今回は、新卒で起業し、現在ハーブ専門店「Herb for you」を経営している薬剤師のひとみさんにインタビューさせてもらいました!
ハーブ専門店経営、薬剤師ひとみさん
ーー初めまして、今回はよろしくお願いします!早速ですが、簡単な自己紹介をお願いします✨
初めまして!薬剤師歴は今年で3年目になります。
高校まで大分県で育ったのですが、大分県に薬学部がないことや神戸の街並みに憧れていたことから、関西の神戸薬科大学へ進学しました。
その後、卒業と同時に大分県に戻りハーブ専門店「Herb for you」をオープンしています。
現在は開業して丸2年経ちました!
【Herb for you とは】
「ハーブで日々の健康をサポートする」をコンセプトに、大分県で営業されている完全予約制のハーブ専門店です。
・オリジナルブレンドハーブ、シングルハーブ、精油(エッセンシャルオイル)の販売
・カウンセリングをし、1人1人の体質、お悩みに合わせた「オーダーメイドハーブ」を提供
・ハーブやアロマを使ったワークショップや勉強会
など、ハーブを通して様々な取り組みをしています。
ハーブカフェ経営から、完全予約制のハーブ専門店へ
ーー以前はカフェもやられていたそうですが、現在はハーブ専門店としてご活躍されているんですね。
卒業してすぐオープンした頃は、カフェとしてオープンしていました。基本的に一人でお店を回して、忙しい日は母に手伝ってもらっていました。
でも段々、カフェとカウンセリングのお客さんがごっちゃになってしまって。お客さんをお待たせすることが増えてしまったんです。
日々の健康に寄り添えるカウンセリングを重点的に行おうと思い、カフェを辞める決断をしました。
ーー「患者さんへのカウンセリング」を1番に考えて、現在の「完全予約制ハーブ専門店」の形になったんですね。どんなお客さんが来られているんですか?
特に、健康志向の人、元々ハーブが好きな人が集まっていましたね。薬剤師や薬学生の方も来てくれていました。
他にも、健康や将来に不安のある、おじいちゃんおばあちゃんが来てくれています。
「薬剤師」ということでお薬手帳を持ってきてくれ「薬の飲み合わせ大丈夫かな?」「血圧のコントロールをどうしたらいいかな」という相談に乗ることも。一緒にツボを押したり食生活を考えたりもしています。
「食生活や運動、生活を全部変えたい!」という方もいて、食事運動睡眠、生活習慣を全部一緒に考えて計画を立てたこともあったし、メンタルケアもしていました。
幅広い人が訪れてくれているなと感じています。
ーー薬剤師の領域にとどまらず、相談に乗っているんですね。
そうですね、心の相談は半数近くあります。
精神科に行き辛くて「まだ行かなくて大丈夫だと思うんだけど……」と考えている方が多く来られていますね。
そんな方でも、気軽にハーブを通じて悩みを聞けるので、お店を経営していてよかったなと思います。
お客さんと話すことは楽しいし、悩みを共有して「前までマイナスだったものがプラスになったよ」とか、「今日は何個プチハッピーを見つけたよ」とか。成長を共有できることも嬉しい。
自分が楽しいから続けられてるところはありますね。
ハーブやアロマを好きになったきっかけ
祖父母の家が大分県なので、小さい頃から周りに沢山の自然がありました。
ドクダミやシソなど、和のハーブが身近にあって、なんとなく植物やお花が大好きだったんです。
そして大学になり、神戸のハーブ園に何回も行くうちに更にハマるようになりました。
「なんでこんなに癒されるんだろう?」と思った時に、医薬品の半分は植物由来の成分からできていると言われていることを知り、学問として面白くて夢中になりました。
在学中の学会で教授から提案してもらい、何度か「ハーバルカフェ」というコラボ企画をさせてもらったことも、大きな経験でした。
その後、国家試験と並行して「ハーバルセラピスト」という資格をとりました。
ーー国家試験と並行して資格を取るのはすごいですね、大変だったんだろうなと思います……!
実習でがん患者さんと関わって以来、ハーブやアロマを通してあったかい繋がりを持ちたいという気持ちがすごく大きくなったんです。
薬局だと、どうしても「薬を渡す」という効率重視になってしまうのではと考え、それなら自分のしたいことがゆっくりできるお店を作りたいと思いました。
ーー何かに急かされるより、自分のペースで患者さんに関われると嬉しいですよね。
そうですね。
実習生の時は実習生だからこそ、患者さんと話す時間をゆっくりとらせてもらえたんじゃないかなと思います。
でも実際に働いたら、どうしても限りがあるんじゃないのかなと感じていました。
だったら自分で、自分にとって一番薬剤師としての理想の働き方ができる場所を作った方がいいと思いました。
「どうやっていこうかな?」とか「どうやって実現させようかな?」と考えている時間が楽しいですよね。
人生を考えたきっかけ、ターニングポイント
ーー今の働き方をしたいと思ったきっかけや、ターニングポイントはどんな時でしたか?
学生の頃の、病院実習と薬局実習が最大の転機・きっかけでしたね。
大学4年生の初めの頃は、病院や薬局、製薬会社やMR、研究職もいいなと思っていて、色々なところへインターンも行っていました。
病院実習では、目の前に寝たきりの患者さんがいること、生活習慣病が悪化している方と触れ合うことが多かったですね。
そういう人にも寄り添いたいと思いつつ、その一歩手前で関わる人って実はそんなにいないんじゃないかな?とも思うようになりました。
患者さんと接する中で、体のケアと共に心のケアもすごく大事だと感じ、ちょっと気軽に「自分のプチ不調」を相談できるところがあったらいいなと思ったんです。
もともとハーブやアロマが大好きだったので、薬剤師として自然の力を使って日々の生活に寄り添うのが理にかなってるなと思い、自分でやろうと思いました。
ーーひとみさんの得意な部分を生かして、患者さんに関わっているんですね。
そうですね。私自身、クリエイティブなことが好きなんです。
また、人生のなかで何をしたいかって思った時に、「自分の人生を楽しく生きる」ことをしたいなと思うようになりました。
じゃあ自分が楽しく生きるために周りの人をハッピーにして、自分もハッピーになったらいいよねと考えています。
その流れを「薬剤師としてできたらより良いな」と思うようになり、起業しました。
ーー卒業してすぐに起業されましたよね?その勢いがすごいなと思っていました…
新卒で起業できる人は少ないし、最初からtwitterで発信されていましたよね。
卒業後3ヶ月くらいで、超特急で起業の準備をしました。
Twitterはゆるい発信しかしていなくて、普段何してるかわからないと言われます。薬学生の方が会いに来てくれた時に「あ、意外とこんなことできるんだ」って言われてしまいました(笑)
あまりビジネスに振り切りたくないというか、お店の宣伝を沢山するよりも、自由にゆるく呟きたいと思っています。
ーーそうだったんですね。ひとみさんのツイートが流れてくると、「あ、ハーブってなんかいいな」と心のどこかに引っかかる人は多いのではと思います。実際自分もそうです(笑)
ふとした時に「ハーブのことなら、あの人のツイートもう一回見てみようかな」とか。
そう思ってもらえることは、とても嬉しいです!
辛かったことや失敗したこと
ーーハーブ専門店を経営するまで、「辛かったこと」や「失敗したこと」はありましたか?
オープンしてからは、そんなに困難はなかったのですが、オープン前は大変で凄く泣いた記憶があります。
「ハーブのお店をやりたい!」「病気になる一歩手前の患者さんに関わりたい」という思いが凄く強くて、Twitterや知り合いのツテ、大学の教授に紹介していただき、経営者さんや有名なコンサルさんに沢山会いに行ったんです。
そこで「ビジネスプランは?」「損益分岐点、計算した?」とか専門用語を沢山並べられて、学生の私は「なになに?分からない」「知りません」としか言えなくて。
「えっ、こんなのも分からないで会いに来たの?」なんて言われました。
始める前は「みんなをハッピーにしたい!」と言っていたのですが、「ハッピーってなに?そもそもハーブってなに?」「ビジネスモデルとして成り立つの?」「薬局に行った方が絶対儲かるよ。ある程度稼いでからでもいいんじゃない?」とか、色んな意見をもらいました。
色々な人に「こういうことが必要なんだよ」と沢山教えてもらえたのですが、始める前は、色んな賛否両論が多かった気がします。
初めてしまったら、大分県のメディアが取り上げてくれたこともあり順調に進めることが出来ました。
ーー「凄く泣いた」とのことですが、それでも諦めないことがすごいです……!
学生だからこそ経営者さんも本音を言ってくれたし、沢山失敗できたんだと思っています。
始める前は学生として、一から丁寧に教えてもらえました。起業した後だったらこんなに意見してもらえなかったんじゃないかな。
本当に無知な時に色々な人に会いに行って、無謀な挑戦も沢山したと思うのですけど、それが今に繋がってる。色んなことに全力で取り組んでみるのが良いと思っています。
なりふり構わず、とにかく色んな人、特に経営者さんに沢山会って、考え方を吸収しました。
ーー実際に会った経営者さんは、どんな方が多かったですか?
意外と「なんとかなるさ」思考の方が多かったです。
大変なことがあっても周りに見せない人が多いんだろうな、とも感じました。補ってくれる方が周りにいて上手くやられているんだな、という印象です。
今、自分の周りには応援してくれる人しかいないので、逆に「ほんとにこれで良いのかな?」と思う時もあります。何かやばかったらその時に考えます。笑
ーー経験してどんどん強くなっているんですね。
では、起業後大変だったことは特にありませんでしたか?
私はあまりなかったかな。
言われても、結構すぐ忘れちゃうからかもしれないですけど。
昔はなんかちょっと言われたことあるかもしれないです、今は全然ないですね。
ただ、起業したばかりの頃に「m3キャリア」に取り上げてもらった際、「薬剤師は調剤をすべきだ」とか色々と言われたことはあります。
でも、自分がしたいことが決まっていて、「絶対的に自分が行きたいところがある!そのために絶対これは必要だ」と思っていたので、「ま、そういう意見もあるんだな」「いろんな意見があるな」と思っていました。
もちろん落ち込むこととか悲しいこと、悔しいこととかあるんですけど、自分の中で産まれたエネルギーをいい方に持っていきたい、という気持ちが強いですね。
現在の働き方
ーー現在のひとみさんの働き方を教えてください。
起業して2年目くらいの時から、薬剤師としても現場で働きたいと思うようになりました。
今は繋がりのある個人の薬局で週1程度、働かせてもらっています。
ーー繋がりがある薬局で働けるのは、ひとみさんの活動のこともご存知だろうし、お互いにプラスになりそうですね!
そうですね。
薬局にアロマやハーブを置いてもらっているので、お客さんに説明しています。
調剤だけでなくOTCも力を入れているところなので、楽しく働かせてもらっています。
ーー個人的に畑もされているんですか?
そうですね、栽培はしたことがなかったので、できる人に教えてもらっています。
また、ハーブの「薬草の会」と繋がりを持って講演に行くなど情報交換をしています。
ーー「薬草の会」では、どんなことを行なっているのでしょうか。
「薬草の会」はおじいちゃんおばあちゃんばかりなので、ハーブを栽培をして「なんとなく飲んでる」人が多いんです。
私は他の人と違って学術的な部分を知っているので、お互いの得意な情報を教え合っています。
「便秘の時はこうするんだよ」とか「このハーブはこういう働きがあるよ」とか、情報交換をしています。
ただ、質問コーナーが怖くて……皆栽培系に強いので、自分と違う切り口から見てるからこそ、すごく勉強になりますね。
ーーその都度学びながら対応されているんですね。奥が深そうです。
そうですね。
それこそ、ハーブティーを飲む楽しさを伝える人、学術的に見る人、植える人や研究する人と、色んな切り口から見る専門家の人が大勢来て奥が深いです。
今後やりたいこと
ーーこれからやりたいと考えていることはありますか?
そうですね、まだ具体的には未定なのですが、月額でオンラインサロンのようなものをやりたいなと考えています。
ハーブが好きな方、薬剤師さんの中でハーブを学んでみたい方と、話す場所や一緒に学ぶ場所を作れたらいいなと思っていて。
そのために、自分も検定や資格を取っていきたいなと考えています。
ーーハーブについて本当に詳しく知りたい人や、大分県まで行けない人にとっては、ハーブ専門店を経営されているひとみさんと学べる場所ができることは嬉しいでしょうね!
そうですね、薬剤師さんは生薬やオイルが好きな方も多いから、一緒に学んでいけるサロンを作れたら嬉しいです!
後輩薬剤師へメッセージ
ーー後輩に向けて、ひとみさんが伝えたいと思うことはありますか?
本当に今、自分がやりたい事や興味があることに全力を注ぐのが、一番良いと思っています。
特に学生のうちは、学生だからこそ色んな人と会えると思うので、遊びでもスポーツでも、どんなものでもいいので自分が興味あることに打ち込んで欲しい。
色々やっていきながら、自分の人生設計を考えれると良いのではと思います。
ーーひとみさん自身が学生時代から、自分の手と足を動かして活動してきたからこそ、伝えられる言葉ですね。今回はありがとうございました!
インタビューを終えて
新卒でハーブ専門店を起業・経営されているひとみさん。
前からTwitterで拝見しており、「どんな人なんだろう」と気になっていました。
資格や自分の好きなことを生かして、「ハーブ業界」や「予防医療」で活躍されていました。
柔らかい雰囲気で、とても話しやすい素敵な方でした😊
Xはこちら
Instagramはこちら
公式HPはこちら
名称 | Herb for you |
---|---|
住所 | 〒870-0037 大分市東春日町3-24今泉ビル1F (駐車場2台あり) |
営業時間 | 月・火・木・金・土・日 11:00〜18:00 |
電話番号 | 097-560-1035 |
定休日 | 水・祝 |