今回は、理学療法士からリハビリ当事者のためのメディア「リハノワ」を運営するために独立された、かわむーさんにお話を伺いました。
「リハノワ」をはじめられた経緯と込めた想い、現在の働きかた、今後挑戦したいことなどたくさんお話していただきました!
かわむーさんの自己紹介
ーーさっそくですが、簡単な自己紹介を伺ってもよろしいでしょうか。
理学療法士として8年間病院で働いた後、現在はリハビリ当事者のためのメディア「リハノワ」を運営している、かわむーと言います。よろしくお願いします。
リハビリの輪を繋げるWebメディア「リハノワ」は、リハビリ当事者や関係者に病院内だけでは得られない「質の高い情報」を提供することをMISSIONに、2019年11月より運営を開始しました。日本全国でリハビリに励む当事者や、医療介護福祉現場を取材し記事にしています。
現在は、「リハノワ」の運営、フリーライター、広島県福山市の地域おこし協力隊、ベンチャーキャピタルのコミュニケーターとして活動をしています。
ヘルスケアビジネスを考えたきっかけ
ーーかわむーさんが、「リハノワ」の運営を考えたきっかけは何だったのでしょうか?
東京で病院経営のコンサルをされていた先輩から、アイデアピッチへの出場を誘われたことが「リハノワ」を考えたきっかけでした。声をかけていただいた先輩は、私の人生のターニングポイントで、必ず一言声をかけてくださる方でした。なのでアイデアピッチのお誘いにも「やります!」と返事をして、そこからアイデアを考えはじめました。
私は病院で働いていた当時、リハビリの現場に課題感を持ちつつ、どうすることもできず悶々としていたんです。しかし、アイデアピッチの出場をきっかけに、短期間でぎゅっと集中して考えて、具体的な内容に落とし込むことができました。ピッチ出場時は、メディアではなく、ドラクエウォークやポケモンGOのリハビリバージョンを提案したのですが、タイトルは今と同じ「リハノワ」でした。
ヘルスケアビジネスという手段でも医療現場が変えられると実感を持てたことが、大会に出て一番学んだことでしたね。ピッチへの参加をきっかけに、ヘルスケアビジネスに挑戦したいと思い、1年半の準備期間を経て現場を離れました。
かわむーさんの挑戦につながった、原動力とは
ーー医療専門職をやめて新しいことに挑戦しようとしても、不安を感じて踏みとどまる方は多いかと思います。かわむーさんが、当時の医療現場を離れようと決意できた原動力は、どのようなことだったのでしょうか。
医療従事者の最大の強みは、資格があることだと思います。新しいことに挑戦して万が一上手く行かなかったり軌道に乗らなかったりしても、いざとなれば資格を活かして働くことができます。
でも、いざ辞めることを上司に伝えた日は、先の見えない状況に不安を感じて泣きながら帰りました。「新しいことに挑戦するのが楽しみだ」とずっと思ってましたが、いざレールを外れるとなると不安でした。今後ずっと働いていたら60歳までは続けられる安定した職場でしたので。
ただ、私の場合は、独立までの1年半で、リハノワの運営を通してライティングを経験することができていたので、理学療法士をやめてもライター業で多少は食べていけるだろうと見込んでいました。独立後に支えてくれる存在がたくさんあったのも、安心感につながっていましたね。
最初にビジネスを学んだ方法や環境
ーー現場の課題はわかっているけどビジネスをしたことがないから、どう解決したらいいかわからないという医療従事者は多いかと思います。かわむーさんは、ビジネスをどのように学ばれたのでしょうか。
独立した当時、「新潟県で医療従事者の起業家を育てよう」というアクセラレータープログラムのサポートに入る仕事に従事させていただいていました。私はビジネスのことは素人でしたが、広報の記事を書きながら、自分もビジネスの勉強させてもらうという形で関わらせてもらっていました。
また、ベンチャーキャピタルで仕事を一部引き受けているため、起業家や投資家と直接お話しする機会もあります。環境に恵まれているなと思います。
運営するメディア「リハノワ」について
ーーかわむーさんのご活動として、運営するメディア「リハノワ」についても気になる内容をお伺いさせてください。
はい、よろしくお願いします!
リハノワを通して伝えたい想い
ーーリハノワを通して伝えたい想いについて、教えていただけますか。
入院中は、退院を目標にリハビリを頑張る方が多いです。しかし、自宅に帰った後にモチベーションを維持できず、体の状態が悪くなり再入院を繰り返す患者さんも見てきました。病院の外でもリハビリテーションのモチベーションを作ることができたらと思い、リハノワで情報発信をしています。
1つの施設の紹介の中で、施設側と患者さん、両方の立場に取材して発信していることがリハノワの一番の特徴だと思います。他のサイトにはないからこそ、私がはじめたポイントでもありますね。
リハノワは、メディアという第3者の立場で施設を取材しているので、患者さんの声を取り上げることができます。現場に直接訪れて、理学療法士としての経験も活かしながら専門的な視点も加えて発信することに付加価値を置いているんです。また、リハビリ当事者の生の声や質の高い情報を伝え続けることに注力しています。
リハノワを運営するうえで、苦労したこと
ーーメディアの運営や取材企画、そして記事化まで、すべてを1人で担うことはとても大変なのではと感じるのですが、苦労などありましたでしょうか?
「あー、やってしまったな」と感じることもありますが、苦味は味わいつつ、わりとすぐに切り替えています。普通に考えたら大変なはずですもんね。取材しに飛び回っているときは楽しいので辛くないですが、運営のほとんどを自分で行っているので、やはり体力的に大変さを感じるときはあります。
ーーお話を伺っていると、かわむーさんご自身がとてもポジティブな方なので、さまざまなことを前向きに捉えて活動されているんだなと感じますね。
リハノワのパートナー制度とサポーター制度について
ーーリハノワの特徴の1つとして、パートナー制度やサポーター制度があることも挙げられるかと思います。かわむーさんが込めている想いやはじめたきっかけなどあれば、お伺いできると嬉しいです。
リハノワでは全国各地を取材するための運営費用を確保するため、リハノワの目指す世界観に共感いただいた企業・団体様の伴走をさせていただく「パートナー制度」と、個人の皆さまからご支援を頂く「サポーター制度」を導入しています。
取材先となる医療介護福祉施設からは掲載料をいただかない形で運営しているため、どうやってメディア運営に継続性を持たせようかといろいろ考えた中で現在の形にたどり着きました。
ーーありがとうございます。「継続すること」は1番大変な部分でもあるかと思います。
継続的に運営できるようオリジナルな仕組みを作られていること、そして実際に制度を利用し応援してくださる方がたくさんいることがすごいなあと拝見しています。
かわむーさんの現在の働きかた
ーーかわむーさんの、現在の働きかたを教えてください。
2023年現在、「リハノワ」の運営、フリーライター、ベンチャーキャピタルのコミュニケーター、広島県福山市の地域おこし協力隊など、主に4つの活動をしています。
ーー具体的に、どのようなスケジュールで1日を過ごしているのでしょうか。
1日のスケジュールは、わりとバラバラですね。今は、横浜と広島県福山市鞆の浦の2拠点で生活をしています。1ヶ月のうち、1週間から10日は福山市にいます。
地域おこし協力隊として働いてるときは、とにかく町に繰り出して、地域の人と関わったり、福山市の事業者さんと会ったりしています。福山市にいない日の多くは、横浜の自宅で執筆などの作業やオンライン会議をして過ごしてます。
残りの数日で、リハノワの取材やフリーライターの仕事のために日本のどこかをうろちょろするのが、1ヶ月の大体のスケジュールです。
ーーありがとうございます。4つの働きかたを組み換えながら過ごされているのですね。
かわむーさんが今後挑戦したいこと
ーーかわむーさんが、今後挑戦してみたいことはありますか。
まずはリハノワの取材記事数を増やすことに力を入れていきたいです。今はまだ取材しに行けている県にかたよりがあるので、各都道府県の施設をまずは5つ程度、取材することが目標です。いずれは海外のリハビリ施設の情報もたくさん扱えるようにしたいと考えています。
リハノワの運営を始めたのが2019年の11月だったので、運営開始して間もなくコロナが流行りはじめました。病院への取材はまだあまりできていないので、徐々に増やしていきたいです。特にリハビリ病院や急性期病院にも取材しにいきたいですね。
脳血管疾患や整形外科疾患はもちろん、呼吸器や循環器、がんの分野のリハビリテーションも取り扱っていきたいです。サイトのデザインも、例えば、日本地図から気になる地域をクリックすると情報が出てくるみたいに、もっと検索しやすいように変えていきたいと考えています。まずはコンテンツを増やすことから力を入れていきます。
ーーありがとうございます。さらにワクワクするメディアになっていきそうですね!
かわむーさんからのメッセージ
ーー今後かわむーさんのように、何か新しいことに一歩踏み出したい医療従事者に向けて、何かメッセージをお願いします。
どんどん挑戦したら良いと思います。
まずは小さくてもいいので、始められそうなところからスタートしてみてはいかがでしょうか。そのうえで、自分を見失いそうになった時には原点や目の前のことに立ち返ってください。目の前の人に真摯に向き合い続けることで「やはり私のやりたいことはこれだ」と確信が持てるようになるでしょう。
どんな大きな変化も、必ず最初は一人、前例のないところから強い使命感でチャレンジした人がいます。近年、医療従事者の働く場所や選択肢はどんどん広がっています。客観的な傍観者ではなく「こういう未来を創る!」とういう強い主体性をもったファーストペンギンに、あなたもきっと、なれるはず。
人生一度きり。チャレンジしないともったいないと、私は思います。
ーー実体験があるからこそのメッセージですね。たくさんお話を聞かせてくださり、ありがとうございました!
取材:松岡マイ
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薬学生ライター:えみぞうさん
都内薬学部薬学科4年。大学を1年休学して日本各地を飛び回る。5歳から17年続けているダンスを強みに、旅先で出会った人とダンスでコミュニケーション。旅するダンサーえみぞうとして活動中。人と話すことと深く考えることが好き。「読んだ人の心を動かす記事」を目指して執筆しています。
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