中。さらに仕事の幅を広げるため、医療系取材ライター活動を開始。

趣味は旅行、ワイン、ネットサーフィン。最近フルマラソンに挑戦すべくランニングを開始。