医療職として働くなかで、「もっと柔軟で自分らしい働き方をしたい」「子育てと両立しやすい在宅ワークに挑戦してみたい」と感じる方は少なくないでしょう。
フリーランスは働く場所や時間を調整しやすく、ワークライフバランスを重視したい方の選択肢になりやすい働き方のひとつです。
一方で、収入や税金・保険、仕事の獲得など自分で考えて準備することも多く、「未経験の自分にもできるの?」と不安に感じる方もいるでしょう。
看護師ライター村川さおりさん
この記事では、医療職がフリーランスを目指す前に知っておきたいポイントや、仕事を獲得するための準備、スキルを学ぶ方法について解説します。
在宅ワークやフリーランスに興味がある方は、将来の選択肢を広げるために、できる準備から確認していきましょう。
フリーランスになる前に整理したいこと


フリーランスになる前には、仕事内容だけでなく、理想の働き方や生活に必要なお金、税金・保険などについて整理しておくことが大切です。
無理なく続けるためにも、自分の考えや生活に合った働き方を考えておきましょう。
叶えたい生活や働き方を考える
まずは、フリーランスになって叶えたい生活や働き方の目標を考えてみましょう。
「子育てと両立しやすい在宅勤務がしたい」「体力的に無理なく働きたい」「臨床から離れても医療資格を活かして働きたい」など、人によって理想の働き方は異なります。[1]
フリーランスは自由度が高く、時間や場所にとらわれず働きやすい点が魅力です。
一方で、すぐに理想通りの働き方や収入が得られるとは限りません。
フリーランスの働き方では収入が毎月一定とは限らず、収入を増やすためには稼働時間や業務内容を自分で調整する必要があるでしょう。



村川さおりさん
長く働き続けるためにも、自分が大切にしたい条件を整理しておくことが大切です。
仕事にしたい分野や職種を考える
フリーランスといっても、働き方はさまざまです。
医療職の知識を活かしたフリーランスの仕事には、次のような選択肢があります。
| 医療の知識を活かしたフリーランスの仕事 | 内容 |
医療記事のライティングや監修 | 医療系Webコンテンツの記事を執筆し、以下のような専門的な情報を読者にわかりやすく伝える仕事 病気の予防や治療に関する解説記事 医療機器やヘルスケア商品に関するコラム記事 医療者向け転職サービスメディアの記事 医療者や医療サービスなどへの取材記事 記事内容の正確性や表現を確認する、監修業務をする場合もあります。 |
| 医療系メディアのディレクション | 記事の企画やライターへの仕事依頼、業務管理など、医療系メディアの進行を支える仕事 |
医療・医薬翻訳 | 医療に関する論文や文献をもとに、以下のような、専門的な文書やパンフレットなどを作成する仕事 治験に関連した文書作成 新薬の承認に関する書類作成 患者向けパンフレットや冊子などの資料作成 |
| 医療系SNS運用 | 医療機関やヘルスケア企業などのSNSアカウントを運用し、シナリオ台本や投稿の作成・分析・改善提案などを行う仕事 |
| 医療系デザイン | 医療・ヘルスケア分野のホームページやパンフレット・チラシ・SNS投稿用画像・広告バナーなどを制作する仕事 |
| 薬機法・景品表示法・健康増進法などのチェック業務 | 医療や美容、健康分野の記事や広告の内容を確認し、法律やガイドラインに配慮した表現に整える仕事 |
医療系コーチング | 医療職としての経験や知識を活かし、相談者の悩みや目標を整理しながら、行動につなげるサポートを提供する仕事 |



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まずは自分がどの分野に関心があるか、どんな仕事なら続けていけそうかを考えてみましょう。
生活費や必要な収入を把握する
フリーランスとして独立しても、すぐに安定した収入が得られるとは限りません。
内閣官房が実施したフリーランスの実態調査では6割の方が、フリーランスとして働くうえでの障壁として「収入が少ない・安定しない」と回答しています。[1]
仕事の受注状況や報酬の支払い時期によって、月ごとの収入に差が出ることもあります。[2]



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そのため、まずは現在の月々の生活費を把握し、毎月どのくらいの収入が必要なのかを確認しておきましょう。
たとえば、毎月の生活費が20万円の場合、最低でも20万円以上の収入が必要になります。そこに税金や保険料、事業に使うツール代なども加えておくと安心です。
また、家賃や食費、通信費、保険料などの固定費を一度見直しておくことも大切です。
収入が安定するまでの生活費は余裕をもって準備しておくことで、精神的な不安も軽減しやすくなります。



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いきなりフリーランス一本にするのではなく、副業からはじめて、仕事や収入が安定してから専業になる方も多い印象です。
税金や保険について確認する
会社員からフリーランスになる場合、健康保険や年金の切り替えについても確認しておきましょう。
健康保険は、国民健康保険へ加入するほか、以前勤めていた会社の健康保険を任意継続する選択肢もあります。任意継続の期間は最大2年間です。[3]
退職前の収入や居住地によって異なりますが、任意継続の方が保険料を抑えられるケースもあるでしょう。
任意継続を希望する場合、原則として資格喪失日から20日以内に手続きが必要です。[4]
国民健康保険や国民年金への加入も、退職日の翌日から14日以内に手続きする必要があります。[5][6]



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任意継続には加入要件もあるため、退職が決まったら早めに加入先や手続き方法を確認し、必要な準備を進めておきましょう。
フリーランスとして働く心の準備


フリーランスになるには、制度や手続きだけでなく、心の準備も大切です。
フリーランスになってから過度な不安を感じないためにも、まずは働き方の特徴を知っておきましょう。
月によって収入に差が出ることがある
会社員と異なり、フリーランスは必ずしも毎月一定の収入が得られるとは限りません。
仕事の受注状況や単価、報酬の支払い時期などによって、月収が変動する場合もあります。



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収入を安定させるためには、スキルを磨いて単価アップを目指したり、複数のクライアントと継続的な関係を築いたりするのもひとつの方法です。
自分で決めて行動する意識を持つ
自由度の高さは、フリーランスの魅力のひとつです。
しかし、働く時間や場所など融通が利きやすい反面、納期管理や体調管理、収支管理、業務時間の調整などを自分で行う必要があります。



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事前の相談なく納期に遅れてしまうと、クライアントからの信頼を失う事態にもなりかねません。
自分のペースで働ける環境だからこそ、計画性や自分で決めて行動する意識を身につけることが重要です。
すぐに結果を求めすぎない
フリーランスになったからといって、実績がない状況ではすぐに安定して仕事を受けられるとは限りません。何件も仕事に応募してもなかなか返事がもらえなかったり、はじめての仕事を獲得するまでに時間がかかったりすることもあります。



村川さおりさん
筆者も医療ライターをはじめたばかりの頃は、思うように仕事につながらず落ち込むことがありました。
すぐに結果が出なくても焦らず、まずは自分ができそうな仕事に積極的に挑戦してみましょう。受注できた仕事に誠実に取り組み、小さな実績や信頼を少しずつ積み重ねていくことが大切です。
フリーランスとして仕事を得るために準備したいこと


フリーランスになるための準備や心構えを理解できたら、実際の仕事につなげるために、次のような行動を少しずつ進めていきましょう。
ここでは医療ライターを例に挙げ、実績作りや仕事の探し方、強みの伝え方について紹介します。



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ほかのフリーランス職種にも共通する内容です。まずはできることからひとつずつ、取り組んでみましょう。
小さな実績を作る
継続的に仕事を獲得するためには、まずは小さな実績作りからはじめましょう。
1000〜2000文字程度の短めの医療コラム記事や、医療職としての実体験を活かした体験談記事など、まずは単発案件からはじめてみるのもひとつです。
クラウドソーシングサイト*などを活用し、医療分野に限らず趣味に関する内容など、自分の経験をもとに取り組めそうな仕事からはじめてみるのも良いでしょう。



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案件でなくとも、note*やブログに自分で執筆した記事を公開し、サンプル記事として営業に活用する方法もあります。
「Medi+医療ライターのはじめかた講座」では、記名記事として公開できる医療系記事制作のサポートが受けられます。
制作した記事を実績として営業できるため、仕事獲得へのハードルを下げやすくなるでしょう。
仕事の探し方を知る
フリーランスの仕事の探し方には、次のような方法があります。
- クラウドソーシングサイト(クラウドワークス、ランサーズなど)
- SNS(XやInstagramなど)
- 求人サイト
- 企業のホームページ・SNS経由で直接営業
- 知人からの紹介
- コミュニティ内での仕事募集



村川さおりさん
最初はクラウドソーシングサイトからはじめて、少しずつ実績を積み重ね、仕事の基本や流れを知るのもひとつの方法です。
また、フリーランスとして仕事を獲得するには営業が必要になることも多いですが、なかには営業が苦手な方もいるでしょう。その場合、知人からの紹介やコミュニティ内の仕事募集に参加するなど、自分に合った方法からはじめてみると良さそうです。



村川さおりさん
筆者自身も、医療×Webクリエイターコミュニティ「MediWebラボ」に所属し、コミュニティ内での募集をきっかけに仕事の受注につながった経験があります。
仕事の探し方はひとつではないので、自分に合った方法を見つけながら、少しずつ仕事獲得の機会を広げていきましょう。
医療職経験や自分の強みを整理する
医療職としての経験や、これまでの人生で得た知識・スキルは、フリーランスとして活動するうえでも強みになります。
コミュニケーション能力や傾聴力、情報を整理して考えるアセスメント能力、こまめな報連相などは、クライアントワークでも活かせるスキルです。



村川さおりさん
たとえば、看護師が患者に行う療養指導や、薬剤師が行う服薬指導などの経験は、専門的な内容を相手に合わせてわかりやすく説明するスキルにつながります。
医療ライターの場合、記事制作で読者に専門的な医療情報を伝えるうえでも、役立つ経験といえるでしょう。
また、医療職の経験だけでなく、育児や趣味などが仕事につながる場面もあります。



村川さおりさん
実際に筆者がはじめて獲得した仕事は、趣味であるマリンスポーツに関する記事執筆でした。
これまでの仕事や人生経験を振り返り、強みとして活かせる知識やスキルがないか確認してみましょう。
SNSやポートフォリオで実績を伝える
SNSやポートフォリオを整えておくと、クライアントの目に留まり、仕事の相談につながる場合があります。
自分がどのようなスキルや経験を持ち、クライアントの悩みをどのように解決できるのかを、相手に伝わる形で整理しておきましょう。



村川さおりさん
ポートフォリオには、経歴や保有資格・得意ジャンル・実績・サンプル記事・対応可能な業務・稼働時間・単価・問い合わせ先などをまとめます。
WordPressでブログサイトを作成しておくと、入稿作業のスキル習得にもつながります。
まずはnoteなどの無料サービスを活用し、ポートフォリオを作成するのも良いでしょう。
フリーランスの準備は今からはじめられる


フリーランスになるための準備は、今からでもはじめられます。
お金の知識や仕事に関連したスキルを学ぶなど、まずは小さくても、できることから取り組んでいきましょう。
手続きやお金の知識を確認する
フリーランスとして独立する際には、開業届の提出や確定申告の準備も進めましょう。
開業届や確定申告は税務署の窓口だけでなく、e-Taxを利用してオンラインで手続きすることも可能です。[9][10]
フリーランスとして事業所得を申告する場合、申告方法には白色申告と青色申告の2種類があります。青色申告を選ぶと、要件を満たした場合に青色申告特別控除などを受けられ、節税につながることがあります。[11]
ただし、青色申告を行うには、事前に「所得税の青色申告承認申請書」の提出が必要です。提出期限も決められているため、国税庁のホームページで詳細を確認しておきましょう。
また、クレジットカードの作成や賃貸契約、住宅ローンの契約などは、フリーランスになる前に済ませておくとスムーズな場合もあります。



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仕事用のクレジットカードを作っておくと、事業用の支出を管理しやすくなり、確定申告の準備も進めやすくなります。
まずは副業や学習から小さくはじめる
いきなりフリーランスとして独立することに不安がある場合は、副業や学習から小さくはじめる方法もあります。
副業で少しずつ経験を積むことで、自分に合った働き方かたしかめたり、安定した収入が得られるようになってから独立したりすることが可能です。
学習については、書籍や動画サービス・オンラインスクールなどで学ぶ方法もあります。



村川さおりさん
筆者も最初は書籍でライティングのノウハウを学び、自己流ではなくきちんと基礎を身につけたいと感じたため、「第22回Medi+医療ライターのはじめかた講座」を受講しました。
自分に合った方法で、少しずつ知識やスキルを身につけていきましょう。
仕事で使うツールに触れてみる
フリーランスとして仕事をしていると、さまざまなツールを使う場面があります。
医療ライターの場合、GoogleドキュメントやGoogleスプレッドシートのほか、連絡手段としてZoomやSlack・Chatwork・Discordなどを使うことがあります。
業務を進めながら少しずつ操作に慣れることもできますが、慣れない仕事と並行してはじめてのツールを使うのは、戸惑いも大きいでしょう。



村川さおりさん
筆者も家族に協力してもらい、Chatworkで日常のやりとりをして練習した経験があります。そのおかげで、実際のクライアントともスムーズにやりとりができました。
無料で使えるものも多いため、今のうちから少しずつ触れてみてはいかがでしょうか。
学べる環境を活用する
「何から学べばいいかわからない」「独学ではモチベーションが続かない」と悩む方もいるでしょう。そのような場合は、同じ目標を持つ仲間と一緒に学べるオンラインスクールやコミュニティを活用するのもひとつの方法です。
医療系クリエイターのためのコミュニティ「MediWebラボ」は、メンバー同士で悩みを相談したり交流したりしながら、スキルアップを目指せる環境です。



村川さおりさん
相談できる場所があることで、迷いや不安を解消しやすくなり、学習や仕事を続ける支えにもなるでしょう。
医療知識を活かした働き方も選択肢になる


フリーランスは、収入面や自己管理で大変さを感じることもある働き方です。
だからこそ、自分に合う働き方や必要な手続きを整理し、少しずつ準備を進めていくことが大切です。
医療職として培ってきた知識や経験は、医療ライターや医療デザイナーをはじめ、臨床以外のさまざまな分野でも活かせます。



村川さおりさん
書籍や動画で学ぶ、ネットでフリーランスの働き方について調べてみるなど、小さなことからでも大丈夫です。
今できることから、少しずつはじめてみましょう。
[3]厚生労働省>政策について>審議会・研究会等>社会保障審議会(医療保険部会)>第121回社会保障審議会医療保険部会(ペーパレス)資料>資料4 任意継続被保険者制度について p2
[4]協会けんぽ>給付と手続き・申請書>会社を退職するとき 任意継続
[5]厚生労働省>政策について>分野別の政策一覧>健康・医療>医療保険>国民健康保険制度>国民健康保険の加入・脱退について
[6]日本年金機構>年金の制度・手続き>国民年金>国民年金の加入>国民年金に加入するための手続き
[8]note
[9]国税庁>税の情報・手続・用紙>申告手続・用紙>申告・申請・届出等、用紙(手続の案内・様式)>税務手続の案内(税目別一覧)>申告所得税関係>A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続
[10]国税庁>税の情報・手続・用紙>税について調べる>所得税(確定申告書等作成コーナー)>確定申告期に多いお問合せ事項Q&A>【所得税及び復興特別所得税の申告等】
[11]国税庁>税の情報・手続・用紙>税について調べる>タックスアンサー(よくある税の質問)>No.2070 青色申告制度










