産休や育休を経て、キャリア形成と育児の間で悩みを抱える女性は多いのではないでしょうか。
病院薬剤師として働いている潮見ゆうかさんも、かつては同じような悩みを抱えていました。そのような中で受講したMedi+主催「第1回医療系取材ライターのはじめかた」講座は、潮見さんにとても良い転機をもたらします。
現在、育児や家事、病院薬剤師に加えて、医療系取材ライターと多忙を極める潮見さんですが、その顔はとてもいきいきとしています。
「今の働き方が、私にとっての良いバランス」と語る潮見さん。そんな潮見さんに医療系取材ライターとしての道のりと、意外なママワーカーとの相性の良さについてお伺いしました。
副業で医療系取材ライター、病院薬剤師の潮見ゆうかさん
ーー今日はよろしくお願いします。まずは自己紹介をお願いします。
潮見ゆうかです。本業は病院で薬剤師として働いています。
2012年に薬剤師免許を取得してから、病院薬剤師ひとすじで働いてきました。第二子の育休中に「第14回医療ライターのはじめかた」講座(2023年3月開催)を受講、その半年後に「第1回医療系取材ライターのはじめかた」講座(2023年9月開催)を受講しました。
現在は2児の子育てをしながら、病院薬剤師・医療ライター・医療系取材ライターとして活動しています。
病院薬剤師としてのキャリアを活かした、新たな働き方を模索中でチャレンジする日々です。
育休明けに感じたキャリアアップへの壁
ーー育休明けの職場復帰はいかがでしたか?
第一子の育休中は勉強したり、仕事の資料を読んだりして復帰後すぐに戦力になれるように備えていました。
しかし、いざ職場復帰をすると、病院薬剤師として花形の仕事である病棟業務や多職種連携の仕事から外されてしまったのです……。
時短での勤務や子どもの体調不良などによる急な早退や欠勤は、業務に穴を開けてしまうからでした。仕方がないと思いつつショックだったのを覚えています。
新しい道を模索して医療ライターに挑戦!
ーー病院薬剤師ひとすじだった潮見さんにとって、花形の仕事を外されるのはショックな出来事ですね。
そうですね。職場復帰後の出来事は、病院薬剤師としてのキャリア形成を考えるにあたって大きな影響を与えたのは確かです。そのため、第二子の育休中はこれまでのキャリアを活かせる「新しいこと」にチャレンジしようと思いました。当時、コロナ禍だったため、在宅ワークができるスキルを身につければ、子どもが通園や通学できない状況でも仕事ができると思ったのです。
また、当時いしかわゆきさんの著書『書く習慣』を読み、“文章を発信する”ことに興味があったため、「医療ライターのはじめかた」講座を受講しました。
ーー育休中とはいえ2人のお子さんの子育てをしながらの受講は大変だったのではないでしょうか?
上の子が保育園に行っているときや子どもが寝静まってから、こつこつ勉強しました。日中は下の子がずっと一緒でしたが、上の子の経験があるので「このタイミングなら勉強する時間が作れるだろう」という目処がつきました。
子どものお昼寝の時間を活用して、家事や受講する時間を捻出するのは大変でしたが、まったく新たな分野の勉強にワクワクしていたのを覚えています。
医療ライターだけでは生き残れない?取材スキルで差別化を目指す
ーー潮見さんは2023年3月に「医療ライターのはじめかた」講座を受講したあとすぐに「医療系取材ライターのはじめかた」講座を受講されましたね。それはなぜですか?
医療ライターとして活動をはじめてから、「学会レポートを執筆したい」と思うようになりました。病院薬剤師としての経験も活かせるのではないかと思ったのです。医療ライターの知人を通して、学会レポートの執筆は取材ライターの仕事だと知り興味を持ちました。
もう1つのきっかけとしては、「医療ライターのはじめかた」講座受講後、クラウドソーシングサイトで医療記事の案件に対する応募倍率の高さを実感したことです。医療記事の募集が出ると、当日には募集人数の倍以上の応募者がいて驚きました。自分はまだSEOライティング*の経験も少なく「これは勝てないな」と思ってしまったのです。
SEOライティングだけではない“自分の強みや武器”をもう1つ身につけたいと強く感じ、「医療系取材ライターのはじめかた」講座の受講を決意しました。
▼潮見ゆうかさんの講座卒業制作はこちら
「医療系取材ライターのはじめかた」講座の記名記事がスカウトに繋がる
ーー取材案件の採用には、経験が重視されることが多いですが、「医療系取材ライターのはじめかた」講座受講後、すぐに案件は取れましたか?
はい。「医療系取材ライターのはじめかた」講座によって、取材記事の実績ができたので、スムーズに採用してもらえました。最近では取材案件の方が多く、非常に需要を感じています。
「医療系取材ライターのはじめかた」講座では、事前準備や身だしなみだけでなく、取材時の目線など細かいことも教えていただいたため、クライアントワークでも大きなトラブルなく進行できています。特にアイスブレイク*についても意識して準備しています。アイスブレイクでいかにインタビュアーに心を開いてもらうかが取材の成功に関わりますから。
ーー最近はスカウトをもらうようになったとか?
はい。SEOライティングをしていたときはまったくなかったのですが、医療系取材ライターとして活動をはじめてからスカウトがとても増えました。
主にクラウドソーシングサイトからのスカウトです。医師を対象とした取材の案件が多いです。「医療」という特殊な分野で、医療者だからこそ聞けることがあると思ってもらえたのではないでしょうか。
取材記事は基本的に記名記事*になるので、自身の実績がわかりやすく示せるのも強みですね。
最近では取材の案件で繋がったクライアントからSEO記事の案件をいただきました。取材ライターという入口から案件獲得の機会が増えたのは嬉しい誤算でしたね。
やはり「医療資格✕取材スキル」は希少性があり、持っていると戦えるスキルだと思います。
医療系取材ライター✕ママワーカーの相性
ーーママワーカーとしては医療系取材ライターという仕事は働きやすいですか?
取材は、事前準備・取材・文字起こし・記事作成と工程が多い分、SEO記事作成に比べて締切に余裕があることが多いです。そのため子どもの体調不良など、急な予定変更が起こりやすいママに、医療系取材ライターは向いている仕事ではないかと思います。SEO記事を中心に執筆していた時期は、2〜3日で3000文字を書く案件なども多く、精神的にも時間的にも余裕がありませんでした。
また、取材を始めてから収入面も余裕ができました。医療系のSEO記事は1記事5000~1万円程度のところ、取材記事は、1記事で3万円程度得られます。個人的には、SEO記事と取材記事で要する時間はさほど変わりません。子どもがいて受注できる案件数が少ないママにも、医療系取材ライターは収入を上げる1つの突破口になるのではないでしょうか。
ただし、取材の難しいところももちろんあります。それは「相手ありき」だということです。本業があるので、直前の予定変更には対応できないことをクライアントに採用の段階でお話をしています。そこを理解してもらったうえで仕事をいただくと決めています。
また、取材日に子どもが体調が悪くなることもあり得るため、病児保育やパートナーとの連携などリスクヘッジが必要ですね。
家族のサポートでパラレルキャリアを実現
ーーママ・医療系取材ライター・病院薬剤師として充実されているのが目に浮かびます。家族が味方なのは心強いですね。
はい。パートナーが私の仕事を非常に理解してくれているため、育児や家事においても助けてくれています。それがママと取材ライター、病院薬剤師を両立できる1番のポイントですね。
医療系取材ライターと病院薬剤師、キャリアが2本柱になったことで、気持ちのバランスがとれるようになった気がします。思い描いていたキャリアが形成できない“空虚感”を、医療系取材ライターの仕事が埋めてくれました。
この先の未来、子どもの事もパートナーや私の仕事もどうなるかわからない。けれど臨床でも在宅でも働けるスキルを身に付けたことで、「何があっても乗り越えられる」という自信になりました。
ーー最後に、医療系取材ライターが気になっている方にメッセージをお願いします。
今後もWebライターや医療ライターの新規参入は増えていくと思います。安い単価やスケジュールの短さで疲弊している方や、医療ライターとしてもう一つ“武器”を手に入れたいという方には医療系取材ライターをお勧めしたいです。
もちろん楽な仕事ではありません。私もいまだに取材の前は吐きそうなくらい緊張します。けれど臨床の仕事では会えないような著名な方とお話をできたり、初めて知る取り組みや技術に驚いたり、そしてその人が抱える熱い想いに感動したりできる、非常に大きなやりがいがある仕事だと思います。
医療系”取材”ライターのはじめかた講座
コミュニケーションが好きな医療者さんにおすすめ!医療業界の取材ライターを目指します。医師などの医療従事者、医療機関、医療業界の専門家や研究者への取材をする上での注意点や、具体的な取材の流れを学び実践する講座です。