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美容系薬剤師&インフルエンサー|一人ひとりに合うアドバイスを届けるSALLYさん

こんにちは!”自分らしく、楽しく、おもしろく”働く、全国の医療従事者を紹介するメディア、「MediJump」です。
今回は美容に力を入れた「新宿かぶきちょう薬局」を運営中。Twitterでフォロワー1.2万人をもつ美容薬剤師SALLYさんにお話を伺いました。

病院薬剤師としてキャリアをスタートさせたSALLYさんが、美容系の薬局薬剤師となった経緯、将来の展望までたくさんお話していただきました!

美容薬剤師SALLYさんの自己紹介

写真提供:SALLYさん

ーーSALLYさんの自己紹介からお伺いしてもよろしいでしょうか。

今年で薬剤師10年目です。
東京の大学を卒業し、新卒で地元福岡にある総合病院に就職しました。

病院はとてもブラックな職場でしたが、新卒だったこともあり「薬剤師として普通の働き方なのか」分からずしばらく悩んでいたんです

そんな時、ふと思い出したのが実習先の病院薬剤師さんでした。たった3ヶ月しか接していない関係でしたが、図々しくも長文のLINEで悩みを相談して。
すると「その職場はあまりにもブラックだから、よかったら自分の働いている大学病院に来たら」と言ってくださったんですね。もともと病院で働くことが好きだったので、二つ返事で了承しました。

そこで4年ほど充実した日々を送りましたが、病院なので当直や早朝勤務がありました。規則正しい生活をしてみたくなり、家の近くの徒歩5分くらいの調剤薬局に転職しました。

調剤薬局で働いていると、病院勤務の時よりも自由になる時間が増えたんです。
美容情報がもともと大好きで、同僚や友達におすすめのものを毎日話していると、「外に向けて発信したほうがいいよ」と言われてTwitterを始めました

趣味でやっていたTwitterのフォロワーが増えてきて、今の職場である「新宿かぶきちょう薬局」のオーナーから「もしよかったら、今度作る薬局の管理者をやってみませんか」とDMをいただきました。以前に私からアプローチをかけていたこともあり、すぐにそこから直接お話して、3カ月後ぐらいに薬局がオープンしたんです。

オープンしたのは去年(2022年)の7月なので、まだ1年も経っていません。まだまだ試行錯誤している状態です。

薬剤師を目指したきっかけ

ーーSALLYさんが薬剤師を目指した理由を聞かせてください。

実は私の家族、親、親戚みんな医者なんです。小さい時から医者になることが当たり前の環境で、なんとなく私も医者になるんだと思って過ごしていました。
でも、当然簡単になれるものではなくて、2年浪人して勉強が嫌になってしまったんです。

ですが、今さら医療職以外の職場は考えられないなと思い、身近に感じていた「お薬」に関わる薬剤師がいいなと薬学部に行きました

医療の現場では、医者ができることが一番多く権限も当然あるので、正直もう少し頑張っておけば良かったかなと思うこともありました。でも、今は楽しく働いています!

美容系の情報発信について

写真提供:SALLYさん

ーー美容を好きになったきっかけは、どんなことだったのでしょうか?

母の口紅を塗っていた幼少期に、なにかが芽生えていたと思います。女の子が一度は通る道ですよね(笑)。今でも母に「小さい頃のSALLYに、Diorの口紅を何本も無駄にされた」と言われます。

幼心に母がおしゃれしている姿を見て羨ましかったんだと思います。気づいたら、美容が大好きになっていました!

SNS発信を続けるモチベーション

ーー発信を続けてるモチベーションは、何かあるのでしょうか。

私が発信したことで、「おすすめの美容情報が良かった」「分からないことが理解できた」と言われると、すごくうれしいんです

医療知識を学んだ人しか分からない事って、かなりあると思います。
それを発信して、共感や役に立ったと言ってもらえる嬉しさが、発信を続けるモチベーションになっていますね。

SNS発信するうえで気をつけていること

ーーSNS発信するうえで、薬剤師だからこそ気をつけているところはありますか?

はい。絶対に医学・薬学的に間違ったことは発信できないなと思っています
見てくださっている方は一般の人と思いきや、実は医療関係の方がすごく多くおられます。

人間なので間違うこともありますが、それでも間違えないように、誤解を受けない表現をするようにしています。美容健康系の発信表現が適切でないものに対しては、SNSで少しずつ注意喚起をしていますね。

あとは、攻撃的にならないように心掛けています。自分が打たれ弱いので、あまり人にも強く言えないんです。

ーー発信を拝見していると、柔らかい伝え方や質問に対して誠実に返答する姿が、信頼度が高いポイントでもあるのだろうなと感じますね。

人生を変えた2度の転職

写真提供:SALLYさん

ーーSALLYさんが、働き方や暮らし方を見直したきっかけはありますか?

はい、よろしくお願いします!

ブラックだった、病院薬剤師時代

最初の職場だった病院が、すごくブラックな環境でした。少しミスをしたら椅子を蹴られたこともあって。そんな環境で毎日心がズタズタで、母親から「いつ自殺するか分からないから退職して欲しい」と言われていました

当時私は、職場で自尊心を傷つけられるようなことをたくさん言われていたんです。退職を告げた時も「君みたいな人はどこの職場に行っても役に立たないと思うけど頑張ってね」と言われていたので不安はありました。でも次の職場でいい上司に恵まれて、「どうやったら新人をあなたみたいな薬剤師に育てられるかな?」と言ってもらえたんですまた、「今年一番頑張った薬剤師に新たな病棟を任せたい」と、病院で新設された病棟の担当にさせていただいたこともありました。心から、転職してよかったと思いました。

ーー聞いている私でさえ、悲しくなってしまう体験です……。相談できる人がいて、転職できてよかったと心から感じます

今思い出すと笑い話ですが、新卒の職場は本当に受難の日々でしたね。当時はこれが社会人として当たり前の世界だと思っていたので、自分でも驚きます。
この経験があるので、上から強く言ったり、休日の連絡の強要をしたりは絶対にしないようにしようと思ってます

自分の強みを活かした現在の職場

今の薬局で働く際、「また転職していいのかな……もし失敗したらどうしよう。戻るところもないし」と悩みました。なので、新宿かぶきちょう薬局のオーナーからDMをいただいた時は嬉しかったですね。

オーナーはもともと医療職専門の方ではなく、薬関係や薬局の運営に関してはかなり自由にさせていただいています。美容クリニック帰りに寄る患者さんが多く、お薬関係なく美容の相談をされていく方もちらほらいらっしゃいます。

相談料はいただいていないので、お話だけの場合は直接の利益には繋がっていません。でも、直接顔を合わせて相談を聞く機会ってなかなか無いので、すごくいい環境だなと思っています。

2023年4月から肌診断機というものを薬局に置いています。画期的な試みとして、他にはない特徴を生かして運営していきたいですね。

ーーSALLYさんの強みを活かせる働き方に変えたことが、さらに楽しく働ける転機となったのですね。

現在の働き方

写真提供:SALLYさん

ーーSALLYさんの1週間の生活スタイルや、働き方を教えていただけますか?

新宿かぶきちょう薬局は、朝11時から夜20時まで開局しています。
私は10時半くらいに出勤して、その日のご予約患者さんの予習をしたり準備をしたりして、オープンしてからは処方せん受付や薬相談、美容相談などを受けています。

お休みの日は犬の散歩をしたり、自分の美容施術のためクリニックへ行ったり自由に過ごしています。旅行が趣味なので、家を空けていることもあります。

漢方やサプリメントを作成中

薬局とは別に漢方やサプリメントのOEM*を企画中で、週1回Zoom会議をしています

約2年前から温めていて、1ヶ月前から本格的に始動しました。今年の秋夏過ぎに発売できるよう、今猛スピードで進めています!

薬局にはお昼休みがないので、昼食は隙間時間に取ったり取らなかったりしながら過ごしています。オンライン診療の処方せんも来るので、梱包や発送作業も事務さんと一緒にやっています。

OEM*:「Original Equipment Manufacturing」を略した言葉。自社製品を他社の受託企業に製造してもらうこと

一人薬剤師で薬局を運営する大変さ

薬局の正社員薬剤師は、私1人だけです。
お休みの時はバイト薬剤師さんに来てもらって、私は基本的に4週8休で働いています。事務さんは社員の方が2人いて、シフトを組んで働いてもらっています。

ーーSALLYさんがメインの薬局なので、やはり薬局のコンセプトは美容でしょうか。

そうです、美容を主体にやっています。
たまにSNSで「今日対応してくれた人絶対SALLYさんだったけど、話しかけられなかった」と見かけるので、なるべく話しかけやすい環境を心がけています。

とはいえ一人薬剤師なので、待たせている患者さんがいると焦るときもありますね。相談したい方と処方せんを持ってこられた患者さんの両方が来られると、どっちを優先すべきなのか迷ってしまいます。処方せんがなくても、ふらっと相談に来てくださる方が多いんですよね

ーー処方せんがなくても相談に来る方が多いのは、信頼度あってこそだなと思います。例えば、どんな相談があるのでしょうか?

美容の相談もありますし、土日で行きつけのクリニックが閉まっているから同じ花粉症薬が欲しいという方、風邪薬の続き3日分だけが欲しいという方などの飛び込みもあります。

薬局は20時まで開いているので、地域の需要に合った薬局運営をしていきたいなと思っています

SALLYさんが、今後挑戦したいこと

ーーこれからやりたいことや挑戦したいことはありますか。

薬局では肌診断機を導入しているので、正しいアドバイスができるように勉強しています。

化粧品、スキンケア製品も薬局に置いているので、一人ひとりの悩みにあったスキンケア製品や成分のアドバイスを伝えたいです。

流行っている化粧品やスキンケア製品をやみくもに使っても、必ずしもみんなに合うものではないと思っていて。例えば脂性肌の人もいれば乾燥肌の人もいますよね。その人その人に合った提案をしていけたらいいなと思います。

他には、先程お話した漢方やサプリのOEMを進めていきたいです。
漢方は美容系を想定中です。女性フォロワーが多いので、女性の悩みに対応できるものがいいなと思っています。例えば月経不順や冷え、むくみなどですね。

今の市販の漢方薬って、あまりかわいくないなと思っていて。デザインも良く持ち歩くとテンションが上がるものを作ってみたいなと思っているところです

SALLYさんからのメッセージ

ーーSALLYさんからこれからいろんな働き方にチャレンジしてみたいと思う医療者の方々に向けて一言お願いします。

私は学生時代、全く優等生ではありませんでした。どちらかというと落ちこぼれの部類だったんです。大学6年生の卒業間近に教授に呼び出されて「もう君は卒業はおろか国試にも受からないから、身の振り方を考えなさい」と言われて。そこから死に物狂いで勉強して、国試は奇跡的に一発合格しました。

そんな経験や、新卒時代の自己肯定感低下も含めて、自分が薬剤師としてうまくやっていけるのかと心配する気持ちもありました。でも今、患者さんやフォロワーさんからの相談を通して、喜びを感じることが増えました。

できないと思うことも、興味あることはチャレンジしてみてください。きっとできます!

ーー実際に体現されてきたSALLYさんの言葉が、多くの人に届くといいなと思います!本日はありがとうございました。

SALLYさんのSNS
この記事の執筆者

薬剤師ライター:中川 あやさん

大阪薬科大学卒。地元の調剤薬局で薬剤師として従事する傍ら、ライターにも挑戦。
”いつでもどこでも働ける”を目指して自分の働き方を模索中。「読んだ後、その先の行動へつながる記事」を目指して執筆しています。

SNS(X):https://twitter.com/laugh_a_a
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メディア運営・編集

京薬卒、(株)Medited代表取締役。 医療・取材ライターや医療系介護メディアの編集長業務、キャリアスクールでの講師メンター業などを経て2020年よりオンライン動画講座「医療ライターのはじめかた」メディア「MediJump」の運営を開始。2022年より医療×Webクリエイターの交流コミュニティ「MediWebラボ」をスタート。2023年に法人化し、経済産業省JStarX起業家プログラム等に採択。「医療資格は、ずっと味方」をテーマに活動しています。