コーチングとは、対話を通じて相手の中に眠る「答え」を引き出し、自発的な行動を後押しするコミュニケーションスキルです。
ただのアドバイスではなく、相手自身が自分の可能性に気づき、道を見つけられるよう伴走する。この技術を学んだことで、薬剤師として活躍するあきさんは「人との関わりかた」が大きく変わったと語ります。
今回は、第1回「Medi+コーチ育成講座」(2025年12月開催)あきさんに、対話の奥深さや、スキル習得で得た新たな視点について詳しく伺いました。
派遣薬剤師で各地を旅する、あきさん

ーーまずは、簡単に自己紹介からお願いします。
薬剤師のあきです。薬剤師歴は8年目になります。
新卒で病院に就職し、6年間正職員として勤務しました。退職後は派遣薬剤師として各地の調剤薬局で働いています。
出身は福岡県です。これまで長崎県、熊本県、広島県で勤務しました。現在の職場は今月末で契約が終了するため、来月からは山梨県に移る予定です(2026年6月現在)。
ーーそもそも、薬剤師という職業を選ばれた理由は何だったのでしょうか?
理由は大きくふたつあります。
1つめは、母の存在です。共働きの両親に育てられ、母からは「女性も安定した仕事を持つことが大切」と教えられてきました。また、身近な存在に、定年後もパートで働く薬剤師の親戚がいました。その姿を見て「薬剤師は長く続けられる仕事なんだ」と興味をもったのが最初のきっかけです。
2つめは、大学のオープンキャンパスで出会った漢方を研究されている先生です。先生に大学内の植物園を案内していただいたのですが、西洋医学とは異なる漢方の考えかたを教えていただきました。もともと自然が好きなこともあり、その内容に強く惹かれ「漢方をもっと学んでみたい」と思ったんです。
また、国家資格があれば、場所を選ばずに働けるという点も、今の自由な働き方を支える大きな土台になっています。
ーー6年間病院薬剤師だったあきさん。なぜ、現在のような旅をしながら、派遣薬剤師という働きかたを選んだのでしょうか?
病院薬剤師としての環境は、人間関係にも恵まれ、憧れだった漢方の仕事にも携われる素晴らしい場所でした。だからこそ「これ以上何を望む必要があるのか」と、自分の心に蓋をして言い聞かせていた時期もありました。
けれど、コロナ禍による閉塞感に加え、変化のない日々にどうしても拭えない「このままでいいのだろうか」という気持ちがあったんです。あるとき「もし時間もお金も自由なら、本当に何がしたい?」と自分に問いかけてみました。
そのとき真っ先に浮かんできたのが、幼い頃からの夢だった「世界一周」でした。未知の世界を体感したいという強い好奇心に改めて気づいたとき、退職を決意したんです。
現在は、派遣薬剤師として各地を旅しながら、「MediWebラボ*」のコミュニティマネージャーも務めています。以前には取材ライターに挑戦しましたが、自分には合いませんでした。
ーー各地を旅されているあきさんは非常にエネルギッシュなイメージがあります。ご自身ではどのような性格だと思いますか?
周囲からは「いつもアクティブで元気だね」と言われることが多いのですが、実際にお話しすると「意外と落ち着いているんだね」とギャップに驚かれることもあります。どちらも自分らしい一面だとは思うのですが、基本的にはマイペースな性格ですね。
ただ、新しいことに対する好奇心は人一倍強いかもしれません。私のモットーは「悩んで止まってしまう前に、まずは今できることに全力を尽くす」こと。まずは目の前のことに全力でぶつかってみて、その結果を受けてから次のステップを考えればいいと思っています。
受講生の涙ながらの感謝。コーチングの可能性

ーー「Medi+コーチ育成講座」を受講したきっかけは何でしょうか?
Medi+代表のまいまいさんからお声がけいただいたことがきっかけです。もともと、個人的にコーチングを受けた経験があったため、興味はありました。
「本当に興味深い」というのが、講座受講の1番の感想です。コーチングへの興味や関心が、受講前よりも格段に深まりました。
講座の構成も非常にしっかりしており、まずは座学で基礎を学び、そのあと実際にデモンストレーションをおこなって、講師の方からフィードバックをいただくという流れでした。
特に、自分自身では無意識にしていた「コミュニケーションの癖」を客観的に見直せたことが大きな収穫です。コーチングのスキルとしてはもちろん、普段の会話や人との接し方を振り返ることもでき、とても濃密で充実した時間だったと感じています
「答えは相手の中にある」対話の質を深めた気づき
ーー具体的に、どのような癖に気づいたのでしょうか?
「自分で勝手に答えを想定して質問してしまう」という自分の癖に気づけたことです。
これまでは、自分の中の答えに誘導するような問いかけをしてしまい、結果として相手との会話がどこか噛み合っていないような感覚がありました。
コーチングを学んでからは、問いかけの一歩手前で一度立ち止まることを意識しています。正解を決めつけず、まずは相手の言葉をそのまま聞いてみる。それだけで、会話の質が変わったように思います。
また、耳で聞く言葉の内容だけでなく、相手の表情や仕草にも目を向けるようになりましたね。対話への向き合い方が、以前よりもぐっと深まったと感じています。
ーーその他に受講中に感じたメリットはありますか?
講師の先生からいただくフィードバックの時間が、何よりもためになりました。
特に良かったのは、実際におこなったセッションを録画して、その内容を先生に見ていただいたことです。Zoomの映像を共有しながら「なぜここでその質問をしたの?」や「私だったらこう問いかける」といった具体的なアドバイスをいただけたことは、本当に大きな学びでした。
いただいたアドバイスは、コーチングの場だけではなく、普段の生活や患者さんとの会話でも意識するようにしています。
学びを活かし、受講生の人生を後押し
ーー現在は、コーチングの仕事もされているんですね。
はい。現在「Medi+医療ライターのはじめかた講座」で、コーチング担当枠として参加しています。希望制で、3ヶ月の講座期間中に月に1回、計3回セッションを担当する形式です。
ーー実際にコーチングを担当される側になって、率直な感想はいかがですか?
正直なところ、最初はめちゃくちゃ緊張しました。思うようにいかず「良い時間にしてあげられなかった」と反省してばかりで……。それでも、対話を重ねるなかで、私自身も学ぶことが本当に多くありました。
回を重ねるうちに、受講生さんが自分でも自覚していなかった感情に気づいて、セッションの最後に涙を流される瞬間があって。別の方からは「あきさんに感謝しています」という言葉をいただき、本当にやってよかったなと胸が熱くなりました。
パラレルキャリアを築く、あきさんの1日のスケジュール

ーー現在、派遣薬剤師やコミュニティマネージャー、そしてコーチングと多忙なあきさんですが、どのような働きかたをされているのですか?
現在、本業は派遣薬剤師として週5日間フルタイムで働いています。帰宅は遅いので、夜の時間にオンラインの仕事をするのが今のスタイルです。そのときの職場によって生活リズムは変わりますが、「睡眠時間だけは死守する」ことが毎日を乗り切る秘訣ですね。
【1日のスケジュール】
| 7:00 | 起床、支度 |
| 8:00 | 自宅を出発 |
| 9:00~19:00 | 調剤薬局にて勤務 |
| 20:30 | 帰宅、夕食 |
| 21:30~23:00 | コミュニティマネージャーやコーチングの仕事 |
| 23:30 | 就寝 |
コーチングで未来を一緒に探すお手伝いをしたい

ーー今後、挑戦してみたいことは何ですか?
挑戦したいことは2つあります。1つは、漢方関連の仕事に携わること。そしてもう1つは、コーチングを活かして、薬学生さんの進路相談に乗るような仕事をしていきたいです。
というのも、自分自身が学生だった頃を振り返ると、進路に対してすごく「固い」感覚を持っていたと思うんです。当時の進路選択といえば、病院や薬局、企業という選択肢を提示されて「さあ、どこに行きますか?」というような雰囲気でした。自分自身も、将来に対してワクワクするというよりは「どうやって生きていこう」と、まるで人生を組み立てるための課題のように、少し構えて選んでいた気がします。
だからこそ、今進路に迷っている薬学生さんたちの力になりたいんです。「薬剤師資格だからこうしなければいけない」ではなくて、もっと肩の力を抜いて、楽しい将来や選択肢があることを伝えていけたらいいなと思っています。
講座受講を通して、コーチングこそが「私のやりたいこと」だと確信しました。迷っている人が、私との対話で一番納得できる選択肢を見つける手助けができれば嬉しいです。
ーー最後に講座を迷っている方に向けてメッセージをお願いします。
もし迷っているなら、「ちょっと試してみよう」という気持ちで挑戦してほしいです。
動く前は「失敗したら戻れなくなる」と不安になりますが、意外といつでも引き返せます。経験したことは、どこか別の場所で必ず活かされると信じています。
まずは一歩を踏み出してみてください。その先には、今よりもずっと心地よい景色が待っているはずです。
ーー本日はありがとうございました!
コーチ育成講座
傾聴・質問・フィードバックといった「コーチングスキル」を実践的に学ぶ講座です。医療現場内での人間関係構築に活かしたい方、医療資格を活かしてオンラインで柔軟に働きたい方、人の話を聞くのが好きな方におすすめです!


