出産という、人生の大きな転機——。新しい命を授かった喜びの裏で、「このままでいいのかな」とキャリアに漠然とした不安を感じる人も多いのではないでしょうか。
病院薬剤師の青野テルさんは、3人のお子さんと向き合いながら、育休を「新しい働き方のための準備期間」にも活用。「育休は家族と過ごすという意味でも、自分の仕事から離れて改めて考え直すという意味でもとても大切な時間でした」と語ります。
そんな青野さんは育休中に、第18回「Medi+医療ライターのはじめかた講座」(2024年7月開催)と、第3回「Medi+医療系取材ライターのはじめかた講座」(2024年12月開催)を受講。講座の感想や、受講後の働き方、育休中のリスキリングが成功した秘訣をお伺いしました。
育休中にリスキリング、病院薬剤師の青野テルさん

ーー早速ですが、自己紹介をお願いします。
青野テルです。病院薬剤師13年目になります(2025年6月現在)。病棟業務や調剤業務、DI業務といった幅広い業務に携わっています。
2024年に第3子が生まれて育休を6か月間取得。現在は職場復帰して家事育児そして、仕事の両立に奮闘中です。
ーー青野さんは副業にも挑戦されているそうですが、最初に副業をはじめたのはいつごろでしたか?
第2子が生まれる前後ですね。副業解禁があり世間的にも副業が注目されている時期でした。仕事にも慣れてきて、何か新しいことをやってみたいなという気持ちから、まずブログやプログラミングに挑戦しました。
ーーその後さらに医療ライターにも挑戦されたそうですね?
そうですね。最初はブログに挑戦してみましたが、自分でテーマを考えるのが大変で続けられませんでした。
医療ライターはクライアントが指示するテーマに合わせて、自分の医療の知識を活かし、タスクワークのように進めていけるので私には合っているのかなと思いました。
ーー独学ではなく、講座を受けようと思われたのはなぜですか?
医療ライターをはじめる方法は、インターネットで検索すると無料のコンテンツがいくらでも出てくるのですが、その情報を頼りに独学で進めるのは不安でした。医療記事を書くうえで「正しい知識を身につけたい」「自分のやり方が間違っていないか相談がしたい」という思いで受講を決断しました。
ーー数あるWebライター講座の中から「Medi+(メディタス)」を選んだ決め手は何ですか?
医療分野という専門性があった点と、代表のまいまいさんが医療ライターを経験されているという点が決め手となりました。また、マンツーマンの個人コンサルではなく、複数名で一緒に頑張れるような環境というのも魅力的でした。
未経験から医療ライターとして自走するまで

ーー講座を受けた感想はいかがでしたか?
講座は動画なので自分のペースで進めることができました。私の場合は受講中に妻が切迫早産で入院し、とても大変な時期でしたが、隙間時間で受講できました。
また、各受講生に対して現役の医療ライターのメンターがつき、課題添削や質問応対してくれるのでサポートが手厚かったです。
ーーMedi+の動画は講座終了後も繰り返し視聴ができますが、特に印象的だった内容はありますか?
薬機法などの医療記事を執筆する際に関わる法律をテーマにした動画は、実案件でよく参考にしています。薬機法で注意すべき表現は、インターネット検索しても具体的な表現は解決しないことが多く、自分の言い換え表現が本当に正しいのかと心配になることが多かったので講座内容はとても重宝しています。
的確なフィードバックで見つけた「伸びしろ」
ーー講座受講後、心理的に何か変わったことはありますか?
実案件だと細かなフィードバックはなかなかありません。たとえば、「ばっちりです!」とフィードバックをもらっても、「どのあたりがばっちりだったのかな」と思うことがありました。講座の添削では、良い点は「この表現が特に伝わりやすいですね」、改善が必要な点は「こう表現するともっとよかったですね」と実践につながるフィードバックをしてもらえたので、自分の成長を感じられ安心感を持てました。
ーー受講後、はじめての案件はどのように獲得されましたか?
クラウドソーシングサイトに応募して受注に至りました。
講座内でプロフィールを整えたり、応募時の提案文を添削してもらえるので、早い段階で自走できるようになりました。
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育休中の1日のスケジュール
ーー育休中の1日のスケジュールはどのように過ごされていましたか?
5:00 | 起床 |
5:00~7:00 | 仕事 |
7:00~ | 子ども起床、朝食、登園準備 |
子どものお世話、家事 | |
子どもが昼寝をしたら、講座動画視聴&仕事 | |
19:00~ | 夕食 |
21:00 | 子ども就寝 |
21:00~23:00 | 講座課題&仕事 |
上の子は保育園に通っていたのですが、真ん中の子は夫婦ともに育休中だったので保育園に入れず自宅保育でした。日中はできるだけ子どもと一緒に遊んだり、料理や掃除などの家事をしたりして、基本的には子どもが寝ているときに講座の動画視聴や仕事をしていました。
5時頃に起床して、子どもたちが起きてくる7時頃までリサーチしたり、構成を考えたりしています。お昼寝の時間がもしあれば少し進めて、そして子どもたちの就寝後に本文を執筆していました。
子供の生活リズムに合わせて隙間時間を有効活用
ーー忙しい家事や育児のなか、時間を作るために工夫されていることはありましたか?
食器洗い乾燥機や洗濯乾燥機などの時短家電をできるだけ活用しています。掃除はあまり頑張りすぎないようにしていました。
日中はしっかり子どもと向き合い、たくさん遊んでぐっすり寝てもらえるようにメリハリをつけた生活を心がけていました。ただ、実際はなかなか寝てくれない日もあり、そうなると自分の時間を確保できないこともありました。子ども相手だと思い通りにいかないこともあるので、まとまった時間を確保するのは難しかったですね。
ーー時間の確保が難しいとモチベーションを保つのも大変かと思いますが、忙しいなかで頑張れたのはなぜでしょう?
「新しいことに挑戦している」という実感ですかね。普段の薬剤師業務で関わることのない疾患の知識を得られるだけでなく、自分の経験を活かしながら医療ライターの仕事ができ、さらに報酬をいただけるのはありがたいことだと思います。

また、子どもの成長も原動力ですね。あるとき、上の子が父の日に宝探しを企画してくれました。階段にカードが置いてあり、そこにはヒントが書かれていて、順々に辿っていくとプレゼントが隠してあったんです。なんと自作のメッセージカードが入っていました! 私に気づかれないように、妻と一緒にサプライズを考えてくれていたかと思うと、とても嬉しく、こみ上げてくるものがありました。今でもメッセージカードは見える場所に飾っています。
パパ育休におけるリスキリング成功の秘訣とは

ーーテルさんにとって第2子、第3子の育休はどうでしたか?
育休は家族と過ごす大事な時間でもあり、一旦仕事から離れ、現状を見つめ、改めてこれからを考えなおすといった、私にとってターニングポイントになったと思います。病院薬剤師としてのキャリアも約10年——少しマンネリを感じていたため、これまでと違う働き方を試して、視野を広げる機会になりました。
ーー医療ライターの活動が本業に活かされていることはありますか?
医療情報のリサーチ方法は、薬剤情報(DI)を調べる時などに活きていますね。
ライティングスキルに関してもカルテに記載する際、簡潔に伝わるように気をつけるようになりました。医療ライターになるために得たスキルは、本業のスキルアップにもつながっていると思います。
ーー育休中にリスキリングするにあたって、家族の理解を得ることも大切になってきますが、テルさんのご家庭ではどのような話し合いをされていましたか?
育児にしっかり関わりたいという気持ちで育休を取得したので、日中は家事や育児を優先にし、早朝や就寝後の時間で「できる範囲で」リスキリングをしようと妻と話し合いました。我が家は、普段から家事は分担制ではなく、できる方がするといったスタイルだったので、育休中も積極的に家事はやっています。
ーー普段から家事も育児もしっかり協力されてきたからこそ、テルさんの新しい挑戦に家族も応援してくれるのですね。
今後はインタビューにも挑戦

ーー今後育休が明けてから、どのような活動をしていきたいですか?
現在は本業が忙しく活動できていないのですが、余裕ができたタイミングで医療ライターの活動を再開したいと思っています。「Medi+医療系取材ライターのはじめかた講座」も受講したので、副業に取り組んでいる人にインタビューをしてみたいです。さまざまな職種のバックグラウンドや副業に対する思いなど、その人の魅力を多くの人に伝えられるような記事が書けたらと思っています。
ーー最後に、「Medi+医療ライターのはじめかた講座」が気になっている方に向けてメッセージをお願いします。
育休は家族と過ごす大事な時間ですが、仕事から離れているからこそ「自分のあり方」を考えるとても良い機会でもあります。Medi+講座は隙間時間で取り組めるため子育て世代にも合っていると思います。また、同時期に一緒に頑張る仲間がいるため、オンラインであっても励ましあえる環境があり最後まで頑張れます。
少しでもライティングに興味のある方は、体験してみようという気持ちで一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
ーー本日はありがとうございました!
医療ライターのはじめかた講座
医療者専用の医療ライター講座として2020年にスタート。約100名の卒業生が90以上のメディアで活躍中。医療資格を持つ医療・薬機法ライターによる無制限の質問添削対応が大好評!医療情報をわかりやすく届けたい方におすすめです。