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【卒業生インタビューvol.36】自分のペースで少しずつ。在宅ワークに挑戦中、薬剤師のなかこまさん

体調を崩し医療現場を離れる——。

社会から切り離されたような孤独感、今も忙しく働く同僚への申し訳なさ、何者でもなくなった自分への戸惑いなど、多くの不安があるでしょう。

薬剤師のなかこまさんは、体調不良をきっかけに退職。第19回「Medi+医療ライターのはじめかた講座」(2024年9月開催)を受講し、在宅ワークに挑戦中です。また、Medi+運営のオンラインコミュニティ「MediWebラボ」の交流から新しい価値観を見つけました。

「フルタイムで会社員として働くことだけが正解じゃない」

自分に合ったペースで、在宅ワークを実現されているなかこまさんに、たくさんお話を伺いました。

研究開発から医療ライターに転向、なかこまさん

ーー最初に自己紹介をお願いします。

薬剤師のなかこまです。ライターネーム「中村悠太」で活動しています。

大学卒業後、ジェネリック医薬品・OTC医薬品を扱う製薬企業で研究開発や人事に携わりました。体調不良により休職をしながら2年ほど勤務しましたが、退職しました。

その後は、薬局薬剤師や、B型就労継続支援*を利用しながら、飲食店のアルバイトを経て、現在は在宅ワークをしています。精神障害者保健福祉手帳を持っており、公的な支援や家族のサポートを得ながら生活しています(2026年3月現在)。

B型就労継続支援(B型作業所)*:障害や難病により一般就労が困難な方に、生産活動の機会を提供する福祉サービス。雇用契約を結ばないため、体調に応じた柔軟な働き方が可能。リハビリを兼ねた作業の対価として工賃を受け取りながら、自立や社会復帰を目指す場。

ーー自分自身をどのような性格だと思いますか?

試行錯誤しながらコツコツ積み上げていくタイプです。ただ何事にも自信が持てず、周りによく助けてもらっていますね。
他人からは人には優しいけれど、自分自身にはストイックで厳しいイメージも持たれます。

薬剤師の働きかたが合わず、在宅ワークへ

ーー講座受講のきっかけは何だったのでしょうか?

医療従事者の一般的な働きかたが、自分には合わなかったことがきっかけです。

体調を崩してから、薬剤師法における適格基準*や制度上の問題などから、薬剤師として復職するのが難しくなってしまったんです。

福祉的な支援を受けながら、医療以外の仕事で復帰することも考えましたが、それも難しく……「それなら外で働くのをやめて、在宅にしよう」と考えるように。

医療資格を活かした在宅ワークを検索していたところ、「MediWebラボ*」を見つけました。「MediWebラボ」の運営元である「Medi+(メディタス)」では医療ライターを育成する講座もおこなっていることを知り、「文章力なら、他の業務にも活かせそう」「在宅ワークなら体調管理しながら働ける」と考え受講を決めました。

薬剤師法における適格基準*:薬剤師法第5条では、心身の障害により業務に支障をきたす恐れがある場合、免許の付与に制限できると定められています。現在は個別に判断されますが、医療現場での厳格な責任をかえりみ、復職への高いハードルとなっている現状があります。

MediWebラボ*:株式会社Medi+が運営する「医療×Webクリエイターのための交流コミュニティ」。医療者専用オンラインスキル学習プラットフォーム「Medi+」卒業生だけでなく、卒業生以外の医療系クリエイターも参加し、さまざまな医療系クリエイターと交流できる場所として運営している。

講座で作成したポートフォリオで案件獲得!

ーー実際に受講してみて率直な感想を教えてください。

医療ライターとして自走するところから、記事執筆まで、網羅的に学べる実践的な内容でした。テストライティングを通過するためのライティングの基礎力はしっかりと身につけられました。

Web記事を執筆するメディアの分析や、直営業の手法などの内容もありました。

ーー具体的にどのような点が良かったですか?

ポートフォリオの作成で、現役の医療ライターである添削サポーターの方にアドバイスをもらえたことです。医療ライターの先輩方のポートフォリオやプロフィールを参考に、受注率が上がる内容や掲載の順番など具体的なアドバイスをもらえたのが良かったですね。

医療ライターとして簡単にスタートを切れない方も多いなかで、受講後すぐに案件獲得できたことは大きな手応えになりました。一人では案件獲得できなかったと思います。ポートフォリオやプロフィールを整える大切さを教えてもらいました。

理想のワークスタイルとは?初案件の失敗を糧に

ーー初案件はどのように取り組みましたか?

情報源を意識して取り組み、おかげさまで良い評価をいただき継続案件につながりました。

一方で、クライアント都合の日程変更によりスケジュール管理が思うようにいかず、期日までに記事納品が間に合わないという状況に……。また、請求書の発行などの慣れない業務が重なり想像以上に大変でした。

ーーそこで学んだことや心構えとして大切なことはありますか?

講座の学習ペースでは、1週間に1本あるいは2週間に1本は対応できると想定していましたが、実際の案件では連絡対応やレギュレーションの違いなど、はじめてのことが重なり、思うように進められませんでした

在宅ワークを円滑に進めるためのソフトスキルも必要だと気づきました。また、医療ライターとして活動をはじめた後も、スキルアップのための勉強時間は大切でした。

私の場合は、クライアント側の状況に沿いながら活動する医療ライターでは再び体調に負荷がかかることが予測されたため、一度休業することにしました。

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自分らしい種まきからはじまる新しい挑戦

ーー医療ライターの案件後は、どのようなことをされていたのですか?

自分のペースや体調にあわせた働きかたを模索しており、現在挑戦しているのが「医療翻訳*」です。医療翻訳の仕事はクライアントとのやり取りも少なく、自己管理がしやすいと考えたんです。

通信講座などを活用して、論文の読解に必要な英語スキルを新たに身につけました。先日、目標としていたTOEICトータルスコア900以上を達成でき、今後も医療翻訳の仕事がはじめられるように研鑽を積んでいきたいですね。

医療翻訳*:医薬品や医療機器に関する翻訳をする仕事。医療や語学に関するハイレベルな専門知識が求められる。

「納得できる働きかた」は自分で!医療現場復帰も視野に

ーー今後、医療翻訳者としての活動を考えているのでしょうか?

医療翻訳に主軸を置いて、医療ライターを完全に休業しようと考えていた矢先に、最近記事執筆の依頼が入ったんです。改めて取り組んでみたところ、「条件さえ調整すれば医療ライターとしてもやっていける」と小さな自信につながりました

今後は、自分に合う案件で医療ライターとして活動しつつ、医療翻訳の勉強も進めていこうと思っています。実は、医療分野以外のエッセイやコラムなどの一般公募にも挑戦中です。

今は“種まき”の段階ですね。医療ライターとして活動した経験から、仕事内容や稼働時間など、自分に合う働きかたがわかるようになりました。最近、そのことをまわりに伝えていたところ、「ちょっと働いてみない?」と、お声がけいただいたんです。

ーー素晴らしいですね!ちなみに、どのような仕事内容ですか?

病院薬剤師です。通院先の病院で、私のキャリアに興味を持ってくださったそうで、主治医を通して採用について相談がありました。

ただ、現在も週20時間を超える勤務体制やコミュニケーションが多い仕事では体調を崩すおそれがあるため、条件のすり合わせをしながら慎重に進めているところです。

自分がしっかりと働ける条件を提示することも責任だと感じています。

医療ライターなかこまさんの1日のスケジュール

ーー自分が納得できる働きかたが見つけられると良いですね。なかこまさんの1日のスケジュールを教えてください。

1日のスケジュールは、体調管理のため生活リズムを一定に保つよう心がけています。
休憩時間をしっかりとることや、スキルアップのための勉強時間を大切にしています。体力回復のため、基礎的な運動も欠かせません。

【1日のスケジュール】

6:30起床、朝食
8:00~11:30作業時間
11:30~14:00昼食、休憩
14:00~16:00作業時間
16:00~17:00コーヒーブレイク
17:00~19:00運動、英語・ライティングの勉強
19:00夕食、お風呂、リラックスタイム
23:00就寝

すきま時間には、リハビリ目的ではじめた筋トレや裁縫、料理などを趣味として楽しんでいます。ピアノの弾き語り、リボン型のバレッタ作り、お菓子作りにも挑戦中です。

元々は、社会復帰のためのトレーニングでしたが、良いリフレッシュ法になっています。

「MediWebラボ」で見つけた、自分の正解

MediWebラボ3周年オフ会の様子

ーー一度は医療現場への復帰を諦めたなかこまさんですが、現在前向きに取り組まれていますね。そのきっかけは何だったのでしょうか?

「MediWebラボ」という居場所を見つけたのは、一つのきっかけですね。

医療現場を離れてみて、社会から切り離されたような孤独を感じたときもありました。しかし「MediWebラボ」で同じバックグラウンドを持つ仲間との交流は安心感をくれるだけでなく、新しい働きかたに挑戦している人が身近にいることは、とても良い刺激になります。

また「MediWebラボ」には勉強会のイベントも多く、働きかたの選択肢も広がりました。先日は図解作成のイベントがあり、参加しました。そのおかげで新しいアイデアが生まれ、学術資料としての図解・グラフ作成や論文のスライド化の仕事をはじめています

新しい価値観を発見した「大切な居場所」

ーー「MediWebラボ」を活用するメリットは何でしょうか?

私にとって一番のメリットは、安心感やモチベーションの維持ですね。

製薬企業を退職して「社会復帰しないと厳しい」「社会とのつながりがなくなる」と周囲から言われてきました。「MediWebラボ」では、そんなことをいう人はいませんでした。「自分の好きなことをすればいい」「無理せず働いて」と言われたのは、はじめてでした。

また、講座の添削サポーターとして活躍する同期の存在も大きな励みになっています。最近では、オフ会にも参加してるんですよ。

ーー「MediWebラボ」に参加して、どのように考えかたが変わったのでしょうか?

「MediWebラボ」に参加されている方は、「自分に合った働きかた」を実現されている方が多いです。本業と副業を両立させている人、旅をしながら薬剤師として働く人、在宅ワークで生計を立てている人——。「MediWebラボ」に参加して、多様な働きかたを知り、「社会に復帰することやフルタイムだけが正解じゃない」と教えてもらいました

無理をしてフルタイム勤務を目指すのではなく、医療福祉のサポートを基盤に、在宅ワークを自分のペースでするのが最適解ではないかと思えるようになりました。ライティングや図解作成、医療翻訳などを組み合わせて生活基盤ができることを目標にしています

挑戦することが大切!

ーー最後に一言、受講を検討されている方へメッセージをお願いします。

私は医療福祉的なサポートを受けながら活動しているという点で、他の方々とは少し状況が違うかもしれません。しかし、少しでも興味があるのであれば、受講してみることをおすすめします。

大切なのは、自分の可能性を広げることです。実際に挑戦してみることで、在宅ワークが合う、合わないを知るきっかけになります。

まずは「挑戦してみる」。そのこと自体の素晴らしさがみなさまに伝われば嬉しいです。

ーーありがとうございました。応援したくなるような素敵なお人柄のなかこまさん。今後のご活躍も楽しみにしています!

医療ライターのはじめかた講座
医療者専用の医療ライター講座として2020年にスタート。約100名の卒業生が90以上のメディアで活躍中。医療資格を持つ医療・薬機法ライターによる無制限の質問添削対応が大好評!医療情報をわかりやすく届けたい方におすすめです。

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執筆

臨床検査技師。現在、二次救命救急病院にて細胞検査士として勤務。本業の傍ら、動画編集クリエイターとして活動中。女性が自分らしく健康で幸せな生活を送るためにをテーマにSNSで発信している。地域の人へ、健康維持に役立つ医療情報や医療者の声をお届けしたいとMedi+主催「第2回医療系取材ライターのはじめかた」講座を受講。