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薬剤師×ファイナンシャルプランナー、経験を活かした挑戦を続けるモカさん

今回は、病院薬剤師からファイナンシャルプランナーに転身し、薬剤師×ファイナンシャルプランナーとして活動中のモカさんにお話を伺いました。

病院薬剤師からファイナンシャルプランナーになられた経緯、勉強の仕方、薬剤師とファイナンシャルプランナーの仕事の掛け合わせ方について、参考になる内容が盛りだくさん!

医療資格との掛け合わせや、さまざまな働き方が気になる方はぜひご覧ください。

モカさんの自己紹介

写真提供:モカさん

ーーさっそくですが、簡単な自己紹介をお願いします!

薬剤師×ファイナンシャルプランナー(以下:FP)として活動しています、モカと言います。よろしくお願いします!

私は薬学部を卒業後、急性期総合病院に3年間勤務していました。

病院薬剤師として患者さんと接する中で、がん患者さんから「お金」の相談を受けたのですが、自分の知識の無さや無力さを感じたことからお金の勉強を始めました。

お金について学んでいく中で、人生の選択肢を広げるためにも「お金の知識や考え方」を普及させたいと思うようになり、FPとしての活動をはじめました。

現在は病院薬剤師から転職して製薬メーカーでDI*業務を行いながら、個々のお金に関する相談やライフプランニング、オンラインマネースクール受講生サポート、薬局・クリニックでの退職金制度(企業型確定拠出年金制度)導入のサポート、コラムの執筆を行っています。

*DIとは:「Drag Information」の略で、医薬品の情報収集や、医療機関・医療従事者への情報提供を担う仕事です。

人生を変えた、2つのターニングポイント

写真提供:モカさん
薬学生ライター

えみぞうさん

病院薬剤師から、FPと製薬メーカーの兼業へ転向したモカさんのターニングポイントについて、お伺いしました!

ファイナンシャルプランナーを目指したきっかけ

ーーモカさんが、FPの資格を取ろうと思われたきっかけは何だったのでしょうか?

病院で、がん患者さんから治療方法の相談に乗っていたとき「この治療は高いから続けられないよ」と言われたことがありました

当時の私はお金について無知だったので何もアドバイスすることができず、結局その患者さんは経済的な理由で治療を変更せざるを得なかったのです……

せっかく薬剤師として勉強して、患者さんに合う治療を考えても、お金がないことを理由に治療を受けられないなら全く意味がないと感じ、「経済面からも、患者さんのサポートができるようになりたい」と思ったことがFPを目指した最初のきっかけでした。

製薬メーカーへ転職したきっかけ

ーー病院薬剤師から製薬メーカーに転職されたきっかけは、どんなことだったのでしょうか。

薬剤師3年目のとき、勤めていた病院が売却されてリハビリ病院に変わったんです。リハビリ病院に移るか、転職するか選択を迫られたとき「もし薬剤師免許がなかったら何がやりたいのだろう」と考えました。

病院薬剤師の仕事の中でもDI業務が好きだったので続けたいと思い、DI業務を担当できる製薬メーカーに転職しました。現在は、子育てをしながら在宅ワーク中でもあります。

ーーDI業務としては、どんなお仕事内容をされているのでしょうか

主に、医薬品情報の管理や提供のお仕事をしています。

例えば、病院や薬局で医薬品を使用する時に、使い方がわからなかったり、副作用が出たり、本来の使い方ではない使用方法を検討したりということがあります。

そのような時に、医師や薬剤師からDIに問い合わせが来ます。医薬品の基本的な使い方から、必要に応じて文献検索などをして回答しています。

ーー現在は、在宅で自分の得意なことや好きなことをメインにお仕事をされているのですね。子育てと両立されているのも、理想的な働き方ですね!

実際に行った、ファイナンシャルプランナーになるための3つの勉強法

薬学生ライター

えみぞうさん

モカさんがFPになるために行った、実際の勉強方法を教えていただきました。
FP知識を取得中の方々がすぐに実践できる内容で、とても参考になりそうです!

①客として、ファイナンシャルプランナーに会いに行き実践を学ぶ

ーーFPになるために、まずは何から勉強をはじめたのでしょうか。

資格取得に向けて参考書や問題集をやってみたのですが、知識を現場でどう使うのか想像できませんでした。薬剤師の仕事も同じで、大学で勉強したことをどう臨床現場で使うかは、また違う頭の使い方をしますよね。

なので、現場でどのように知識を使うのか知るために、お客さんとしてFPさんに会いに行きました。現場でご活躍されているFPさんから直接、提案の仕方や、伝える情報のレパートリーを吸収させてもらったんです。FPさんによって伝え方が異なるので、さまざまな観点から学ぶことができました。

②自分や友達にライフプランニングを実践する

ーー参考書を読むだけではなく、実践を通して学べるとお仕事にも活かせそうですね。

そうですね。参考書を読むだけでは、なかなか内容が頭に入ってこなかったので、身近なことで実践しながら学べないか考えていました。

例えば、FPの勉強の中で学んだ内容のアウトプットとして、自分が入っている保険内容を見直してみたり、自分の月々の収支を書き出して老後のことを考えてみたりしました。実践して分からなかったことは参考書に戻って該当箇所を読む。アウトプットとインプットを繰り返していましたね。

友達にもライフプランニングさせてもらうことで、さらにアウトプットの場を増やしました。他者に実践すると、自分が持っていなかった視点から質問をもらうことができたので、より学びが深まったなと感じます。

③他のファイナンシャルプランナーとのつながりが、仕事の幅を広げる

ーーFPとしてのお仕事は、どのように実績を増やしていったのでしょうか。

FP資格を持っている人同士の交流会がSNSで募集されていたので、まずは参加するためにFP2級を取りました。お仕事の提案方法を知るためにも、つながりを作ることは大事だと思います。

また、資格保有者としてFP協会に入り、FP協会が定期的に開催している相談会に、相談員として応募していました。ベテランの方とペアを組んだ上で、相談員として実務経験を積むという経験ができました。

交流会に参加し、FP協会に入ることで横のつながりを広げながら、実践の場に挑戦していくことがおすすめです。

現在の働き方

ーー兼業されている上に子育て中でもあるモカさんは、現在どのようなスケジュールで働かれているのでしょうか。

平日の9時から17時は在宅で製薬メーカーのDI業務を担当しています。FPとしてのお仕事は、子供が寝た後や土日を充てています。

パソコンがなくてもできる仕事は、歩いている最中に構想を練ることも多いですね。思いついたときに軽くメモしておいて、残りはあらかじめ決めた作業日に済ませるようにしています。

家族の時間は大事にしたいので、家族の時間をいつ取るかを決めた上でスケジュールを調整しています。子供が起きている時間は仕事はせず、一緒に過ごすようにしています。

ーーお子さんとの時間を大切にしながら、複数の仕事を掛け持ちできる働き方は、とても魅力的ですね!

写真提供:モカさん

ーーFPとしては、どんな仕事内容でクライアントさんと関わっているのですか?

ライフプランニングに関しては、個人からご相談いただくこともありますが、結婚相談所からご紹介をいただくこともあります。結婚相談所でマッチングした方の中で、ライフプランニングが必要そうな方や、保険に入られていない方をご紹介いただいています。

他には、オンラインマネースクールが月1,2回ほど開催しているセミナーにて、講師業もしています。

私は「薬剤師の経験を持っている、FPの自分だからこそできる仕事」を見つけることも好きなんです
例えば、薬剤師向けの資産形成についてコラムを書いたり、薬局やクリニックで退職金制度(企業型確定拠出年金制度)導入のサポートも行っています。

中小企業や個人経営の薬局だと、退職金制度がまだまだ整っていないところも多々あります。今後年金が減っていくことも考えると、退職金制度の確定や、拠出年金制度の導入は薬剤師のためにも必要です。

節税もできるメリットの大きい制度なので、普及するためにも薬局を経営されている方にお話しさせていただくことは多いですね。

薬剤師×ファイナンシャルプランナーならではの観点

薬学生ライター

えみぞうさん

薬剤師、FPとして知識が豊富な「モカさんだからこそできる仕事」とは?
気になる”薬剤師の経験を活かしたお仕事の具体例“を教えていただきました。

医療現場で、ファイナンシャルプランナー知識を活かせる場面

ーー医療現場で働く中で、FPの知識を活かせたと感じる場面はありましたか?

そうですね。例えば、がん患者さんがもしリビングニーズ特約を知っていたら、終末期をどう過ごすかの選択肢が増えたのかなと思います。

リビングニーズ特約とは、余命宣告をされたときに保険金が先に降りる仕組みです。生命保険に入っていると、大体の保険にはリビングニーズ特約がついているんですね。

余命宣告されたがん患者さんから「お金があったらこういう事に使いたかった」など要望があったときに、医療従事者がリビングニーズ特約を知っていたら、最後の夢を叶えられるよう緩和ケアの仕方も考えられたのかなと思います

経済面で困っている患者さんはきっとたくさんいると考えています。医療従事者側が医療費などに対する制度や知識を持っておくと、患者さんをフォローできる場面はいろいろと出てくるのかなと考えます。

ファイナンシャルプランナーとして、医療従事者の視点を活かせる場面

ーーFPとして活動する中で、医療従事者の視点を活かせた場面はありましたか。

他のFPさんよりも、医療面での治療内容や費用を具体的に想定しながら話せることが、自分の強みだと感じています

医療に関してどういう種類のお金がかかるのか、がんになった場合の治療費はどのくらいで、どんな患者さんがいたのかなど、実際の事例を想定しながらご相談に乗っています。お二人の家計や収支に合わせて、備えるためのサポートができるので、薬剤師としての経験を活かせていると感じます。

今後挑戦したいこと

ーーモカさんが、今後さらに挑戦したいことを教えてください。

「薬剤師さん向けのFP」として、自分にできることを探してみたいと思っています

薬剤師として患者さんへサポートすることももちろん楽しいのですが、仕事を頑張っている薬剤師のためにも何かしたいです。

FPの勉強をしていると、がん患者さんの体験談などが情報共有されることがあるのですが、「もっと早く高額療養費制度や傷病手当について知りたかった」という声をよく見かけます。

病院や薬局に「こんな制度があります」とチラシを貼っておくだけでも、患者さんに知っていただくきっかけになると思うんですよ。仕事をお休みしたら給付金が受け取れる制度があるとか、高額療養費制度を使うと費用を抑えられるとか、国が用意している誰でも使える基本的な制度については医療従事者側も知っておいたほうが良いと思います。

薬剤師とFPの仕事をかけ合わせて、自分で仕事を作っていくことが好きなので、これからも模索していきたいです。

後進の薬剤師や医療従事者に向けてメッセージ

写真提供:モカさん

ーー最後に、医療従事者×FPとしての働き方が気になる方に向けてメッセージをお願いします。

FPの仕事は、他の職業とも親和性が高い仕事内容です。「お金の知識」はどんな職業にも絡むので、FPの知識を活かせる場面はたくさんあります

自分のライフプランニングにも生かせますし、勉強して損することはありません。興味ある方は自信持って学んでいって欲しいなと思います。

また、薬剤師の資格があったら必ずしも薬剤師にならないといけないわけではありません。自分の心の声を聞いて、やりたいと思ったことにどんどん挑戦していって欲しいです

他の職種やお客さんと関わる中で、”薬剤師の経験があったからできる、薬剤師以外の仕事”もきっとでてくると思います。

自分に合った仕事や働き方を見つけて欲しいです。

ーーたくさんお話を聞かせてくださり、ありがとうございました!

モカさんのSNS
この記事の執筆者

薬学生ライター:えみぞうさん

都内薬学部薬学科4年。大学を1年休学して日本各地を飛び回る。5歳から17年続けているダンスを強みに、旅先で出会った人とダンスでコミュニケーション。旅するダンサーえみぞうとして活動中。人と話すことと深く考えることが好き。「読んだ人の心を動かす記事」を目指して執筆しています。

X(Twitter):https://twitter.com/amy_amy_twi
Instagramhttps://www.instagram.com/tabi_amy_dancer_/

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執筆

京薬卒、(株)Medited代表取締役。 医療・取材ライターや医療系介護メディアの編集長業務、キャリアスクールでの講師メンター業などを経て2020年よりオンライン動画講座「医療ライターのはじめかた」メディア「MediJump」の運営を開始。2022年より医療×Webクリエイターの交流コミュニティ「MediWebラボ」をスタート。2023年に法人化し、経済産業省JStarX起業家プログラム等に採択。「医療資格は、ずっと味方」をテーマに活動しています。