初心者向け添削付き動画講座「第17回医療ライターのはじめかた」受講生募集中

動画クリエイターやAIツール講師、多彩な仕事を手がける薬剤師じゅんさん

こんにちは!”自分らしく、楽しく、おもしろく”働く、全国の医療従事者を紹介するメディア、「MediJump」です。

今回は、ドラッグストア薬剤師から未経験で動画クリエイターとなったじゅんさんにお話を伺いました。

現在はYouTubeコンテンツをはじめとする動画制作やSNS運用、AIツール講師など多彩な仕事を手がけるじゅんさん。
現在の働き方に至るまでの経緯や、今後挑戦したいことなどたくさんお話していただきました!

じゅんさんの自己紹介

ーー最初に、自己紹介をお願いします。

久保田純平と申します。薬剤師で、約10年間大手ドラッグストアで働いていました。

新卒で入社して、6年半ほど薬剤師として働いています。新店の立ち上げに伴い、1年間薬局長も勤めました。そのあと本社の人事部教育部門に異動して、新入社員や中途採用者の教育研修、登録販売者向けの研修を社内で企画したり講師をしたりしていました。

現在は、大手ドラッグストアを辞めてフリーランスで働きつつ、パート薬剤師もしています

未経験からフリーランス・動画クリエイターへ

ーーじゅんさんにとって、人生の一番大きなターニングポイントはいつですか?

ドラッグストア薬剤師から動画クリエイターとしてフリーランスへ転向したときですね。コロナ禍になったことが、大きなきっかけでした

動画制作を始めたきっかけは、コロナだった

希望していた人事部に異動した半年後に、コロナが始まったんですよね

感染対策の一環で集合研修ができなくなり、動画で研修を行うことが急遽決まりました。ただ、研修資料すら完成していない状況からのスタートで、研修を録画するカメラも編集技術などのノウハウもありませんでした

そのため、急いで社用のカメラを購入し、通勤の2時間を使って編集ソフトの使い方を読んで……。会社に着いたら朝イチで編集作業の対応をして、ギリギリなんとか間に合わせました

それを機に、他の研修もすべて動画配信形式に変えることになり、日中の通常業務に加えて動画編集も行わざる得なくなりました。おかげで動画編集のスキルは身につきましたが、完全に体調を崩しちゃって。普通に働けなくなったんですよ

そこで仕方なく休職することにしました。自分では気づいていなかったのですが、とても無理をしていたようで、回復には時間がかかりました。

体が回復してきて、今後の人生について考えたときに、もうどうせだったら1回ドラッグストアは辞めてみようと思いました。薬剤師の資格はあるし、いつか現場に戻るチャンスはあるなと。結婚しているので、家族にも1年間フリーランスとしてやらせてほしいと相談しました。

そして、動画制作の仕事なんてまったくない状態から、会社を辞めてフリーランスとして活動し始めました。

ーーそうだったのですね。じゅんさんは会社を辞めてから、これまでに培った動画制作のノウハウを活かして、フリーランスを始めたのでしょうか。

そうですね。退職してから、プロ仕様の動画編集ソフトを一から操作を覚えたり、SNSを利用して一から営業して案件を獲得したり。当時はその選択肢しかなかったため、死ぬ気で挑戦するしかなかったというのが、実際のところですね

しかし、すぐうまくいったわけではなくて。半年間やっても全然稼げなかったので、普通に貯金は減っていきました。やばいなと思い動画制作のスクールに通って、マーケティングや営業手法を習いました。私は行動すると、状況が上向くことがけっこう多くて。動画スクールに入って、営業ってこうやってやるんですよって言われて、とにかく営業してみたんですよ。奇跡的に、営業を始めて1発目で返信があって、案件獲得につながりました

ーーじゅんさんの行動力が、奇跡を引き寄せたのですね。ほんとにすごいです。

動画制作の枠にはまらない、案件の獲得方法

ーー動画編集、制作のお仕事を始められて、辛かったことやそれを乗り越えた方法を教えてください。

動画制作で辛かったのは、単純に単価が上がらないことでした

クラウドソーシングサイトでの案件は、下請けで作業が細分化されるため単価が安くなる傾向にあります。仕事を巻き取ることで単価が上がるというところに気づいたので、直営業*に力を入れました

直営業*:クラウドソーシングサイトなどを介さず、フリーランスとクライアント企業が直接「業務委託契約」を結ぶ働き方

ーー直営業の方法に悩む方はけっこういらっしゃる印象です。じゅんさんの直営業の秘訣や、営業力を向上させた方法を教えていただけますか。

私は、そんなに営業が得意なわけではないんですけど。

営業に関しては、Youtubeなどの営業手法のコンテンツを見て勉強しました。こういった言い回しをするんだなとか参考になりましたね。

あとは、薬剤師としての服薬指導の経験が営業に活きています。相手の表情をよく見て、この人は今どう思っているかなと推測して。それをフリーランスとしての営業活動に取り入れています。

ーー営業手法を学んだ際、一番の学びはなんだったんでしょうか。

お客さんが商品を買うときに、どのように選んでるかを、売れる営業マン目線でどう解釈しているかって話がありました。人は商品のスペックでものを買うわけではなく、その営業マンからものを買っているという考え方だったんです

そのため、お客さんが最終的に求めているのは、最高品質・最高級のものではなく、納得感。営業は、その人を納得させられるかっていうところがテクニックですって話がありました。それを念頭にヒアリングなどをしなきゃいけないんだなというのはとても勉強になりましたね。

ーーじゅんさんは動画制作だけでなく、幅広くお仕事をされていますね。

そうですね、もうとにかくこなすしかなかったです。これもやります、あれもやりますみたいな形で引き受けていたら、現在の働き方になりましたね。動画制作以外にも、IT関連の仕事やAIツールの講師、ライターもしています

人事部にいたときに、アンケート集計をしたり、研修の報告書を作成したりする仕事があって。当時、Excel VBAとかを勉強して、手作業の集計を自動化した経験があるんですが、そういったことを営業でお話しすると、じゃあこれもお願いと受注につながることもあります。

ーーすごいです。今までの経験を無駄なく活かされていますね。

それは、前職の社風が染みついているからですかね。以前の会社は「とにかく目立て!」という社風でした

自分が持っている能力があるなら「私できます!」ってアピールしないと意味がないと思っているからかもしれません

学生時代に培った逆境への強さ

ーー逆境をプラスに変えてこられたじゅんさんですが、何か考え方の原点があるのでしょうか。

薬学部は3年生になると実験が忙しくなり、授業も難しくなってきますよね。勉強量が爆発的に増える中で、実験のレポートもあるという状況でした。

必死にレポートもアルバイトもして、それが辛すぎて……自分で希望して薬学部入ったのに、こんなに辛いと思っていいんだろうかと悩みました

でも、私の場合は、自分をとにかく追い込んだんですよ。アルバイトを週6で入れて、レポートや試験勉強に割ける時間を減らしました。無駄な時間をなくして効率よく勉強して、なんとか定期試験に受かっていました

当時は、4時間半睡眠で体力的にとても辛くて死にそうだったんですけど、おかげで吹っ切れました。

今も”人間って追い込めば意外にできるじゃん”と思えるのはその経験からですね。

動画クリエイターとして、今後したいこと

ーー自分の持つ経験やスキルを常に棚卸して、クライアントニーズに寄り添い、さまざまな仕事を獲得してきたじゅんさん。主な仕事である動画制作において、今後どのような活動を目指しているのでしょうか。

“医療現場での人手不足を解消したい”と思っており、それを軸にコンテンツを作っていきたいと考えています

具体的には、登録販売者の受験者向けのYouTube配信と、動画での薬局採用支援です。

登録販売者向けYoutubeコンテンツで受験を支援

ーー登録販売者の受験者向けのYouTube配信について、詳しくお聞かせいただけますか。

そもそも登録販売者は、世間的にまだ認知されていないという問題点があります。一般の方のなかには、ドラッグストアで白衣を着ている人は、全員薬剤師と思っている人もいます。しかし実際は、薬剤師よりも登録販売者の方が圧倒的に多く在籍しているんです。

そのため、「登録販売者」の前に医薬品をつけ、「医薬品登録販売者」という名称に変更して、もっと認知度を高める動きがあります。まだまだ認知されてないからこそ、受験者はこれから増えるかなと思いますが、現在の登録販売者試験の合格率は50%を切っています

私は登録販売者の認知度が低いことや、合格率が低いことも人手不足の原因の一つだと思っていて。受験者用コンテンツを配信して合格率を上げることが、現場の人手不足が解消されるのかなと考えて取り組んでいます。

もっと長い目で見ると、医療費削減まで繋げたいなという目標がありまして。国民一人一人が医療や薬について詳しくなり、無駄な受診が減れば医療費は減るんじゃないかなと思うんです。

そういった意味では、登録販売者試験に関わらず、医療や医薬品に関する知識を動画で広げていき、最終的に医療費が減るところまで持っていくのが目標です。

薬剤師不足解消へ、動画で薬局の魅力を高めたい

薬剤師の慢性的な人手不足の問題で取り組みたいのが、企業の求人を動画によって支援することです。特に、中小規模の薬局における薬剤師不足は深刻です。

その原因として、薬局が会社概要や採用情報を掲載するためのホームページを持っていないことや、ホームページを持っていても文字のみでわかりにくいことが挙げられると考えます。中小規模の薬局の中には、志を高く持っていたり、強みや独自の取り組みがあったりしますが、求職者には伝わらないことが多いように思います。

そこで、私の動画スキルを提供して、採用動画を作り、薬局の魅力を高めることに協力したいと考えています。

これから挑戦したい医療者へのメッセージ

ーー最後に、これから挑戦したい医療職の方に向けてメッセージをお願いいたします。

私の現在の働き方は、決して順風満帆で始まったわけではありません

フリーランスとしての働き方を選んだ人は、ちゃんと準備してから次のステージに行く人だけでなく、私みたいに「もうこれしかない」と踏み込む人もいると思うんですよね。

「自分はフリーランスなんてできない!」と最初から諦めるのではなく、一つ的を絞って本気でやってみようと取り組んでみることで変わるかもしれません。臨床現場の薬剤師としてうまくいかなかったとしても、医療者がフリーランスの道で頑張るという選択肢があって良いと思うんです。

営業を勉強するときに見ていたYoutuberからの受け売りですが、フリーランスで成功している人というのは、みんながポジティブな理由で始めてうまくいっているわけではないと。ネガティブな理由から入って成功している人もたくさんいるわけで、その入口を重く受け止める必要はないという言葉がありました。これはまさに自分がそうだったなと思っています。いい言葉をもらったなと思ったので、今日はその言葉を少し引用してみました。

ーー体調不良をきっかけに、未経験から実績を積み上げていったじゅんさんだからこその、重みのあるリアルなメッセージですね。本日はありがとうございました。

じゅんさんのSNS

X(Twitter):@pharmacistedit

この記事の執筆者

薬剤師取材ライター:潮見 ゆうかさん

薬剤師。大学卒業後、総合病院に勤務し、内科・泌尿器科・透析科・循環器科での服薬指導を経験。日本糖尿病指導療法士、栄養サポートチーム専門療法士、心不全指導療法士の資格を有する。現在は未就学児2人を子育てしながら病院薬剤師として従事、現場経験をもとに医療ライターを行う。

X(Twitter):潮見ゆうか@医療専門ライター
note:https://note.com/nacl_pharm

潮見さんも受講、Medi+「医療系取材ライターのはじめかた」とは?

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

メディア運営・編集

京薬卒、(株)Medited代表取締役。 医療・取材ライターや医療系介護メディアの編集長業務、キャリアスクールでの講師メンター業などを経て2020年よりオンライン動画講座「医療ライターのはじめかた」メディア「MediJump」の運営を開始。2022年より医療×Webクリエイターの交流コミュニティ「MediWebラボ」をスタート。2023年に法人化し、経済産業省JStarX起業家プログラム等に採択。「医療資格は、ずっと味方」をテーマに活動しています。