インタビュー記事の書き方には、対話形式・一人称形式・三人称形式という3つの形式があります。形式によって、文章の硬さや記事の雰囲気だけでなく、取材相手の印象さえも変わります。媒体やメディアごとに採用しているインタビュー記事の形式は異なるため、すべての形式の特徴や書き方を知っていると、どんな案件でも対応できるでしょう。
この記事では、医療系取材ライターの筆者が、インタビュー記事の形式別の特徴やメリット・デメリット、記事の書き方についても紹介します。

なつみさん
医療系インタビュー記事の書き方について理解し、魅力的なインタビュー記事が書けるようになりましょう。


インタビュー記事の基本的な記事構成


まずはインタビュー記事の基本的な構成を解説します。
【主な記事構成】
1.タイトル
2.アイキャッチ画像
3.リード文(導入文)
4.大見出し(見出し2)
5.大見出し内の文章
6.小見出し(見出し3)
7.小見出し内の文章
8.まとめ
9.参考文献・関連リンクの挿入



なつみさん
アイキャッチ画像やリード文、見出しでは、読者の興味を引くような工夫をしましょう。
ここからは、インタビュー記事における各構成のポイントについて紹介します。
タイトル・見出し
タイトルは記事の顔です。最重要といっても過言ではありません。
読者が検索エンジンで調べたとき、最初に目にするのがタイトルです。読者の興味を引く、記事を象徴するキーワードを盛り込むようにしましょう。
見出しとは、記事の内容を一目でわかるようにするための文章内の小タイトルや目次のこと。
取材では、取材相手の人生や経験、会社のヒストリーなどが語られることが多いです。記事の流れや起承転結を意識して、見出しをつけるようにしましょう。



なつみさん
インタビューで印象的だった「言葉」や核となる「キーワード」を盛り込むと、目を引く見出しになりますよ。
リード文
インタビュー記事におけるリード文のポイントは、取材のテーマと取材相手のプロフィールを盛り込むことです。
リード文とは、タイトルの後、記事の最初に書く文章です。導入文ともよばれます。記事の概要を簡潔にまとめ、読者に興味を持たせる役割があります。
取材相手の情報をリード文で読者に伝えることで、読者は本文に入りやすくなります。読者が「どんな人なんだろう」と読みたくなるようなリード文になるように工夫しましょう。



なつみさん
リード文の中で取材相手を簡単に紹介し、詳細のプロフィールをリード文の下に記載しても差し支えありません。
アイキャッチ画像
アイキャッチ画像とは「目を引きつける」という意味で、記事に添付する関連した画像のことです。
アイキャッチ画像を挿入することで、視覚的に見やすくなるだけでなく、アクセス数の増加・滞在時間の向上も期待できます。記事タイトルの下には必ず入れるようにしましょう。
インタビュー記事では、取材相手の写真を掲載しましょう。取材相手が顔出しNGの場合は、取材相手の雰囲気がわかるようなイラストや後ろ姿など、読者が取材相手をイメージできるような素材が向いています。
記事に挿入する画像は取材内容に関連があるもの(仕事道具や仕事風景・職場の写真など)がおすすめです。インタビュー記事の場合は、極力フリー素材を避け、取材相手から写真提供の協力をしてもらうと、取材相手の人物像がイメージがしやすくなります。
インタビュー記事の3つの形式


インタビュー記事には、対話形式・一人称形式・三人称形式の3つの形式があります。記事の方向性やメディアの意向、取材の雰囲気を考慮して、どの形式にするかを選びましょう。
ここからは、その3つのインタビュー記事の形式について詳しく紹介していきます。



なつみさん
それぞれの違いや特徴を理解して、素敵なインタビュー記事を作成していきましょう。
対話形式
Q&A形式ともよばれる、インタビュアーの質問と取材相手の回答が交互に繰り返される記事形式です。
実際の取材に一番近い形といえるでしょう。ほかの形式に比べ、口語表現が使用されることも多く、気軽に読みやすい、カジュアルな文章に向いています。
対話形式で記載するときは、インタビュアーの言葉の前に「ーー」を付けて区別したり、アイコンに吹き出しを付けて視覚的に見やすくしたりします。
【対話形式の例1】
ーー忙しい業務の中で作業効率を上げる工夫はありますか?
電子カルテを活用し、記録業務の軽減に努めています。
ーー電子カルテの活用でどのようなメリットがありましたか?
電子カルテ導入前に比べて平均記録時間が1時間削減しました。その分、患者さんのケアに時間を使えるようになり、情報共有もスムーズにできるようになりました。
【対話形式の例2】
画像:MediJumpライター作成
一人称形式(モノローグ形式)
取材相手が単独で語っているような文章を一人称形式(モノローグ形式)といいます。実際の取材では会話していますが、インタビュアーの質問は文章に入れず、取材相手が語っているような文章にする手法です。
通常、一人称形式の語尾は「ですます」調です。取材相手のキャラクターが強く反映され、メッセージ性がより強い文章になります。
【一人称形式の例】
医療現場では、限られた時間の中で効率を上げる工夫が欠かせません。私が実践しているのは、電子カルテのテンプレートを活用することです。電子カルテ導入前と比べ、平均記録時間が1時間削減されました。その分患者さんのケアに時間を使えるようになり、看護師としてのやりがいも感じています。電子カルテ内で情報共有もできるので、非常にスムーズです。
三人称形式(ルポルタージュ形式)
取材内容を第三者目線で文章にする書き方は三人称形式(ルポルタージュ形式)と呼ばれます。客観的な視点で書く分、取材時に出た言葉以外の取材者の意見や情報を入れやすい形式です。執筆者の力量が記事の質に影響しやすいのも特徴です。
三人称形式の語尾は「である」調、または「ですます」調のどちらかが使われます。論理的で説得力のある文章になりやすい分、堅苦しい文章になりがちです。
【三人称形式の例】
多忙な医療現場では、効率的な作業が求められている。◯◯病院では電子カルテの活用により、看護師の記録業務の削減に成功した。病棟看護師の△△さんは「電子カルテ導入前に比べて記録時間が減り、患者さんのケアに時間が使えるようになりました」と笑顔で語る。〇〇病院では電子カルテ導入前に比べ平均記録時間が1時間削減し、患者満足度も向上している。
3つのインタビュー記事の形式はどのように使い分ける?


実際にインタビュー記事を作成するとき、どの形式を使用するのがより良いのでしょうか。



なつみさん
それぞれの形式のメリットとデメリット、どのような記事に向いているのかをまとめました。
対話形式 | 一人称形式 | 三人称形式 | |
メリット | ・実際の取材に近く、臨場感が出る ・読者が読みやすい ・初心者が書きやすい ・3人以上の対談でもわかりやすい | ・文字数は比較的少なくなる ・取材相手の人柄やメッセージを表現しやすい | ・論理性・客観性のある記事になる ・説明や取材相手の表情や情景を入れることが可能 |
デメリット | ・質問・回答を記載するため文章が長くなりがち ・会話の中に読者が理解しやすい ・説明を盛り込む必要がある | ・一人で語っている口調になるため、単調になりやすい ・記事が主観的になりやすい | ・硬い文章になりやすく、読者が離脱する可能性がある ・文章が客観的になるため、取材相手のキャラクターやメッセージ性は伝えづらい |
どんな記事に向いているか | ・カジュアルな内容の記事 ・複数人の座談会 ・臨場感を出したい記事 | ・文字数に制限がある記事取材 ・相手のメッセージ性を強くしたい記事 ・コラムやエッセイ | ・硬めな文体が向いている媒体 ・サービス・製品・会社や企業の紹介記事 |
魅力的な記事で選ばれる医療系取材ライターになろう


インタビュー記事には、対話形式・一人称形式・三人称形式の3つの書き方があります。
同じ取材内容であっても、形式を変えることで大きく印象が変わります。そのため、メディアの方向性や読者に伝えたいことをしっかりと分析し、ベストな形式を選択することが大切です。



なつみさん
インタビュー記事をより魅力的にするために、まずはこの3つの形式と特徴を理解しましょう。
とくに、初心者の医療系取材ライターは、実際の取材の流れに近い対話形式から挑戦してみることをおすすめします。慣れてきたら、さまざまな形式のインタビュー記事を見て、チャレンジしてみてください。

