医療ライターとして活動するなかで、仕事の単価が伸び悩むことはありませんか。執筆だけを今後も続けていくことに対して、「このまま継続して依頼を続けてもらえるのだろうか」「単価を上げるために、業務範囲を広げたい」と悩む方もいるかもしれません。
ほかの医療ライターがメディアディレクターに挑戦している姿に興味を持つものの、「自信を持ってディレクター案件に応募できない」「自分にはまだ早いのでは」と感じる方もいるでしょう。
実は、メディアディレクターに挑戦するタイミングに正解はありません。本記事では、医療ライターがメディアディレクターを意識しはじめるきっかけや、知っておきたい視点を解説します。
薬剤師ライター河江いなさん
なお、本記事ではWebメディアでの記事制作やプロジェクトの進行管理を通してメディア運営を行う、メディアディレクターに関する内容にしぼってお伝えします。
医療ライターがメディアディレクターを目指す3つのきっかけ


医療ライターがメディアディレクターを目指しはじめるきっかけは、おおむね次の3つです。
- 単価や収入の伸びに悩みはじめたとき
- 今後のキャリアに不安を感じはじめたとき
- 構成作成や添削など執筆以外の仕事が増えてきたとき
それぞれ詳しく説明します。
単価や収入の伸びに悩みはじめたとき
メディアディレクターを意識するきっかけになりやすいのが、単価や収入の頭打ちです。
医療ライターの報酬は文字単価や執筆本数で決まるため、収入を上げるにはそのどちらかを増やすしかありません。しかし、執筆できる時間は限りがあり、収入は頭打ちになりがちです。
そこで選択肢のひとつとして挙がるのが、メディアディレクターです。執筆は医療ライターに任せ、自分は構成と方向性を示してプロジェクトを進めるため、より多くの記事に関われます。



河江いなさん
担当できる業務の幅が広がることで、執筆のみの案件よりも報酬の選択肢が広がる機会が増えるでしょう。
今後のキャリアに不安を感じはじめたとき
「このまま執筆だけ続けていて良いのか」という不安も、メディアディレクターを目指すなかでよくあるきっかけです。
とくに最近は、生成AIの登場で「書く」こと自体のハードルは下がり、数分で本文が作れる時代になりました。
実際、生成AIを使ったことのある人の割合は、2023年度の9.1%から2024年度には26.7%へと増えています。[1]生成AIの普及により「このままでは生成AIに仕事をうばわれるのでは」と不安になる方もいるでしょう。
しかし、医療記事の執筆は生成AIにそのまま任せられる領域ではありません。
生成AIには、事実と異なる内容をもっともらしく出力する「ハルシネーション」があります。根拠の古い情報や、診療ガイドラインに沿わない表現が混ざることも珍しくありません。



河江いなさん
読者の健康に直結する医療記事では、こうした誤りがそのまま実害につながるおそれがあります。
だからこそ、AIの出力を鵜呑みにせず、執筆内容が医学的に正しく誤解を生む表現がないかを見極める医療ライターの力が必要です。この力が、メディア全体の品質を守る、メディアディレクターの仕事にも活かされます。
「医療資格を執筆だけにとどめず、もっと広く活かせないか」と思い、メディアディレクターを意識するのは、ごく自然なことといえます。
構成や添削などの執筆以外の仕事が増えてきたとき
執筆だけでなく、構成づくりやほかの医療ライターの原稿チェックに関わる機会が増えてきたときも、メディアディレクターを目指すきっかけになりやすいです。
- 構成作成の相談を受けることが増えた
- ほかの人の原稿に対して改善案が浮かぶ
このように気づけるのは、メディア全体を見る視点が育っているためです。構成も添削も、メディアディレクターの仕事に近い領域といえます。すでに任されているものがあるなら、あなたの力が信頼されている証拠です。
メディアディレクターを目指すタイミングに正解はない!3つの理由


メディアディレクターに興味はあっても「自分にはまだ早いかも」と思う方もいるかもしれません。しかし、メディアディレクターを目指すタイミングに正解はありません。その理由は以下の3つです。
- 経験年数だけでは判断できないから
- 医療ライターの経験がディレクションの土台になるから
- 足りない部分は動きながら埋められるから
それぞれ、詳しく説明します。
経験年数だけでは判断できないから
そもそも「何年やったら目指すべき」という基準はありません。
第14回「Medi+医療ライターのはじめかた講座」卒業生の今井マイさんは、講座卒業後1ヶ月でクライアントよりメディアディレクションの相談を受けています。



河江いなさん
経験年数の長さだけで、声がかかるわけではなさそうです。
今井さんはメディアディレクターに挑戦後、やはり基礎からしっかり学びたいと「Medi+医療系メディアディレクション講座」も受講しています。動きながら学ぶ順番でも問題なく、「まずやってみる」という姿勢が大切です。
医療ライターの経験がディレクションの土台になるから
医療ライターとして積んできた経験は、そのままディレクションの土台になります。
- 読者ニーズに合った執筆や構成の作成
- 表現に注意しながら原稿を仕上げる力
- クライアントからのフィードバックを次に活かす姿勢
これらは、メディア全体の運営を考える際にも欠かせません。
なかでも、正しい情報を取りに行く力や医療的におかしい表現を見抜くスキルは、医療資格や現場経験を持つ人ならではの強みです。



河江いなさん
メディアディレクターはゼロからの挑戦ではなく、執筆で培った力がそのまま活きます。
足りない部分は動きながら埋められるから
メディアディレクターの仕事は複数の工程にわかれています。そのため、経験不足の業務があっても実際に動きながら調整できます。
メディアディレクターの仕事内容は、企画・設計から構成作成、進行管理、品質チェック、分析・改善まで多岐にわたるといえるでしょう。
最初からすべてを担う必要はなく「記事チェックのみ」「構成と進行管理のみ」と、一部の業務から関わるケースも多いです。受け持つ工程に応じて、報酬も変わります。



河江いなさん
現在の案件でも「構成から提案してみる」「対策キーワードを考えてみる」など、半歩広げられる場面は意外にあります。
完璧を目指さず、少しずつ動いてみても良いかもしれません。
医療ライターからメディアディレクターを目指すのに必要な視点


ここからは、メディアディレクターに挑戦する場合に知っておきたい視点を3つ紹介します。
- メディア全体を見る視点
- 医療ライターと協働して成果を出す視点
- 数値で判断する視点



河江いなさん
今から意識しておくと、スムーズにメディアディレクターに挑戦しやすくなります。
メディア全体を見る視点
メディアディレクターは、メディア全体の目標や読者の動線をふまえて、記事の役割を決めます。1記事に集中して書く医療ライターとは異なり、メディア全体を見渡す視点が求められます。



河江いなさん
木にたとえるなら、1枚の葉だけでなく、幹や枝など木全体を見るようなイメージです。読者の検索意図・クライアントの目的・メディアの方針を同時に見渡す目が求められます。
医療ライターと協働して成果を出す視点
メディアディレクターは、チームで成果を出す必要があります。そのため、指示出しやフィードバック・スケジュール管理を丁寧に行うスキルが欠かせません。
納期や品質を守りながら、チームで記事を仕上げるのは、難しく感じる場面もあるでしょう。「どう伝えれば、医療ライターさんが意図どおり動けるか」を、常に意識していく必要があります。



河江いなさん
自分がメディアディレクターとやり取りするときに「どのような意図で伝えているのか」と考えてみてもよいでしょう。
数値で判断する視点
メディア全体を管理するメディアディレクターは、感覚ではなく数値で判断する場面も少なくありません。
たとえば、記事公開後のPV*や検索順位・CV*を手がかりに、次の記事案やリライトを決めます。1記事の出来から、メディア全体の成果へ目を向けることが、メディアディレクターの視点につながります。
まずは普段の執筆に、この視点を少し加えてみましょう。それだけでも考え方が少しずつ変わっていきますよ。
医療ライターからメディアディレクターへの一歩を踏み出そう


メディアディレクターを目指すのに決まったタイミングはありません。単価やキャリアに迷いを感じた今が、挑戦を考えるタイミングともいえます。
医療ライターの経験は、次の挑戦への支えになります。メディアディレクターの知識が完璧でなくても、動きながら整えていけるでしょう。
一方で、独学では進行管理やフィードバックの方法が合っているのか、判断しにくい場面もあります。独学に不安がある場合は、基礎から学べる環境を活用するのもひとつの方法です。



河江いなさん
迷ったときに相談できる環境があれば、独学で立ち止まる時間を減らし、実践へ移りやすくなります。
フィードバックを受けながら経験を積み、メディアディレクターへの一歩を踏み出してみませんか。










