アイスブレイクとは、初対面同士の会話のような緊張した場をなごやかにするためのコミュニケーション技法です。
インタビューを始める前にアイスブレイクを行うと、初対面のインタビュー相手でも会話がしやすい雰囲気を作れます。インタビュー相手の反応や表情を通して、相手の性格も垣間見られるでしょう。
では、アイスブレイクとは具体的にどのようなものなのでしょうか。

なつみさん
本記事では、現役の医療系取材ライターである筆者が、インタビューにおけるアイスブレイクのポイントやおすすめの話題について解説します。
アイスブレイクを上手に使えるようになると、インタビュー相手から「話しやすい人だな」という印象を持たれインタビューが盛り上がります。



なつみさん
結果的にたくさんの情報が得られ、インタビュー記事が充実するでしょう。
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アイスブレイクとは?目的を解説


アイスブレイクとは、その名のごとく「氷のように固い雰囲気を壊す」という意味です。初対面の緊張感をやわらげ、話しやすい雰囲気作りを目的として使われます。



なつみさん
アイスブレイクはインタビューだけではなく、会議や研修、セミナーなどでよく使用されます。
アイスブレイクの内容は、タイミングや目的によって様々な種類があります。
【アイスブレイクの例】
・簡単なゲーム
・自己紹介
・心理テスト
・クイズ
・雑談 など
インタビューや会議では、簡単な雑談をアイスブレイクに使用することが多いでしょう。
良質な取材記事を執筆するためには、インタビュー相手の魅力を深く引き出すことが重要となります。



なつみさん
限られたインタビュー時間の中でインタビュー相手に濃い話しをしてもらうためにも、アイスブレイクを活用して話しやすい雰囲気を作ることが大切です。
取材時のアイスブレイクの話題を選択する、2つの考え方



なつみさん
アイスブレイクの種類を知る前に、「どんなインタビュー相手にどんな話題を選択するべきなのか」をお伝えしていきます!
相手が主役になる、話しやすい内容を選択できているか
アイスブレイクの目的は、「インタビュー相手の緊張をほぐし、話しやすい雰囲気を作ること」です。
自分ばかりが話せる内容ではなく、インタビュー相手が興味を持って話せる内容か?を軸にテーマを選んでみましょう。



なつみさん
インタビュー相手が思わず「そうそう、そうなんだよね」「実はこう思っているんだよね」と思わず笑顔になれるような内容だと、緊張のほぐれに繋がりそうですね。
また、初対面で雑談が苦手なインタビュー相手に「休日はどう過ごしましたか?」などのオープンクェスチョン*からはじめると、話しづらさを感じさせてしまうかもしれません。
自分自身の自己開示も少し入れながら「初対面の相手に話せる内容や流れになっているかな」と、インタビュー相手の立場になってテーマを選定していきましょう。
アイスブレイクから取材内容へ、スムーズに進行できる内容であるか



なつみさん
アイスブレイクの話題は、可能であれば「取材のテーマに沿っていて、アイスブレイクの内容に沿ったまま取材を進められる内容」がおすすめです!
例えば、「医療者の働きかた」がテーマの場合は以下のように繋げていくことが想定されます。
【例】
アイスブレイク:「〇〇さんは3人のお子さんを育てながら本業も副業もされており、同じ親として本当にすごいなと感じています。最近お子さんが小学生になったという投稿をSNSで拝見しました」と、お子さんの話題をお話しする
アイスブレイク後:「のちほど取材の中でも、子育てとお仕事の両立についてぜひ詳しいお話しを伺いたいなと思います。では改めて、取材をはじめさせていただきます」
他にも、「〇〇医師の専門分野」について深ぼるテーマの場合は、以下のように繋げていくことが想定されます。
【例】
アイスブレイク:「〇〇医師が専門とされている□□分野において、最近こんな話題がありましたが、SNSや他の取材などで見解を述べられていたのを拝見し“確かにその通りだな”と感じていました」と心境を伺う
アイスブレイク後:「ぜひ取材の中でも、現在のお考えに至った経緯など深掘りさせてください。では改めて、取材をはじめさせていただきます」



なつみさん
アイスブレイクを取材内容に関連しそうな話題にすると、取材本文中でも使用できるような“質問のヒント”が引き出せることもありますよ。
緊張をほぐすアイスブレイクの話題5選


ここからは、医療系取材ライターにおすすめの「インタビューに使えるアイスブレイクの話題」を5つ紹介します。
医療系取材ライターのインタビュー相手は、医師、看護師、薬剤師などの医療職、もしくは患者さんや研究職の方など、職種や年齢もさまざまです。



なつみさん
インタビュー相手に合った話題をすぐ提供できるように、話題のレパートリーを増やしておきましょう!
医療業界の話題
インタビュー相手が医療職の方の場合、その人の専門分野の話題や最近の医療トピックなどを投げかけてみるのがおすすめです。



なつみさん
インタビュー内容と近い話題のため、記事にも使える情報を聞き出せる可能性があります。
また、自分と年齢が離れている方や権威的な方へのインタビューでも、医療業界の話題はお互い話が通じやすく、取り入れやすいアイスブレイクのひとつと言えます。
ただし、医療従事者以外(患者さんなど)では、硬く難しい印象を与える可能性があるので、医療業界の話題は控えた方が良いでしょう。
【例】
・「〇〇先生が専門とされている分野で、新薬開発がニュースになっていましたね」
・「今年から、医療機関でもマイナンバーカードの導入が義務化されましたね」など
時事的な話題
大きく話題になったニュースは、多くの人が話しやすいアイスブレイクの話題です。日頃から時事的な話題はチェックしておくことをおすすめします。
注意点として、事件や事故、災害などネガティブな話題は、気分を害する可能性があります。なるべくポジティブな話題にするようにしましょう。
また、話題の内容によっては、インタビュー相手が知らなかったり興味がない話題の可能性もあります。



なつみさん
インタビュー相手のことをリサーチした上で、興味を持ちそうな話題を選択するよう心がけてください。
【例】
・「先日、記録的な猛暑日となりましたが、暑い日々が続きますね。熱中症の患者さんも多いのではないでしょうか」
・「〇〇市では□□サービスが提供開始となったそうですが、医療機関から見ても変化はあったのでしょうか」など
出身地や居住地
出身地や居住地は、年齢や職種も選ばず使える話題です。
とくに、自分とインタビュー相手に共通点があると「私も〇〇に幼少期住んでいたことがあります」「旅行で何回か行ったことがあるんです」といったようにアイスブレイクが盛り上がり、その後のインタビューも進めやすくなります。



なつみさん
しかし、詳細に聞きすぎるとプライベートに踏み込みすぎてしまう可能性があるため、その土地の有名なものや観光資源などの話題にとどめておくのが無難です。
【例】
・「〇〇県のクリニックとのことで、私も実は幼少期に住んでいたのでもしかしたらお世話になっていたかも?と僭越ながらご縁を感じておりました。本日色々とお話し伺えること楽しみにしておりました、どうぞよろしくお願いいたします」
・「実は以前〇〇市で看護師として勤務しておりました。〇〇市は私も大好きな自然豊かな場所なので、懐かしさを感じています」など
取材場所の周辺環境
オフライン取材のときは取材場所の周辺環境を話題にすると、インタビュー相手も答えやすいでしょう。
「庭の桜がとてもきれいですね」「この辺りは緑が豊かでいいですね」など、現地で感じた気持ちを言ってみてください。とくに、施設の取材をする場合は環境も重要です。



なつみさん
インタビューの導入にもとても良い話題なので、ぜひ使ってみてください!
また、最近はビデオ通話で行うオンライン取材も増えてきました。
オンライン取材の場合は「今はどちらにいらっしゃるんですか?」と聞いてみたり、ビデオ通話の背景が凝っている場合には「背景が素敵ですね」とコメントしたりすると、アイスブレイクが盛り上がるかもしれません。
【例】
・「先ほど病院の掲示板をご紹介いただきましたが、子供たちのイラストにすっかり癒されていました。何か院内でイベントなどをされているのでしょうか?」
・「初めて〇〇に訪れたのですが、とても緑豊かで素敵な場所ですね。訪問できて大変嬉しく感じています」など、
休日の過ごし方や趣味
休日の過ごしかたや趣味は日常の雑談でもよく使われるため、アイスブレイクの話題としても取り入れやすいでしょう。最もフランクな話題のため、インタビュー相手が取材慣れしていない場合や、ある程度関係性が構築されている方に対しておすすめです。
ただ、「休日は何をして過ごしていますか?」「趣味は何ですか?」など漠然と聞くのはおすすめしません。
以下の例文のように、ある程度内容を絞って聞くことで、インタビュー相手が返答しやすくなるでしょう。
【例】
・「最近大型連休がありましたが、〇〇さんはどのように過ごされていましたか?」
・「Instagramで拝見したのですが、バイクがお好きなんですね。私も好きなので、思わず見入ってしまいました」など



なつみさん
話が本題からそれる可能性やフランクな印象が強いので、以下のケースでは他の話題がおすすめです。
・雑談を嫌いそうな方
・インタビュー時間が短い場合(30分など)
「休日の過ごし方や趣味」の話題は、関係性が深いと想像以上に盛り上がる可能性もあるので、話し過ぎに注意しましょう。
アイスブレイクをするときの3つのポイント


アイスブレイクを話すとき、ただ盛り上がる話題を話しておけば良いというわけではありません。インタビュー相手との距離が縮まるよう、ポイントを掴んで話していく必要があります。
ここでは、アイスブレイクを話すときのポイントを3つに絞って解説します。



なつみさん
はじめは全部を実践するのは難しいかもしれませんが、徐々にポイントを身に付けていきましょう。
インタビュー時間に合わせてテンポ良く話す
アイスブレイクの時間は、インタビュー時間に合わせて臨機応変に調整しましょう。
アイスブレイク時間の目安としては、取材時間が1時間程度であれば、会話が何回か行き来する程度(5分くらい)がおすすめです。インタビュー時間が非常に短い場合やインタビューで聞きたいことがたくさんある場合は、アイズブレイクはさらに短く行う必要があります。



なつみさん
インタビュー相手に興味があるという姿勢をしっかりと見せると、アイスブレイクが盛り上がりテンポ良く進みますよ。
インタビュー相手の雰囲気を探りながら、自分自身の話すペースやリアクションの大きさなども調整していきましょう。
アイスブレイクが盛り上がりすぎてインタビューになかなか入れないという予想外の事態が起こらないよう気をつけてください。



なつみさん
雑談を嫌う方もいるため、アイスブレイクの時間を短めにしたり無くしたりすることも考慮しましょう。
アイスブレイクに向かない話題は避ける
インタビュー相手の気分を害するような話題は控えましょう。とくに、初対面のインタビュー相手の場合、アイスブレイクの話題は慎重に選ぶことが大切です。
次のような話題はアイスブレイクでは避けるべきと言われています。
- 災害や事件について:時事的なニュースはアイスブレイクの話題としては問題ありません。しかし、災害や事件などネガティブな話題は避けるべきでしょう。
- 宗教やジェンダーについて:思想やパーソナリティに関わる話題も控えるようにしましょう。
- プライベートについて:プライベートな話題を嫌う方もいます。休みの日の過ごし方や趣味などを聞く程度なら問題ありませんが、あまり踏み込みすぎた話題にしないように注意しましょう。
- 相手を否定しかねない内容:話しやすい雰囲気作りのため、相手を褒める話題を選択しましょう
相手の興味がありそうな話題を探す
アイスブレイクの話題は何でも良いというわけではなく、相手の興味をひく話題にする必要があります。
インタビュー相手もはじめて話す相手に、多少なりとも緊張しているでしょう。インタビューで重要なのは、インタビュー相手が話しやすくなる環境作りです。



なつみさん
事前にWebサイトやSNSで相手の仕事内容、趣味、嗜好などをリサーチして、インタビュー相手が話しやすい話題をいくつか準備しておきましょう。
会話の最初は答えやすい「Yes/No」で返答できる質問(クローズドクエスチョン)、徐々に「Yes/No」で答えられない質問(オープンクエスチョン)をしていくとインタビュー相手と打ち解けやすいですよ。
相手が話したくなる取材ライターを目指そう


取材ライターにとって、アイスブレイクは会話のきっかけを作る重要なプロセスです。
いきなり本題に入るより、お互いに発言しやすくなり、インタビューをスムーズに進められるでしょう。
アイスブレイクを話すときは以下の3つが非常に重要です。
- インタビュー時間に合わせてテンポ良く話す
- アイスブレイクに向かない話題は避ける
- 相手の興味がありそうな話題を探す
このポイントをしっかり守ることで、インタビュー相手が話したくなる雰囲気が生まれます。アイスブレイクが盛り上がれば、その後のインタビューもスムーズに進められ、内容の濃い良質な記事を作れるでしょう。



なつみさん
相手の興味をひくような話題や、共通点のある話題で、ぜひアイスブレイクに挑戦してみてください。
医療系取材ライターの働き方に興味がある/挑戦してみたい方は、Medi+の「医療系取材ライターのはじめかた」講座がおすすめです。
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薬剤師取材ライター:岡田 なつみさん
薬学部卒業後、大学病院の薬剤部で研修を経て、病院薬剤師、ドラッグストア、調剤薬局と様々な職種を経験。現在は地域医療や在宅ケアに注力。
適切な情報をより多くの方へ届けるため、執筆活動中。さらに仕事の幅を広げるため、医療系取材ライター活動を開始。
趣味は旅行、ワイン、ネットサーフィン。最近フルマラソンに挑戦すべくランニングを開始。
X(Twitter):https://twitter.com/natsumi77102
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