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イラストも描けるWebデザイナー/看護師のジェリーさん

こんにちは!“自分らしく、楽しく、おもしろく”働く、全国の医療従事者を紹介するメディア、「Medi Jump」です。

今回お話しを伺ったのは、看護師兼「イラストも描けるWebデザイナー」のジェリーさん。病院勤務の看護師を経てフリーランス看護師の道を歩みながら、Webデザインの学びを深めた彼女の原動力には、お母さんの母国フィリピンで垣間見た現状による「誕生日にケーキを食べる子どもを増やしたい!」という強い想いがありました。

今回は、そんなジェリーさんに看護師を目指したきっかけや、Webデザイナーの仕事が途絶えない秘訣など、たくさんお話ししていただきました!

ジェリーさんの自己紹介

画像提供:ジェリーさん

ーー本日は、お時間ありがとうございます。さっそくですが、ジェリーさんの自己紹介をお願いします。

イラストも描けるWebデザイナー兼看護師のジェリーです。2022年1月に開業し、デザインの仕事をメインに、週に1回の夜勤看護師の仕事も続けています

ーー現在までのご経歴を、教えていただけますか?

専門学校卒業後は3年間、看護師として病院に勤務していました。勤務していた病院は混合病院といって、急性期から慢性期まであり診療科もバラバラで、眼科から外科まで何でも診る病院でした。

3年間の病院勤務を終えたあとは、4ヶ月ほどフィジーに語学留学へ。その後は東京でフリーランスの看護師として働きました。新卒で幅広い看護を学んだ経験が、フリーになったときにすごく役に立ちましたね。

フリーランスの看護師をしているときに、プログラミングやWebデザインを学び始めました。2021年の10月にWebデザイナーとして活動をはじめ、4ヶ月後に開業、2023年1月には法人化。Webデザイナーも開業も看護師も「失敗しても違う道がある」と、まずはやりたいことに挑戦し続けてきました

ジェリーさんが看護師を目指したきっかけ

写真提供:ジェリーさん

ーージェリーさんが看護師を目指したきっかけは、どんなことだったのでしょうか。

実は、私のルーツにはフィリピンがあります。母がフィリピン人、父が日本人で私はハーフなんです。幼い頃から夏休みになると、母の母国に1ヶ月間の里帰りをしていたのですが、そのときの経験が看護師を目指したきっかけになりました

母とフィリピンの市場を歩いていると、片方の腕をなくした子どもやお年寄り、生まれたばかりの赤ちゃんを抱えた人が近寄ってきて「please!」「help!」と声をかけてくるんです。幼かった私は、母からもらったお小遣いを渡そうとしたのですが、母は私に「一度優しさを見せると溢れて押し寄せてくる」と伝えると、私の手を引いてその場から立ち去りました。そのとき初めて、本当の優しさには覚悟と責任が必要なのだと知った気がします

市場からの帰り、バスから外を眺めると、行きには目に入らなかった雨風もしのげないような手作りの家や、栄養失調になった子どもの姿がありました。その光景を見たとき、自分は恵まれた環境にいること、私はこの貧困のある環境を変えるために生まれてきたのだと感じましたね。それからしばらく経ったころ、フィリピンで国境なき医師団を見て、看護師になることを決めました。

ーー想像もできないような体験ですね……。目標にしていた看護師として病院勤務をしたのちにフィジー留学に行ったのはどうしてですか?

やりたいことと、自分の好きなことが同じ軸になるようにすり合わせをするためです

母はもともと貧困地域の出身で、10人の兄弟を養うために、小学校も卒業せずに10歳のころから日本に出稼ぎに来ていたんです。その経験から、恵まれない子どもたちのために手助けがしたいと、毎年クリスマスになると300人の子どもや高齢者にプレゼントをする社会活動をしていました。その事業を引き継ぎたい想いはあったのですが、継続する仕組み作りや発信の基盤が自分にはなかったので、留学してまずは自分が力になりたいと思う地域の現状を知ろうと思ったんです

留学中は現地の文化や英語を学びながら、街中の路地に座って、無料で似顔絵を描いてました。そこで出会った人と仲良くなって、ご飯屋さんに連れて行ってもらったり、自宅に遊びに行ったりしましたね。

看護師のジェリーさんが、Webデザイナーになるまで

画像提供:ジェリーさん

ーーWebデザインやイラストを仕事にするまでの流れを教えていただけますか。

4年ほど前から、自分で描いたイラストをInstagaramに載せていました。イラストレーターと名乗ってはいたのですが、最初の頃は自信を持てない日々が続きました。それでも看護師をしながら2日に1回は投稿していたんです

いつか海外で何かしたいなと思っていたのでWebフリーランスの働き方を目指していたのですが、イラストだけでは難しそうだなと途中で気づきました。調べていくうちに、フリーランスで働く人にはWebデザイナーとプログラマーが多いと知って、プログラミングの勉強を始めました。看護師の仕事をこなしつつ、イラストは2日に1回投稿、それに加えてプログラミングスクールで学ぶ日々が10ヶ月続きましたね。

ただ、そのスクールではデザイン知識やプログラミング技術は教わるものの、仕事のもらい方の講座はなくて。SNSマーケティングやライティングなど、調べて出てきた情報は全部試して、ブランディングのスクールにも通いました。そこでWebデザイナーという働き方を知って、Webデザイナーになることを決めました。実は、この試行錯誤の期間が2年間もあるんですよ

Webデザインの道に決め、スクールに入り、自分に必要な講座を絞ってそれだけを受講。必要な学びだけを吸収していました。看護師も変わらず続けていたので、移動時間や休憩時間、勉強できる時間を全て使って、毎日6〜12時間は勉強していましたね。スクールに通い始めたのが2021年10月で、その日からWebデザイナーとして活動をはじめました。

初めての案件獲得。そして法人化し次のステップへ

写真提供:ジェリーさん

ーーWebデザイナーとして、最初にいただいたお仕事はどんなものだったのでしょうか?

初めてのお仕事は、パワーポイントの挿絵用のイラスト作成でした。40個くらいたくさんのキャラクターを描きましたね。ただ、最初のうちはどれだけ一生懸命描いても、最初はあまりお金になりませんでした

その後、デザインのお仕事も頂くようになって、今はWebデザイナーとしてホームページを作成したり、ロゴやグッズの作成もしています

ーー2023年1月には法人化されていますが、きっかけや理由があったのでしょうか。

ありがたいことに、初案件から絶えることなくお仕事は続いてくれています。けれど、私の中では「いつか必ず終わりがきて、次のステップに進む時がくる」と思っていて。その次のステップは教育者なのかなと考えています。

継続的に案件を獲得できるようなコツや、思考整理の方法、デザイン知識など、コンテンツにして販売したいなと。

将来的にデザインは教える側だけにして、私がやりたいと思っている貧困層への慈善活動に時間を使っていきたいです

誰かを支えたいという想いがターニングポイントに

ーージェリーさんにとっての、人生のターニングポイントを教えてください

イラストやWebデザインを頑張ろうと覚悟したターニングポイントでいうと、父が亡くなった時ですね。ショックも大きくて、すごく落ち込んでしまったんです。その私の姿を隣で見ていた夫が、円形脱毛症になってしまって。「まさか!」と思う出来事の連続でした

そのタイミングが、「私が夫を支えるんだ」と覚悟が決まった瞬間だったと思います。それから、Webデザイナーになると決めるまでには沢山時間はかかりましたが、今頑張れているきっかけ、ターニングポイントだったなと思います。

看護師や貧困層に対して何かしたいと感じたターニングポイントとしては、小学生の頃に見たフィリピンでの貧困層の光景も忘れられないですね。

実は、24時間毎日つらい。それでも頑張り続けられる理由とは

写真提供:ジェリーさん

ーーSNSではいつも明るく順風満帆そうに見えるジェリーさんですが、つらかったことはありますか?

正直なところ、24時間365日つらいです(笑)。朝起きて、パソコン開いて、何時間もカタカして……。足が寒くなっただけでも、つらいなってなったりするじゃないですか。

でも、新しいことにチャレンジする時って、楽しいことだけじゃない。つらいことがあるのをわかっている状態で、それでも立ち向かうしかないんですよね

毎日泣くこともありますし、少なくとも月に1回は泣いてます。それでも、泣き続けても次には進めないから、次の日にはパソコン開いてます。みんな、そのつらいことに大小があったとしても、毎日のように乗り超えているんです。

看護師実習もつらかったので、自分の中で慣れて当たり前になった部分もあるかもしれないです。毎日が挑戦で、毎日がつらくて、その度に自信喪失する。それでも、それが当たり前じゃないと仕事はできないと思っているので。私にとって「つらい」は友達です

ーー立ち向かう毎日の中で、モチベーションはどのように保っているのでしょうか?

感謝してもらえる環境を自分で作って、自分が知らない間にモチベーションを高め続ける形を習慣化しています

私が人生の中で成し遂げたいことは「誕生日にケーキを食べる子どもを増やしたい」なんですが、その目的を達成するための小さな目標がたくさんあって。例えば、社会活動をしてクリスマスプレゼントを渡す、Webデザインを学んで、その知識を貧困地域に還元するなど。そういう目標をさらに細分化して、毎朝9時にはパソコンを開いて作業に取り掛かる、SNSの更新を続けるといった習慣にするんです

実際に貧困地域の子どもたちが笑顔になる瞬間に立ち会ったり、私が教えたことで誰かが幸せになってありがとうと直接伝えてくれたりすることは、きっと少ないです。けれど、クライアントさんや身近にいる人からの感謝の言葉は届くことがある。その言葉を素直に受け止め続けることがモチベーションになっています。

現在の働きかた

画像提供:ジェリーさん

ーー現在のジェリーさんの働き方を教えてください。

週5日は12時間以上デザインの仕事をしています。ほとんどの日が9時から21時までです。

幼い頃に日本語を話せなかった経験から、人の倍はやらないと成功しないと思っているので、毎日業務を詰め込んでいますね

デザインの仕事の定休日にしている水曜日と木曜日は看護師の仕事をしていて、水曜日の夜に夜勤をして、木曜日は疲れて寝ていることが多いです。

ジェリーさんが今後挑戦したいこと

写真提供:ジェリーさん

ーージェリーさんがこれから挑戦したいことがあれば教えていただけますか。

前提として、フィリピンでの社会活動、いずれ飲食店づくりに関わりたいと思っています。これは、私が人生の中で成し遂げたい「誕生日にケーキを食べる子どもを増やしたい」にも通ずると思っています。

その他短期目標としては、デザインを中心にした学校や、みんなでワイワイできるコワーキングスペースを作りたいです。現役のWebデザイナーさんから、リピートの案件をもらえない、値段が上がらないといったご相談を受けることが多い一方で、クライアントさんからも、相談しやすいwebデザイナーさんが欲しいという声を聞くんです。だから、リピーターさんがつくようなノウハウを教えることができたらいいなと思っています。

教えられるものはどんどん出して、違う仕事をしていかないと取り残されちゃいますからね!

後輩の看護師・医療従事者に向けてメッセージ

ーー後輩の看護師さんや医療従事者さんに向けて、何かメッセージがあればお願いします。

「やればできる」と伝えたいです。
けれど、挑戦したいことを成し遂げるまでには時間がかかります。

私たち医療従事者は、学校に通って、毎日授業を受けてやっと資格を取得しますよね。新しい挑戦もそれと同じくらいの時間が必要だとわかった上で、埋もれないためにはどうするのかを考え続けることも大切です

結局は毎日努力して、毎日同じことを淡々とできる人じゃないと生き残れないんです。挑戦したいことがあるのなら、1日も欠かさずにやり続けて欲しいです。

ーー努力し挑戦してきたジェリーさんだからこそ、響く言葉ですね。本日はたくさんお話ししてくださり、ありがとうございました!

取材/編集:松岡マイ

ジェリーさんのSNS
この記事の執筆者

ライター:班目美紀さん

獣医師とインタビューライターのパラレルキャリア。暮らしやキャリアのインタビュー記事を執筆しながら、動物病院に獣医師として勤務しています。
言葉で誰かの背中をそっと押したい!

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メディア運営・編集

京薬卒、(株)Medited代表取締役。 医療・取材ライターや医療系介護メディアの編集長業務、キャリアスクールでの講師メンター業などを経て2020年よりオンライン動画講座「医療ライターのはじめかた」メディア「MediJump」の運営を開始。2022年より医療×Webクリエイターの交流コミュニティ「MediWebラボ」をスタート。2023年に法人化し、経済産業省JStarX起業家プログラム等に採択。「医療資格は、ずっと味方」をテーマに活動しています。