医療職は資格ゆえに安定して働けます。しかし実際は、仕事がきつい、休みが取りづらい、コミュニティが狭い……と特有の窮屈さに、モヤモヤを感じる人も少なくないはず。
今回は、第7回オンライン医療ライター育成講座「医療ライターのはじめかた」(2021年11月開催)を受講した卒業生の、もりもりおさんにお話を伺いました。
もりおさんは循環器専門病院で薬剤部長として働きながら、休日はキャンピングカーやボードゲームなど、お子さんと一緒に趣味を楽しむお父さん。その知識や体験を活かして、医療ライターとしても働いています。医療ライターに興味をもったきっかけは医療職特有の窮屈さを払拭するためだったそうです。講座の感想や受講後の変化についてお話ししていただきました。
循環器専門薬剤師をしながら、副業で医療ライターをする、もりもりおさん
ーーはじめに、もりもりおさんの自己紹介をお願いします。
もりもりおと言います。2005年に薬剤師になり、医療職についてからもうすぐ20年。
最初の2年間は急性期病院、その後は転勤で指定難病を扱う慢性期病院で働きました。調剤薬局を経て、現在の循環器専門病院に転職してから10年目になります。入職当時の薬剤部は1人常勤という形でしたが、現在は常勤が3名、非常勤が2名に増え、薬剤部長のポジションで働いています。
転職のきっかけは、子どもが生まれたことを機に育児や家事の時間を増やすためでした。自宅近くで働けるところを探していたところ、現在の病院にたどり着きました。家から職場まで10分という環境で、当時は休憩中に自宅に帰って家事ができる点が転職の決め手でしたね。
医療職特有の“窮屈さ”から抜け出したい。出会いとスキルアップを求め受講へ
ーー自宅近くに転職して育児や家事もサポートできる環境にあり本業も順調だったもりおさん。医療ライターという副業に興味をもったのはなぜだったのでしょうか。
家族のサポートができる職場で、病院の業績も問題なく本業に不満はありませんでした。しかし新型コロナウイルスが流行したときに「仕事に行って、家に帰ってくるだけ」の生活になり、とても狭いコミュニティの中で生きている感覚に不安を覚えました。
医療職は安定していますが、万が一この仕事がうまくいかなかったら、自分に何も残らなくなるのではという危機感を覚えて……。
そこでオンライン服薬指導やプログラミングなどの副業を探しました。そのなかで「医療ライターのはじめかた」を見つけたんです。
ブログなどを書いた経験もなく、当時は文章を書くことに苦手意識すらありました。講座を受けることで薬歴や議事録などの日常的な仕事に活かせるのではないかと思って。
文章の書き方を学び直したいという気持ちと、オンラインで仕事ができるようになれば、世界が広がるんじゃないか――そう思って講座を受講しました。
ーー実際に「医療ライターのはじめかた」を受講した感想を教えてください。
代表のまいまいさんはとても優しくて話しやすい方でした。添削が丁寧でしっかりフィードバックが返ってくるのはとても良かったですね。また、講座はすべてオンラインでのやり取りになるので、オンラインの仕事を擬似的に体験できました。
私は文章を書くのが苦手だったので、実際に執筆する課題には想像通り、苦戦しました(笑)。卒業制作は日常的に取り扱う「お薬手帳」をテーマにしましたが、それでも「書いて、まとめて、伝える」ことは苦しいと思いながら執筆したのを覚えています。
受講で得たライティングスキルは、本業の医療業務のなかで、メールのやり取りや議事録など、文章を書く場面で活かせています。書くスピードが上がったことに加え、薬歴や症例報告を書く時にも活きています。講座で習った「読者ニーズを考える過程」と、業務で使う「患者背景を考える過程」は似たところがあるので。
▼もりもりおさんの講座卒業制作はこちら
ーー卒業後はどのような記事を執筆しているのでしょうか。
趣味のキャンピングカーや車中泊に関する記事などを執筆しています。ボードゲームも好きなので『狭い車中でも楽しめるボードゲームの紹介!』なんて記事も。記事のテーマは、クライアントから提案されることもありつつ、自身で提案して記事になったものが多いですね。
いまだに文章を書くときには苦しさを感じます。ただ自分の好きなことを伝えるのは好きなので、楽しかった経験を文章にして伝えられる、かつそれが職業としてできるライターという仕事には、医療職にはないやりがいを感じています。
ーー趣味や楽しい体験について執筆することが多いもりおさん。そのなかで「薬剤師」の資格が活きた場面はあるのでしょうか。
薬剤師としての知識や経験を活かして、旅先でのオンライン診療やお薬手帳の活用方法、キャンピングカーの常備薬や衛生用品について執筆しました。
実はアウトドア業界では今、「防災」に関する知識が求められています。キャンピングカーは震災時の避難所や、医療現場でモバイルファーマシー*として活用されることもあるんです。
こういった「医療×アウトドア」を発信している人は少ないため、クライアントから依頼されることも多々あります。今後も医療知識を活かしつつ、防災関連の執筆が続けられたらと思います。
新たなコミュニティで感じたのは医療職の外に広がる“広い世界”
ーー医療現場特有の窮屈さを感じ、講座を受講したもりおさん。講座以外にどのような活動に参加し、どのような変化がありましたか。
元々近所に友人がおらず、趣味が偏っていることもあり、1人で楽しめるクイズやゲーム、ゴルフなどのソロ活をしていました。今も1人で外に出ていくことが多いですが、ボードゲームカフェやキャンピングカーのイベントなどに足を運ぶことで、新しいつながりができることもあります。
子どもと参加することもあるので、親子としての思い出ができたり、子どもに新しい友人ができたりと多くの楽しみを感じています。
先日参加した岐阜で行われたキャンピングカーのイベントでは、YouTuberの方との新しい出会いがありました。その方は、キャンピングカーを拠点としてオンラインで働き、YouTubeでの発信をして生活していました。
その話を聞いた帰り道、車を走らせながら移り行く景色をみていると「自分の生きている世界はまだまだ狭くてちっぽけだ」と感じて……。行ったことがない土地をまわってみたい気持ちがとても強くなりました。
夢はキャンピングカーで日本一周
ーー今後はどのような活動をしていきたいですか。
将来の大きな目標は、オンラインの仕事を増やして、キャンピングカーで日本の各地をまわれるようになることです。
そのために講座で習った営業方法を実践して、単価を上げることにも目を向けていこうと思っています。まずは本業に差し支えない程度の稼働時間で、医療ライターとして月10〜15万円を目指せればいいかなと。本業以外の収入源を作るのは安心感にもつながりますね。今後の医療政策では薬剤師の給料が上がることは考えにくいので……。これからも状況や収入に応じて本業も副業も柔軟に活動していけたらと思います。
また、キャンピングカーと医療の記事を通じて、いつかキャンピングカーフェアで健康啓発活動がしたいです。一般的な健康啓発フェアは、健康への意識が高い人しか来ないですよね。共通の趣味やコミュニティを通じて健康に関する働きかけをして、抵抗感なく広めていけたらと思います。
ーー最後に受講を考えている方にメッセージをお願いします。
すべてオンラインで完結する「医療ライターのはじめかた」では、自宅と職場の往復だけでは得られないような学びがたくさんあります。オンラインでは多くの人と広くつながりを持ち、さまざまな知見が得られるのが楽しいですね。
医療ライター業や文字を書くことが好きな方は一歩踏み出してみると、見える世界が変わる体験ができると思います。
ーー本日はありがとうございました。
医療ライターのはじめかた講座|Medi+
医療者専用の医療ライター講座として2020年にスタート。約100名の卒業生が90以上のメディアで活躍中。医療資格を持つ医療・薬機法ライターによる質問添削が大好評!医療情報をわかりやすく届けたい方におすすめです。