今回は、薬剤師の資格を生かしてヨガインストラクターをしている桑原由佳さんにインタビューさせてもらいました!
薬剤師ヨガセラピスト、桑原由佳さん
ーー初めまして!今回はよろしくお願いいたします。
早速ですが、簡単な自己紹介を伺えますでしょうか。
桑原由佳です。よろしくお願いします!
薬剤師になったきっかけは、中学生の頃から母に薬学への進学を勧められていたことです。そのまま薬学部に入学しました。
ただ、研究が好きだったので、最初は製薬会社でジェネリック薬品の研究開発をしていました。商品開発をする中で、エンドユーザーの患者さんがどのような気持ちでお薬飲んでるかを聞く機会がありました。
そんな中「薬局では、患者さんにどうやって薬渡してるのかな?」というのが気になりはじめ、調剤薬局に転身し、その後5年ほど薬局薬剤師として働いていました。
ヨガに興味を持ったきっかけ
ーー桑原さんがヨガに興味を持ちはじめたきっかけは、どんなことでしたか?
製薬会社で働いていた時に、母が地元で人気のヨガ講座に応募したんです。知らない間に私の分も応募していて。
そしたら、すごく倍率が高いところに2人で当選したんです。初めてのヨガ教室がすごく楽しかったんですよね。それがスタートでした。
今から約14年前、インストラクターとしての養成もその先生にしてもらいました。その時学んだのがダンスを取り入れたフローヨガでした。その後、「専門知識を活かしたヨガをやりたいな」と思い始めて試行錯誤をして、今の形になりました。
ーー偶然のきっかけで、どんどん人生が変わっていったのですね。
そうなんです!実は私は、すごく体が硬かったんです。先生やアシスタントの方に憧れて、すぐ後ろにマットを敷いてレッスンに参加していました。
ーー最初の「興味ある」状態から、現在しっかり仕事として確立されていてすごいなと思います。
ほんとにね、こんな働きかたをするとは、多分誰も思ってなかったです。(笑)あんまり人前に出ないタイプだったので。人前で話したり教えたりするとは、最初は全然考えてなかったですよ。タイミングやきっかけのおかげですね。
ヨガセラピストを始めたきっかけ
ーーヨガセラピストを始めたきっかけについて、教えていただけますか?
製薬会社で働いていた頃から、ヨガを続けていました。
ヨガ教室に通っていた頃、先生に「インストラクターが足りない」と言われ、3か月から半年くらいの研修を受けてインストラクターデビューすることになりました。
ーーご縁があり、ヨガインストラクターデビューとなったんですね。
ヨガが流行り始めた頃で、人手が必要だったんです。
でも、仕事の都合上ダブルワークはできなかったので、「お手伝い」という形で週に1.2回。土日にヨガインストラクターをしていました。
ーー「お手伝い」としてのスタートだったんですね。
はい、そうだったんです。
ただ、当時働いていた薬局では、週3日くらい働くと、正社員扱いしてもらえたので、週3で薬剤師、週3でヨガインストラクターという生活を3年ほどしていました。「薬局の人手が足りない!」という時に、レッスンの合間に薬局に戻るような感じでした。
そのうちに、お陰様でヨガインストラクターの仕事が増えて、生活が忙しくなっていったんです。なので、正社員を辞めて、準社員→パート→派遣薬剤師と働きかたを変えていきました。薬剤師はスポットで働くようになり、ヨガインストラクターとして活動する時間を増やすようになりました。
そのような働きかたを3年くらい続けて、今の働きかたは全て「ヨガインストラクター」となっています。
ヨガで活かせた、薬剤師の経験とは
ーー薬剤師からヨガインストラクターへ、働きかたをシフトチェンジされたのですね。
はい。薬局薬剤師を辞めて6年経つので、かなりブランクはあるのですが、生活指導などの現場経験は十分に活かせているなと思います。
薬局薬剤師として指導していた生活習慣についての話をヨガのクラスに盛り込んでいます。例えば、「人は年齢を重ねるとこの様な不調が出てきやすいので、未然に防ぎましょうね」という内容です。
第一次予防医学を中心とした、『予防医学ヨガセラピー』をしていますね。
ーーヨガと生活習慣の知識を、組み合わせて指導されていたんですね。
そうですね。
予防医学と組み合わせると、これからの日本にとって大切な内容だと感じています。
最近は年齢に関わらず元気な方が増えており、年齢層も少しずつ高くなってきています。年齢、性別を問わず取り組むことができ、さらに年齢を重ねるごとに心身にとって大切なことだと実感していただいているので、熱心に継続する方が多く、素敵なコミュニティが出来上がっています。
ーーなるほど。ありがとうございます。
第一次予防医学というのは、具体的にどんな内容をされてるんですか?
生活習慣の中に取り入れていただきやすい内容が多いです。例えば、姿勢、柔軟性と腰痛の関係性についてです。
「腰回りが固い方のほとんどは、ももの後ろ”ハムストリングス”が硬くなっているので、ハムストリングスのストレッチをして、腰痛の予防をしましょう。」「歩くときは、こういう風に歩くと体幹が使えて姿勢が整い腰痛予防になります」ということを伝えています。
ーー体のことを知っているからこそ、伝えられる内容ですね。
そうですね。
「骨盤にハンモック状に付いている骨盤底筋を鍛えていくと尿漏れ防止になって生活の質が上がります」とか、そういう話をヨガのポーズとに絡めて、ちょっとしたトレーニングを入れて話しています。普段は使いにくいけれど、でも大切な筋肉の使い方を伝えることは重要です。
生活の質を維持もしくは上げていくこと、そして年齢を重ねることで生じやすい不調に対しての予防を前もってやっておく。その考え方を伝え、ヨガのポーズに取り入れ、皆さんが「できた!」って実感効果がある時は嬉しいですね。
ーー薬剤師の経験が活かされているんですね。
薬剤師の知識は結構使っています。
自律神経について学んだ内容が、呼吸法や心拍数の変動の説明にも生かされています。
医療従事者からすると当たり前のことかもしれませんが、体に関する専門知識が全くなかったとしても、「ストレスが解消されて楽しい!」「またヨガをしに行こうかな」「もしいけなくても家でできることをしようかな」という考え方に繋がります。
ーーなるほど、ありがとうございます。
専門的な内容になると伝えにくい部分もあるかと思いますが、どのように対応されているのでしょうか?
クラスでおこなっているのは、病気を未然に防ぐために日常生活の中で自分でできる「第一次予防」であることを、実例と共に伝えるようにしています。「第二次」は医師による治療、「第三次」はリハビリや再発予防を指しています。
「医学」というと、医療行為なのでは?と思われてしまうこともありますから伝え方は重要ですね。腰痛など気になる部分に対して、ヨガだと体の基盤からアプローチできることが多いです。
ご自身の今の状態や、今後の不安、心配事を少しでも解消していただけるよう、心身のケアに繋がることができたらという思いで伝えています。
これはヨガだとか、これはヨガじゃないとか、ヨガはフィットネスじゃないなどいう方もいらっしゃいますが、そういう垣根は一度外して、「楽しく幸せに生きていくこと」をみんなで見ています。色々と区別してしまうと「なんかヨガ入りにくいな」って思う方も結構いるんですよね。
なので、予防医学体操とか、健康エクササイズとか私にとって名前はなんでも良いんです。今は特に、「運動習慣がない方に楽しく始めていただくには、どうしたらいいのかな?」と考えています。
ーー運動習慣がない方にアドバイスをしても、習慣って中々変わらないですものね。
そうなんです。まずは、運動人口を増やしたいです!!
例えばですが、高血圧ぎみの方は呼吸法で整えれば、血圧の安定やリラックスに繋がります。リラックス状態は暴飲暴食も抑えられるので、塩分や脂質も減り、コレステロール数値も落ち着きやすくなります。
何気なく繰り返している生活習慣からくる不調(不定愁訴)・未病という状態を取り除くことが、第1次予防医学のためのヨガセラピーの役目だと感じています。
東洋医学的考え方も必要ですが、「西洋医学の数値のこの範囲は基準値ですよ」というのもやっぱり必要だと思うんです。バランスが大事ですね。
ーーいろいろな部分の知識が学べるので、普通のヨガのクラスとは全然違うものになりますね。
ありがとうございます!しかし、だからこそ最初は「クラスであまりポーズをやらない」と言われて悩んだこともありました。
もちろんポーズは行っていたのですが、「ザ・ヨガっほいポーズ」が多かったかというとそうではなかったので、クラスのコンセプトの説明が足りなかったかなと反省しています。
自分の中でしっかり確立していくことで、お客様の中でも、心からこのヨガに参加したい!という方がとても多くなりました。
ーーなるほど。「代表的なヨガポーズを行うクラス」を求める人とは、参加者の層が違うんですね。
私が担当させていただくクラスは、ヨガセラピーやリラックス系のヨガという内容でやらせていただいてます。
個人的に開催している教室は、全て2クラスにしていて、ほぐして調整系の「リラックスヨガセラピー」としっかり動く「筋力アップフローヨガ」の二本立てです。どちらも大切な内容なので、体力や状況に合わせて選んでいただけるようにしています。
両方参加の方もいらっしゃいます。リラックスクラスに100人いたとしたら、チャレンジフローのクラスに来るのは40人~50人です。リラックスクラスで体力に自信が付いた方が、筋力アップフローに参加してくださったりします。
ーー継続して体力が付くことは、自信に繋がりますね。
それぞれの受講者さんにとって、1番良いプログラムを考える
ーーヨガセラピーのレッスンでは、どのようなお話をされているのでしょうか。
リラックス系のクラスでは、体力をつけたい方に対して「正直このクラスだけでは、筋肉をつけることは難しい」「筋肉をつけたい場合は、ヨガでもヨガじゃなくても大丈夫なので、もう少し体に負荷がかかる動きを取り入れてみてください。」というお話をさせていただいます。
私のチャレンジフローレッスンだけではなく、他のクラスや先生もご案内していますよ!
自分のクラスだけで受講者様を囲おうとかいう気持ちは全くなく。他の先生のクラスと施設全体を一緒に盛り上げていくという考え方をしています。なので、素敵な先生を何人も把握するようにしています。
他のクラスで自信が付いたら、戻ってきてくれる方もいます。「お客様を手放す」というのではなく、「その方にとって一番いいプログラムは何かな?」と本気で一緒に考えています。
ーーすごくいいですね。ひとりひとりにとって、為になるヨガ教室なんだろうなというのを感じました。
ありがとうございます。
その方にとって何が大切か考えるというのが、一番ヨガ的な考え方かなとも思っています。
なので、何らかの理由で他クラスに参加するようになったとしても、後ろめたく思っていただくことは全くなくて(笑)
「クラスを離れても大手を振って、他のクラスで頑張ってます!って見せてくださいね。」と話しています。皆さんお気持ちがとても優しい方ばかりなので、気を遣ってくださると申し訳なくて。
ーー桑原さんも参加者の方も、優しい方ばかりなのですね。全体でヨガに参加しやすい雰囲気を作っている気がします。
ありがとうございます。そうすることで、私も楽しく活動しやすくなります。
多くの指導者の方が経験されると思うのですが、クラスを続けていると、来る人もいれば、辞めていく人もいます。でも、その方自身の生活習慣が安定し体力が維持され、楽しく続けられるのであればそれが最高の選択だと思うのです。
辛かったことや失敗したこと
ーーヨガインストラクターになる前や、今までの人生の中で、辛かったことや失敗したことはありましたか?
性格上かもしれませんが、特に失敗だと感じたことはありません。ただ、ヨガインストラクターを始めた頃は「せっかく薬剤師なのに」という周りからの重圧に対しての葛藤はありました。
「せっかく会社の福利もあるのに、それを手放してまでインストラクターの仕事を増やすの?」とは良く周囲から言われました。
また、親族にも医療関係者がいるので、「〇〇ちゃんは病院で頑張ってるのに……」みたいな言われ方をしたこともありました。「いつまでアルバイト生活してるんだ?」と言われたのは辛かったですね。
一方、両親や親友からは「なかなかできない素敵な選択」だと応援してもらえたので、本当に心強かったです。もちろん主人からも応援してもらっています!
ーーすごく分かります。私も「せっかく薬剤師になったのに」とは言われたことがあります。
私は、自分の中でのやりがいを感じることが大切だと思っています。
私がヨガの指導をはじめた14年前は、保障や福利厚生が大事と言われていた時でしたが、今は特にコロナ禍も経験し、自由に仕事をする方が多くなってきたと感じます。
オンラインのヨガレッスンについて
ーー現在、オンラインのヨガレッスンもされているんですか?
はい。コロナ禍をきっかけにスタートしました。
所属してる「IYC(インターナショナルヨガセンター)」のケンハラクマ先生から「オンラインを始めてみては?」と言っていただいたことがきっかけです。
当時はzoomという言葉も知りませんでした。(笑)
【IYC(インターナショナルヨガセンター)とは?】
全国各地で様々なプログラムを提供し、インストラクター育成も行うヨガスタジオです。国外・海外にてワークショップやリトリートを行うだけでなく、オンライン配信スタジオやオンラインライブ配信クラスの提供をしています。
画像引用:IYC(インターナショナルヨガセンター)
感染予防をしながらスタジオが始まるようになってからはスタジオで行う通常クラス、オンラインだけのクラス、スタジオとオンライン同時開催のクラスと3パターンで行っています。
産後の方や、小さいお子様がいらっしゃったり、ご家族に受験生がいらしたり、ご年配の方など幅広くオンラインで対応させていただいています。
ーーそうなんですね。オンラインでも関わりが続くのは、すごくいいですね。
私は東京、埼玉方面のスタジオを中心に開催させていただいてますが、オンラインの場合はご自宅からご参加できるのがいいですね!
もともとコロナが始まる前「4月からはちょっと仕事の仕方を変えようかな」と思っていて、大手のスタジオをいくつか抜ける相談をしていたんです。それに伴いLINE公式アカウントを開設していて。
その後にコロナ禍になったので、緊急事態宣言が発令され自粛生活となっても、皆さんに健康情報を発信したり繋がることができました。
現在は、第1週目が木曜日、2~5週目が水曜日、21:00~22:00にオンラインでのヨガレッスンを開催しています。気になる方には、ぜひご連絡ください♪体験レッスンもありますよ。
今後やりたいこと・チャレンジしたいこと
ーー今後やりたいこと・チャレンジしたいことはありますか?
既に2019年からIYCインターナショナルヨガセンターで、予防医学ヨガセラピーの指導者養成講座を開催させていただいているのですが、そのような指導者のスキルアップ、育成により力を注いでいきたいと考えています。
西洋医学や東洋医学のポイントを押さえて学び、クラスの中でどのようにアウトプットしたら生活習慣の改善・第一次予防医学・社会貢献に繋がるかを考える講座です。
また、自主開催クラスを開催するのであれば、どのように始めたらいいのかもお伝えしています。同じような志の指導者と共に広い世代に社会貢献をしていくことが目標です!
お陰様で東京、新潟、福岡と少しずつ広まっていますが、まだまだこれからこの様なクラスが多くなると日本もさらに元気になると感じています。今後、スケジュール上私が担当しきれないクラスに指導者を紹介していきたいです。
もちろん、医療系の方にも来ていただきたいですが、そうでなかったとしても今までの経験から予防医学に繋げられる部分は沢山あります!ご自身のこれまでの経験を十分に活かしていただけるような養成講座をこれからも開催していきたいです。
ーーなるほど。ありがとうございます!興味ある人にとって、すごく嬉しい講座なのではないかなと思います。
ありがとうございます!
もしかしたら、大多数のヨガクラスとは違い、「なんか変わったヨガクラス」という印象かもしれませんが、ヨガポーズは使い方によっては予防医学に活かせるところが沢山あるんです。
私のクラスには、上級者・初心者の隔たりもないですし、年齢も性別もまちまち。心と体に必要なことって、特に何かに限定されることはないんだと思います。
クラスには体が柔らかい女性が多いですか?というご質問もいただきますが、最近は男性も多いです!ご安心くださいね。
後輩薬剤師に向けて、メッセージ
ーー最後に、後輩の薬剤師や医療従事者の方に向けて、何かメッセージがあれば、お伺いできればと思います。
「コロナで医療従事者の方がすごく疲弊されてるな」と思うので、そういう方にこそ、ヨガや呼吸法でリラックスして欲しいですね。
最近、色々な動画を配信しているので、少しでもお役に立てたら嬉しいです。
日々のストレスを解消し、免疫力や気力・体力を維持していただきたく、この時期を上手く乗り越えていきましょう!
私のクラスでは、薬剤師さんが多くご参加くださるところがあるんです。それぞれ職場で誘っていただき、だんだん増えてきました。
今後、医療従事者のためのレッスンもやっていきたいですね。
また、薬剤師にはなるつもりはなかったけれど、せっかく資格があるから何となくやっているのだとしたら、好きなことがある方は思い切って挑戦し、そこで医療の知識を活かしていく方法もあります。私の活動が少しでも参考になれば嬉しいです!
ーーありがとうございました!今回のインタビューが、働きかたに悩む方の一つの道しるべになるだろうなと思います。
ありがとうございます。
学生さんで進路に悩んでいる方には、「今は興味あること色々やりながら資格取得に向けて頑張って!」と伝えたいです。個人的な考えですが、せっかく薬学の道に行ったのだからその部分を「人生の通過地点」と考え、それからどんどん自分の興味あることをやって、楽しく生きていっていただきたいです!
私も、薬剤師の経験があったからこそ今の職に活かせている部分もあります。知識ををうまく活かしながら、好きなことができるといいですよね!
ーーそうですね!お時間くださりありがとうございました!
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